社会的処方を読んで.
西智弘さん編著の,社会的処方を読んだ.以下,感想を述べる.
〇社会的処方とは
まずは,ざっくりと社会的処方を私なりに解釈した内容から述べる.医療機関に持ち込まれる問題の2~3割は,社会的問題と言われている.その社会的問題を解決するために,「つながること」を処方することが社会的処方.社会的問題の中でも,「社会的孤立」に焦点を当てて,内容は進んでいく.
〇没頭,熱中,表現の場づくり
先進的に社会的処方を実施しているイギリスでの実践や,日本での社会的処方のタネが紹介されているが,健康になることが目的ではない.上記のようなイメージでみてほしいと呼びかけられている.これは,マイナスをプラスへということではなく,プラスをダブルプラスへということと説明されている.施設や地域支援事業に関わるとき,まずはその人、その場を受け入れようと思って働いている.が、その人やその場の短所の改善ばかりに目がいっていないか,その人が没頭,熱中,表現できる場とつながるためにどのくらい貢献できているかと考えさせられた.
〇作業療法士として思ったこと
社会的処方に関わっている医師,看護師,そして地域でそういう場に参加している人たちへの敬意と,人と作業と環境が最適な状態で繋がれるよう支援する仕事のはずなのに,関われていない現状を憂う気持ちを抱いた.そして少しの嫉妬.また,「アカギさんの事例」はぜひ,専門職の人に関わらず,多くの人に届いてほしいと感じた.
紹介されているような場を作っていくことはそんなに簡単なことではない.が,多くの人と関わらせていただく作業療法士として,プラスをダブルプラスにという視点も大切にして働いていこうと思う.