❅ルナティックエンメモア  Lunatic aime moi -紅紫藍― 3


❅3.この先の寂しくて孤独で退屈な人生の最後の手向けに


❅キャプション
✩あらすじ
両親を失った暁陽翔。人生の終止符を確実に刻むために辿り着いた先は不思議な駅だった。そこで出会ったのはまるで絵画から出てきたかのような美しい男だった。その美しい男はどう見ても人間には見えない。その男は綺麗な顔に似合わずぶっきらぼうでサマエルというらしい。サマエルは僕の無意識の「助けて」に「おまえは死ねない、俺が死なせない言ったよな。」と仲間になることを強要してきて。それには、サマエルとサマエルの親友の悲しい過去と人間界と魔界にまで関わる大きな理由があって…!?
ルナティックとは何か、どうして人間と魔物はお互いに伝説の架空上の存在になってしまったのか。
月の姫とは何者なのか。
全てを繋ぐのは『龍浬駅=ティアマト』、『ルナティック』、そして『月の姫』。
暁陽翔、サマエル、ミハイル出会いは偶然か必然か。
―――『…わかった。どうせ、捨てようと思ってた命だ。アンタの好きにすればいい。』
―――「僕の力は強すぎる。だから、もし君の血が僕の毒に負けてしまったら君は衰弱して死んでしまう。今よりきっと苦しいだろうね。必ず助けてあげられるとは限らない。
今ここで死ぬことも選べるよ。もしかしたら、その方が苦しまなくて済むかもしれない。
それでも僕の毒を受け入れるかい?
 今この場で死ぬか、今より苦しいかもしれないけど僕の毒に賭けてみるか…。
僕に決定権はない。
答えを出すのは彼自身。
もし、僕を頼る決意をするのなら僕は君に応えるよ。
―――決めるのは君自身だよ。」
―――「ミハイルが紫月の姫だろうが、何だろうが過去に何があろうが俺はどうでもいい。
 俺が話してんのはここにいるミハイル…凛弥だ。
 変えたいんなら手を伸ばせばいい。」

―――「辛くて仕方なくて死にたくなるくらいしんどいんなら感情のまま求めろよ!
…足掻けよ。
みっともなくてもいい、情けなくてもいい、辛いなら変えたいなら受け入れんな、諦めんな!!」

――――「ごめん、サマエル。
ごめん。…でも僕はサマエルを失いたくないよ。」

≪ねぇ…幸せってなんですか?≫

❅追記
お久しぶりです!!
長編オリジナル小説綴り始めたよーーー!!
魔法ⅰらんどにて早急連載しておる!!
それをこっちにものっけるヨ!!
pixivではおおかた本編後にサイドストーリーや設定集などサブテキストも追加で投稿予定ダヨ!
是非応援するネ!!おねがいしまーす!!
早く続きが読みたい人は魔法ⅰらんどのサイトまでよろ。
すぐ飛べるようにURL貼っとくっすよ。
応援しに来てくださいっす!!待ってるぜ読者ちゃん。
❅藍堂翔琉 kairi×kakeru 2plus3Equal5
https://maho.jp/users/15591074771455138175/works

❅追記2
たびくらげ探偵日記を応援したいシリーズ、初めての密誉、ぼくたちのあそびばを応援したいシリーズに着々と反応ありがとうございます!!まだまだ新作こねくり回してます。←いまでも。ネタばっか増えてます。ネタ帳3冊目終わりそうです。「おいっ」

ここで悲報もありますよ、前回頑張ってるって言ってた作品選考ダメでした。正直ホントに頑張ったからめっちゃ落ち込んだ。結構引きずった。次に行くためにもっともっと実力つけないとね。前向かなきゃ。僕には時間がないから。

さて、トータルいいね数が345!!ブクマは373!!トータル閲覧数は約18371!!やったぁぁぁ!!みんなのおかげです感動。お祝いにコラボでも反応でもお仕事でも依頼でもなんでも大丈夫なのでください泣「書き手おこがましい…あとうるさい」お仕事が欲しい…それと応援したい公式様に貢献したい。(何様だけど、どうか見つけてくださいいいい。)「うれピコだねん♪」
「インスピレーション、ワキワキするヨォ!!」
この後も色々続く予定ですのでこれからもお付き合いよろしくお願いします。「ダヨォ!」
「もー、シトロンさん邪魔しちゃだめですってば。」
「綴も応援するヨー?」
「いやぁ、そりゃ応援してますけど。てかコレ完全に関係ない作品にまで俺ら侵入してません?大丈夫なんすか…」
「綴。応援することにジャンルも何もないネ。その気持ちが大事ヨ。ワタシ達、声がなくても伝わったネ。続けていればいつかちゃんと気持ち伝わるヨ。何も心配することナイネ。」
「…シトロンさん。」
「感動しているところ悪いがお前らいい加減にしろ。ここはそういう場じゃうんたらこうたらーー」
「あれあれ?俺、置いてけぼりな感じ?マジテン下げー。」
「私の詩をいれてくれ給えといったではないか。私の詩の価値がわからないとは君もまだまだなようだね。はっ!!新しい詩興がわいたよ、今度こそ聞いてくれたma …ぐぇ」
「アリスうるさい」
「ムグ…うるさいとはなんだね。それに、急に人の口にマシュマロを突っ込むものではないのだよ。」
「…アリス以外にはしない。」
「それは喜んでいいのかね?それとも怒こるべきなのだろうか…。」
「もうカオスすぎてワロ。」
「ポンコツ役者そこ邪魔。お偉いさん、これ実際にやるんなら衣装は俺に任せてよね。「誰が。」」
「はいはいはーい。おれっちも手伝うっすー。」「おい、誰がポンコツだって?」
「うるさいバカ犬。いま俺のターン「ゆきちゃーん」」「おい。」
「俺の話を聞けぇえええええ。」
「うわぁなんすかコレ。」
「あ、万里くん。お疲れ様。」
「紬さんもおつかれ。で、このカオスなんすか。」
「ははは…。書き手が脳内暴走を繰り出した結果だね。」
「またっすか。」
「そうなんだよね。あーえっと。
と言うことで、これからもよろしくってことで。またね。」
「またな。」「おつー。」

※次の大事な執筆中…ペースゆっくりめです。インスピレーションが溜まって溜まって消化しきれないのが…ねぇ?。「書き手さん?、ネタ書き出し紙が束になり始めましたっすよ!!大丈夫すかー!!!」「綴るん、どうやってインスピレーション消化してるの教えて…遠い目(瀕死)」



❅ーーー❅ーーー

❅3.この先の寂しくて孤独で退屈な人生の最後の手向けに


深紅に彩られた燃えるようなルビーの瞳をした少年がスマホを熱心に覗きこんでいる。
そのルビーは濁りきっていてお世辞にも綺麗とは言い難い。
映し出された画面の検索ボックスには、
―――――『確実に死ねる方法』
そして、少年の細長い指先が検索結果をタップする。
Loading画面に少年は寂し気にため息をついた。
パッと画面に文字の羅列が浮かんだ瞬間、ルビーの奥深く小さいけど明確に明かりが燈る。

そこにはある駅について書かれていた。

『龍浬”りゅうり”駅』

この駅は15歳までに1度訪れたことがあるものだけがたどり着けるというまるでオカルトめいた都市伝説のような駅。
目にした誰もが迷信だと口をそろえて言う場所。
だけど、なぜか少年はこの駅にたどり着ける気がした。
少年には確信があった。

「ここは…。」
画面をスクロールして隅々まで見る。
こころなしか文字を追う目が早くなる。
記憶にはない。
それでも、自分の中の感覚が憶えていると訴えかけていた。
ある日見た夢の場所にそっくりだった。いや、同じだった。
僕はたくさんのやつらに追われていて命からがらその駅にたどり着く。
たどり着いた時、駅には誰かいてその人と話した。
なぜか知らないはずのその人とは親友らしい。
そして、その人がそのうちせっついてきてなきながら何故と問われた。
俺は困った顔で謝る。
そして、いきなり目の前が歪む。
足元が急に硬度を無くしたように柔らかくなるから足の踏ん張りが効かなくなって倒れていくのをゆっくりと感じながら目の前のそいつが必死に何か言うのを眺めているところで目が覚める。
一度や二度ならきっと憶えてなどいなかったし気にしてもなかった。
だけど、それは両親を失った時から急速に見る頻度を増した。
香り、音、感覚、雰囲気、会話、感情、痛み。
それらは回数を重ねるごとに深くリアルに感じられたし何より夢から覚めても事細かに憶えているようになった。
毎度最後には飛び起きて夢から覚める。
それに心も体も痛いような気がして身体をまさぐってみても僕の身体は何も変わってない。
それが凄く不快で意味わからなくて怖い。
だから、眠るのが怖い。
それなのに日増しに起きていられる時間が短くなっている。
家族を失った、たった数日前から。

身体がボロボロで。
心が限界だった。
逃げたかった。
全てから。



「っ…。ゲホゲホっ。」
息苦しさに大きく息を吸い込めば自分の器官がゼロゼロと嫌な音をたてた。
それを解消しようと体が咳き込む。
何度か瀕死の呼吸を繰り返してみる。
傍から見れば溺れて必死に喘ぐ魚のようでさぞ滑稽だろう。
やっとのことで呼吸を整えてルビーの双眼をゆっくりと開けてみればそこは駅のホームで。
僕は。
「知ってる。」
夢で何度も見た『龍浬”りゅうり”駅』だった。
だけど、そうじゃない。
それだけじゃなくて。
どこか記憶の片隅でも引っかかっているような。
そう、それこそ感覚。
「憶えている。この香り。この床の感触。」
ペタペタと地面を触って確かめる。
「…つめたい。のにあったかい。」
冷たさを感じるのに触り続けると何処かほのかに温かみを感じる。
「それに、この音。」
コポコポ…?
いや、ゴポゴポ?
スッと通り抜けた風に少し寒くなる。
濡れた服が地肌に張り付いて体温を容赦なく奪っていく。
と、とにかくこうして床に座り込んでいるわけにはいかない。
「ここからどうしたらいい?」
「何処に行けばいい?」
何もわからないまま駅だというのに人一人いない静かなホームをひたすら歩く。
進めば進むほど薄暗く冷え込んでくる。
その途中にはいたるところに水溜まりがあって上を見上げれば雨漏りでもしているのか透明な液体が定期的に滴り落ちている。
それはぴしゃともぴちゃともつかない音を奏でながら水溜まりの水面を揺らしたり床に叩きつけられて飛び散ったりしている。
「寒い。」
「心もとないけどやらないよりはまし。…だよな。」と誰に問いかけるでもなく呟き腕を擦りながら少し薄暗い道を進んだ。
一歩。
また一歩。
進んでも変わらない景色に少しずつ不安が絡みついてくる。
人の気配がないせいか、薄暗いせいか、段々と自分自身の心の声が聞こえてきた。
そう、それは
頭の中で泣き叫ぶ声がしている。

「寂しい」


―「ここドコ?」


「辛い」

―「パパ、ママ。」


「孤独は嫌だ」
―「どこにいるの?」   


    
「待って!一緒に連れて行って!!」        
―「ねぇ、へんじしてよぉ」


「助けて、一人は嫌だ!!」

いつの間にか叫んでいた。
喉が切れたのか口の中に鉄っぽい味が広がって顔をしかめた。

その時、急に近くで眩しい光が瞬いた。
「ここどこ」
見覚えのないホーム。
大きな扉を開くような音がどこからか聞こえる。
そして、電車が走ってきた。

「…もう嫌だ。」


その刹那。
何を考えたんだろう。
ただ、もう全てが嫌だった。
僕には何も残ってない。
もう終わりにしたい。


「そのためにここに来たんだから。」

あれだけ重かった足取りは軽い。
自分でもびっくりするほど早く迫りくる電車へと走っていた。
これで終われる。
救われる。
怖い。
怖い。
救われる…はずでしょ?



―――――「…嫌だ、いやだ、助けて。」
無意識に紡がれた声は電車の騒音にかき消された。




ゴッともグッともつかない鈍い音と共に身体に衝撃が走った。
「いっっったぁ。」
背中に走る痛みに思わず目を開ければ電車が遠くに見える。
そして、ゆっくり男が近づいてくる。
すらりと伸びた細長い手足、僕をゆうに超えるだろう長身。
男にしては長いストレートな紺髪、白くまろい肌に不機嫌そうに細められた夜空を閉じ込めたような双眼、スッと通った鼻筋や堀の深さ、影を落とす長いまつげ。
極めつけは整った顔立ち。
モデルですといわれても納得する美形。
そんな人が忽然と不機嫌な圧をにじませて近づいてくる。 
はっきり言って怖い。
自分の体がさっきぐらい俊敏に動けるのなら今すぐ逃げ出したいくらいには。
男は僕の目の前で立ち止まりゆっくりと見下ろす。
質のよさそうなシャツが乱れてはだけ真っ白な首筋と妙に浮き出た鎖骨、腹にかけて中心が見えてしまっている。その原因、そこにあるべきボタン簿幾つかは取れかけて中にはなくなっているものもある。
ポケットに突っこんだままの手。
シャツが腕まくりされているその腕は右側だけ赤黒く内出血が広がって真っ白な皮膚がその存在を主張している。
「その腕…。」
目が合った瞬間、恐怖は何処かに吹き飛んで僕は衝動のまま声を張り上げた。
「なんで…。なんで助けたりなんかしたんだよ!」
「もう苦しいのは嫌だった。」
「楽になりたかった。」
こんな気持ち抱えてずっと生きてなんかいたくない。
目の前の男にふつふつと湧いてくる怒りをむきになってぶつけた。
男の胸ぐらをつかんでも微動だにしないことにまた苛立って。
目の前の胸板をポカポカと殴りつけた。
分かってる。
こんなのは八つ当たりだ。
まるで自分の思い通りにならないからって癇癪を起こす子供みたいだ。
吐き出しきれない感情が真っ黒い濁りきった何かが僕を搔き乱す。
涙を流しながら項垂れた。
自分の意思に反してとめどなく溢れては零れていく涙が鬱陶しい。
僕の右手は相変わらず男の胸元のシャツをきつく握りしめたままで。
ようやく静かになったからか目の前の男は一つ息を吸って。
「なんで泣いてんだよ。」
男はぶっきらぼうに言った。
素っ気無いはずのそのテノールに何故か酷く安心する。
ゆっくりと強張っていた力を抜いて男を見上げればその整った顔は不機嫌のような呆れたかのような顔をしていた。
「寂しいんならなんで求めない?」と男は問うた。
僕は答えられない。
答えない僕に男は眉根を潜めた。
「…なんでだよ。」
小さく小さく呟かれたテノール。
「…なんで。“あんた”も“あいつ”も。」
ぎりっと噛み締められた音が聞こえた気がした。
「辛くて仕方なくて死にたくなるくらいしんどいんなら感情のまま求めろよ!」
「…足掻けよ。
みっともなくてもいい、情けなくてもいい、辛いなら変えたいなら受け入れんな、諦めんな!!」
苦しそうな今にも叫びだしてしまいそうなそんな声だった。
じっとこれでもかと言うほどの眼光で睨みつけられる。
でも、じっと見つめたその細められた夜空を閉じ込めた瞳の奥に憂いのような愛しさのようなものが確かに向けられているそんな気がした。
男が一つ息を吐き出す。
見つめたまま何もしゃべらない僕に男は形のいい唇をゆったりと歪ませて笑った。
泣き笑いみたいな。
無理やり笑ってるようなつらい顔。
でも、その作られたまるで挑発的なその笑みでさえこの人には魅力的で。よく似合う。
その隙間から覗いた真っ白く鋭い牙に僕の心臓が一つ大きくはねたのがわかった。

「あんた、助けてって言っただろ。」

男は少しかがんで僕の目を覗き来む。
そうしてより一層低くしたテノールで確認するようにもう一度言った。
「いやだ、助けてってあんた言ったよな。」
僕は男から目を背けられなかった。
それ、すなわち肯定。
男はゆっくりまばたきを一つして
「だから、お前は死ねない。死なせない。」
鋭い牙を携えた端正な口ではっきりとそう言った。

もう負けだ。
どう言い訳しようか考えていた。
だけど、きっとこの男には通用しないだろう。
僕の決意は揺らがないけど、どのみち終わりにするのなら少しぐらい遠回りして付き合ってやってもいい。
この先の寂しくて孤独で退屈な人生の最後の手向たむけに。
見ず知らずのアンタが僕のことを思うというのなら

「…わかった。どうせ、捨てようと思ってた命だ。アンタの好きにすればいい。」
そう言って男に委ねた。


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