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「名古屋市認知症疾患医療センター」に指定された偕行会城西病院が行う、認知症への取り組み
2024年5月、厚生労働省研究班が、全国から4つの自治体を抽出し65歳以上の高齢者に対して認知症の診断を行い、その有病率から将来の全国の認知症の人の数を推計しました。
2022年の認知症およびMCI*の性年齢階級別有病率が今後も一定と仮定した場合、2040年の認知症者高齢者数は584.2万人、MCI*高齢者数は612.8万人と 推計された。
*認知症の予備軍とされる軽度認知障害
2040年には高齢者の6.7人に1人が認知症である可能性も示唆される中で、超高齢社会である日本では、国を挙げて認知症への取り組みを推進しており、その一つとして各地に"認知症疾患医療センター"を設置しています。
認知症疾患医療センターとは?
認知症に関する詳しい診断、行動・心理症状や身体の合併症への対応、専門医療相談などを行う医療機関です。かかりつけ医や介護・福祉施設、地方自治体とも連携し、地域の中で認知症の方やその家族に、適切な専門医療を提供したり、もの忘れ相談から診断、治療、介護保険の相談まで支援する役割を担っています。
「認知症に関する医療相談や認知症の詳しい診断、症状が悪化した場合の対応などを行う認知症の専門医療機関」と定義しており、都道府県や政令指定都市が指定する病院に設置されています。全国に506か所(2024年7月時点)、名古屋市内には7か所(2025年1月現在)設置されています。
偕行会城西病院も名古屋市の指定を受け、2024年12月1日に「名古屋市認知症疾患医療センター」を開設しました。
📝センター開設について中部経済新聞に掲載されました👇
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偕行会城西病院は、入院病床120床(地域包括ケア60床・医療療養60床)の療養型病院で、主に急性期病院から転院後、在宅復帰を目指す患者さんや長期療養が必要な患者さんを幅広く受け入れています。
認知症領域においては、2015年より神経内科外来、2017年からもの忘れ外来を開設し神経内科の専門医による認知症の早期発見と治療に取り組んできました。
認知症疾患医療センターを利用する効果とは?
認知症と一括りにして呼ばれることが多いですが、アルツハイマー型、レビー小体型、脳血管性など様々な種類があり、それぞれに治療方法も異なるため、的確な診断が重要になります。
偕行会城西病院では【SPECT】という機器を有しており、MRIなどの検査機器や血液検査などと組み合わせて検査を行うことで、様々な種類の認知症を識別し適切な治療につなげています。
認知症疾患医療センターは、地域のかかりつけ医や地域包括支援センター、介護施設等との連携も図り、そのネットワークをつなぐ役割も担っています。
認知症と診断されても、認知症疾患医療センターを利用することで、住み慣れた家や地域での生活を維持しやすくなり、かかりつけ医や訪問看護・介護サービスの利用がスムーズになったり、ご本人やご家族が安心して病気と向き合うことができるでしょう。
偕行会城西病院の認知症への取り組み
偕行会城西病院は、名古屋市認知症疾患医療センターに指定される前から、病院一体となって認知症の早期発見と治療や相談支援に取り組んでおり、特に病院内に設置されている総合相談窓口では、相談受付、認知症カフェ運営、地域での交流、音楽療法士による音楽療法、認知症への理解を深める活動を行ってきました。
全職員が認知症サポーター養成講座を受講
認知症に対する正しい知識と理解を持ち、地域で認知症の人やその家族に対してできる範囲で手助けする認知症サポーター養成講座を、偕行会城西病院の全職員が受講。その証として"オレンジリング"を身に着け業務にあたっています。
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認知症疾患に係わる診察実績
認知症の早期発見に重要な簡易検査、長谷川式知能評価スケール・MMSE等の神経心理検査件数は743件(令和5年度)。
認知症疾患に係わる外来件数は3,922件(経過観察及び治療中の方も含む)にのぼります。
主に診察にあたるのが、偕行会城西病院長でもあり、認知症疾患医療センター長 錫村明生医師です。
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鑑別診断
認知症の識別診断は、神経内科専門医による診察、他の疾患を除外するための血液検査、頭部MRI、更には2021年に、認知症の鑑別診断に欠かせない検査機器であるSPECTを導入し、認知症の種類を鑑別することで、適切な治療へとつなげています。
SPECTとは、微量の放射線を出す検査薬を投与し、その検査薬が集積した部位から出てくる放射線を検知し、画像化する検査です。
※検査薬から出る放射線量は人体に害を及ぼす量ではなく、副作用の発生頻度は非常に低く安全な検査です
![SPECT](https://assets.st-note.com/img/1733722771-Fp7TgN1MJabh3A8c49OCXtPR.jpg?width=1200)
![SPECT検査の様子](https://assets.st-note.com/img/1733722561-PXer6wQODvz12xEqUpjky57W.jpg?width=1200)
名古屋市が行っているもの忘れ検診も積極的に受け入れており、精密検査が必要とされた方の対応も可能です。
名古屋市在住で65歳以上、かつ認知症と診断されたことがない方は、実質無料*で検査することができます。
*検診費用は無料、精密検査は一度窓口で自己負担額をお支払い後、必要な申請を行うことで名古屋市から助成が受けられます。
![偕行会城西病院 もの忘れ検診のチラシ](https://assets.st-note.com/img/1733722561-MpFdR2IuXKj7q9bhsfaiS4AO.png)
認知症カフェ
入院患者さんに限らず認知症の方とそのご家族、地域にお住まいの方など、誰でも参加できる集いの場として平日毎日開催されています。
病院内で実施していて、音楽療法や運動療法など日によって異なったプログラムを楽しむことができます。
![認知症カフェ「ほっとカフェじょうさい」の様子](https://assets.st-note.com/img/1733722561-y0mxs3Ucu67ZO9WKovItarN8.jpg?width=1200)
音楽療法
偕行会城西病院では音楽療法士が常駐しており、音楽を楽しむことで心身をリラックスさせ、健康の回復や向上を促すプログラムを作成し、音楽療法を行っています。
認知症の方々への音楽療法は、記憶の奥に残る思い出の曲を適切に使用することで心の安定をはかり、抑うつ、妄想、幻覚、徘徊などといった周辺症状(BPSD)の緩和に役立つとされています。
![音楽療法士による音楽療法](https://assets.st-note.com/img/1733722561-LU2BacvYPw7selMEJibmy1z6.jpg?width=1200)
認知症は、早期の受診と正しい鑑別診断がとても重要です。
認知症について調べることは非常に勇気のいることですが、年に一度は「もの忘れ検診」等の検査を受けること、また疑わしい場合は、なるべく早めに認知症疾患医療センターといった専門医療機関を受診することが大切です。認知症にはさまざまな種類があり、現在の医療で治療可能なものもあります。
いずれも早期発見・治療により、その後の生活の質を改善できる可能性があります。「なってしまってからでは遅い」「治らないんだ」と諦めず、ご本人やそのご家族がどうすれば心地よく過ごせるのかを、一緒に考えさせていただければ嬉しいです😊