❅Sweet through the glass
❅キャプション
いま再び君を翔琉の世界に誘いましょう。
ほら、来てください。
この手を取って…。
≪❅Sweet tea mirror≫のシンメトリーを綴ってみたよぉ。
楽しんでくれると嬉しいなっ。
インスピレーション降ってから随分たっちゃいましたね…?
久々の小説、オリジナルoneシチュエーショントライなんですけど、ちょっと腕なまりましたかね?
そんなことない?
そっかー。
ふふっ気に入ってくれたら嬉しい。
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❅藍堂翔琉
ぷらいべったー
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❅Sweet tea mirror|❅藍堂翔琉 ❅翔琉 2plus3Equal5 kairi×kakeru @Nagi7nya4yuia #note https://note.com/kairi_kakeru/n/n602cb90dac71
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❅ーーーーーーーーーーーーーー❅
涼やかな風が夏の色を届けるように無邪気に笑う。
湿度の抜けきらないそれは穏やかに肌を撫でるように遊ぶ。
その夏色を吸い込んで深くソファーに沈み込む。
まるで当分は動く気がないと示すように。
そうすれば遠くで陶磁器の擦れる音が届く。
遠慮がちに奏でられるその音に耳を澄ませ
いまいちど夏色を肺いっぱいに取り込めば
その心地よさに眠気が手招きをした。
今日もページの端を指の腹でもてあそぶ。
もう何度もなぞりきった仕草で
ありきたりを装って。
ふわり、穏やかなカモミールを纏った紅茶の香りが鼻腔を擽る。
夏色の香りを上書きするようにそれを胸いっぱいに吸い込み辿る先。
差し出されたティーカップに揺蕩う紅の水面。
そこに映り込む熱いほどの視線。
射抜かれそうになる。
思考の片隅がじりじりと焦れる感覚。
揺蕩う焦(じ)れた紅の湖は恋焦がれた俺を明け透けに映し出しているようで…。
眺めていたい君の表情を隠してしまいたくなる。
そう、早くミルクを傾けて。
透き通る水面越しに君が微笑む。
すべて見透かされそうだ。
早く、俺に白いベールを。
揺れる焦れた紅色が波紋をたてながら姿を変えていく。
ツイと逸らし向けた視線の先。
途中半端に開け放たれた窓。
少し目を細めて目を凝らせば君が白いベールを纏い隠した水面を睨んでいる。
それがとても愛おしい。
Mirror越しの駆け引き。
――どんな表情も俺のものでしょ?
まるで悪戯が成功したみたいなそんな背徳感。
しおりを挟まずページ数にすら目もくれず閉じた本。
何ページかも内容がなんであろうとどうだっていい。
欲しいのはこの空間。
君が僕だけを見つめるこの時間だけ。
君が僕だけを見ているという優越感。
君が思考を全て俺に差し出しているという証。
―――たまらないね。
全ては独占欲を満たすための口実。
駆け引きは勝たなきゃ意味がない。
伸ばされた手。
―――――もっと深く。
撫でられた頭。
――――――もっと強く。
ふわり、カモミールによく似た君の香り。
―――――そのすべてを絡めとってしまいたい。
ああいまだけはこの手のぬくもりに免じて負けてあげてもいいかな。
蜂蜜を煮詰めたような眼差しをなんの隔たりもなく与えてくれるなら…。
――――許してあげる。
白いベールを纏わなくたって鏡越しじゃなくたって。
煮詰めた蜂蜜はドロドロにとけていく。
ほら、物欲しそうな色に変わった。
手元から奪い取られた本が恨めしそうに見つめてる。
それでも俺たちはこの融解を止める気なんかさらさらないね。
紅茶を一口飲み込む。
――ああ…やっぱりミルクティーは苦手だ。
でも、苦手なミルクティーだって君のためなら。
―――――存外悪くない。
君を絡め取るのはこの俺だけでいい。
_____ほら、君が欲しいのはこの俺だけでしょ?
※この作品の初稿はぷらいべったーにて投稿しています。
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