
アブラゼミの幼虫がアリの群れに襲われていた。
7月24日、午後4時、住まいの集合住宅近くの雑木林の小道で、アリに襲われているアブラゼミの幼虫を見つけた。
幼虫を拾い上げると、アリが十匹ほど私の手にもからみついたので、息を吹きかけ、吹き飛ばしてやった。
アブラゼミの幼虫は、私の手のひらから逃れようと指先に登るくらい元気だったので、住まいに持ち帰った。
「ここだったら安心して羽化できるよ」
と、部屋のレースのカーテンに止まらせた。
羽化したセミを、明日の朝、雑木林に離すことを想像すると、なんだか、ワクワクした。
ネットで調べたら
セミは普通は夕方6時くらいに地面から這い出して、7時くらいに羽化を開始します。
そして一晩かけて体を乾燥させ、翌朝元気に飛び立ちます。
とある。アリに襲われていたアブラゼミは、時間を間違えて、早く穴から地上に這い出たようだ。



そして、今日、7月25日、午前5時。目を覚ますとすぐ、アブラゼミを見にいった。
死んでいた。
前脚の2本がカーテンから外れ、逆立ちするようにカーテンにぶら下がっている。身体も硬直して、私の掌の上で転がった。
どうして?
あんなに元気だったのに。
理由がわからない。
イラストの資料として幼虫を撮影してから、植え込みの下に穴を掘って埋葬した。
私用で外出し、夕方、自宅に戻ってから、死因をネットで調べた。
アリとハチはごく近縁の昆虫で、ほとんどのアリはハチと同様に針をもっている。この針には毒腺と呼ばれる分泌腺がつながっており、刺した際に毒液を注入するようになっている。ほかの昆虫などを獲物として狩るアリでは、この毒液によって獲物を麻痺させて捕らえている。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/kagakutoseibutsu1962/43/12/43_12_817/_pdf
ヤマアリ亜科とカタアリ亜科のアリの場合はこの毒針を失っており、水鉄砲のように毒性のある毒液を外敵に吹きかけて巣を防衛したり、獲物を狩ったりする。ヤマアリ亜科の場合にはこの毒液の主成分がギ酸であり、ギ酸の腐食性と浸透性によって外敵の皮膚を損傷し、毒液を体内に浸透させる。
とあった。
アブラゼミの幼虫は、私が助けた時には元気そうに見えたが、毒針で刺されるか、ギ酸を吹きかけられるかしていて、徐々にその効果が身体に浸透して、羽化できずに死んだのだろう。
アリの力、恐るべし。
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