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等価交換の話(後編)

(前編はこちら)

たとえば、物が豊かになった現代において、小学生でもいくらかの小遣いは持っていて、「物を買う習慣」が身についています。ただし、それは「得」をする経験ばかりなのです。

どういうことかというと、本来であれば働いた報酬として金銭をいただき、そのあと自分の買いたい物を買うことができるのですが、子供たちは働かずして親からお金をもらい、好きなものを買うことができます。労働という「損」を経ずに物が買える「得」ばかりしている、ということなのです。

「損」する経験がないから、「損」した時の感情に慣れないまま大きくなり、社会に出て「損」をさせられたときに、その感情が抑えられず、何かの形で「得」を得ようとする。「得」を得られなくても、せめて「等価」に持っていく行動に走るというのです。

だから、子供のころから家の手伝いをさせるとか、理不尽なまでに怒られるとか、そういう「損」を押し付けられる訓練をたくさん積ませる必要があると私は考えて子共と接してきたように思います。


ただ、この本を読んだのが20年ぐらい前だったでしょうか。今は少し子供あり方に変化が見られるような気もします。

最初から自由になるお金を与えられて育った「得」ばかりを経験するのではなく、「損」しか経験していない子供たちがふえているような気がします。

「得」した経験がないから(「得」を得たい)という意欲が沸かなかったり、自虐的な考え方の子供がふえてはいないだろうか、と思います。

経済的に貧困層に多い気がします。
中流層が減り、富裕層と貧困層の二極化が際立っている今の日本で「等価交換」したがる子供ばかりではないような気がします。

(おわり)

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