象徴とは

 象徴 とは、 最終的な意味や決まった意味をけっして与えてはならないものである。 無限の多様性 を一つにまとめあげる法則をあらわしたものとして、象徴 には、人が無限の角度からそれを見ること を可能とする無限の側面があり、象徴を扱おうとする人には、同時に複数の視点からそれを見つめる能力が求められる。 象徴がありきたりの言語による 説明で覆われると、 その意味は 固定したものとなり、 するとその象徴は光を失い、とてもやすやす と『それ自身の敵』 となる。 すなわち、 独断的 な枠組みのなかに意味を閉じ込め、鋭い論理をもって自由な角度から問題に目を向けることをまったくできなくしてしまう。 その原因は、ただ説明の ままに象徴を理解し、 単一 の意味を象徴に与えて しまうことにある。 ふたたび真理は嘘の衣で覆わ れ、 そこに隠れた真理を見いだすには、象徴の意味 が失われていった世界で、これも違う あれも違う という、 とほうもない否定の努力を積み重ねなければならない。 よく 知られた こと として、 象徴 を たんに 説明 の まま、 一つ の 意味 でだけ 解釈 し た 人 たち が、 かつて 宗教、 錬金術、 そして とくに 魔術 で 使わ れ た 各種 の 象徴 から、 どれ ほどの 妄想 を 生み出し た こと か。象徴 類 の 正しい 理解 からは、 論争 が 生じる こと が ない。

P・D・ウスペンスキー. 奇跡を求めて 第三部 解説付き新訳版: 知られざるグルジェフの教え (Kindle の位置No.939-949). Kindle 版.

グルジエフのエニアグラム講義録の部分より

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