象徴とは。 その2


それは 知 を深めるもの で あり、 それ は 理論 の知識 に とどまりえない。
それは 真 の 結果 を 得ること、 知識 と 存在 の 融合、『 大いなる 為す こと』 の 実現 に 向け ての 渇望 をますからである。

純粋 な 知 は 伝達 できない。 それが象徴を もって あらわされるとき、 象徴 は ヴェール のよう にそれを覆うが、 求める 者、 見る すべ を 知る 者 にとって、 その ヴェール は 透明 で ある。
 この 観点 から、 これ は だれ もが 理解しうる ことでは ない が、 語ら れ た 言葉 の 象徴的 な 意味合い を 論じる こと も できる。 語ら れた ことの 内的 な 意味 を 理解 できるため には、 聞き手は 一定 の 成長 の 段階 に 達し て い て、 しかる べき 努力 を し、 しかるべき 状態 に ある 必要 が ある。
 だが、 自分 にとって 新しい ことを聞い た とき、 人 は それを 理解 しよ う と 努力 する代わり に、 それ について 議論 し たり 反論 し たり し、 聞い た こと との 関係 で 自分 が 正しい と 信じる が、 決まっ て 的外れ の 意見 を 固守 しよ う と する。
そんな ふう に し て、人 は 新しい もの を 得る 可能性 を ことごとく 失う。
 語ら れ た こと に 象徴的 な 意味合い が 宿さ れ て いる 場合、 それ を 理解 できる ため には、 あらかじめ それなり の こと を 学ん で い て、 そのうえ いかに 聴く かを 知っ て いる 必要 が ある。
語ら れ た こと の 中身 が 客観的 な 知 に 属し、 多様 な もの を 一つ に まとめあげる 原理 に関する もの なら ば、 それ を 言葉 だけに 頼っ て 理解 しよ う と する 試み は、 最初 から うまく いか ない もの と 決まっ て い て、 それでも それ を する 者 たち は、 多く の 場合、 やがて 頭 を 妄想 で いっぱい に する。
 これ について わざわざ 言っ て おく 必要 が ある のは、 現代 教育 の 知識 志向 ゆえ に、 人々 には 論理的 な 説明 を 求める 癖 や、 聞い た こと は なんて も かん でも それ について 理詰め で 議論 し た がる 傾向 が あり、 彼ら は、 扱っ て いる 問題 の 性格 から し て 厳密 な 説明 が 不可能 な 領域 でも 厳密 な 説明 に こだわる こと で、 自分 でも 気づか ぬ うち に 自分 に 制約 を 課し て いる からで ある。


したがって、 ここ で 論じ て いる 人 の 思考 の 傾向 から し て、 物事 の 本質的 な 性格 に関する 理解 を 得 て い ない 人 に対し、 細かい こと に関する 厳密 な 知識 を 与え て しまう と、 その 知識 は、 その 人 が 物事 の 本質的 な 性格 を 理解 する こと の 妨げ となり うる。
 

真 の 知 へと 至る 道 の 上 では 厳密 な 定義 が あり え ない という こと では ない。 逆 に この 道 の 上 において のみ 厳密 な 定義 は 見いださ れる。 だが、 それ は 人 が ふつう 思う よう な もの とは とても 大きく 異なる。
 自分 は ありとあらゆる 細かい こと に関する 厳密 な 知識 に 導か れ て 自己 知 への 道 を 歩む こと が できる と、 もしも だれ か さん が 想像 し て い て、 しかも この だれ か さん は、 彼 が 彼 自身 との 関係 で する べき 取り組み との 関係 で 受け取っ た あれこれ の 指示 を それなりの 苦労 を し て 消化 する 以前 に そんな 知識 を 授け て もらえる と 思っ て いる なら、 この だれ か さん は まず、 彼 自身 が しかる べき 努力 を し ない こと には 知識 を 得る という こと は あり え ない の だ という こと、 自分 が 欲し がっ て いる もの は 彼 自身 の もの で ある 彼 自身 による 努力 を もっ て のみ 得 られる という こと を 理解 す べき で ある。 彼 自身 が 自分 の もの と し て い ない もの を だれ も 彼 に 与える こと は でき ない。 彼 が 自分 で する べき 取り組み を だれ かが 彼 に 代わっ て する こと は でき ない。 他人 が 彼 の ため に し て やれる のは、 取り組む よう に 背中 を 押す こと だけで、 その 観点 から する と、 象徴 に関する こと は、 もしも 正しく 受け取ら れ た なら、 この 種 の 知 を 自分 の もの と する こと に 向け て 人 を 鼓舞 する もの となり うる。

P・D・ウスペンスキー. 奇跡を求めて 第三部 解説付き新訳版: 知られざるグルジェフの教え (Kindle の位置No950--980). Kindle 版.-974). Kindle 版.

私自身が読みやすいように、改行してあります。

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