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【大阪・山崎】サントリー山崎蒸留所

 開高健が最初に世間の注目を集めたのは、サントリー宣伝部のコピーライターとしてでした。<人間らしくやりたいナ>など心に刺さる言葉をウイスキーの新聞広告のために書いていたのです。

 ということで夏休みのある日、サントリー山崎蒸留所(大阪府島本町山崎)を訪ねました。1923年に完成した日本最古のモルトウイスキー蒸留所です。大阪と京都の府境にある天王山(270㍍)の麓に位置し、JR京都線山崎駅から徒歩10分のところにあります。

山崎駅は京都府大山崎町。蒸留所に向かう途中で大阪府に入る

 この蒸留所の見学は人気があってなかなか予約できないのですが、今回は何とか「山崎ウイスキー館」に入ることができました。101年に及ぶウイスキー造りの歴史をたどる企業ミュージアムです。製造方法の説明に加えて歴代の広告の解説もあり、開高健が1956年に創刊したトリスバー向けPR誌「洋酒天国」もしっかり展示してありました。

説明文には「編集兼発行人、開高健」と明記

 2階のショップには関連書籍の販売コーナーも。サントリーを現在のような大企業に育てた2代目社長と開高の交流を描いた北康利「佐治敬三と開高健 最強のふたり」(講談社α文庫)、サントリー元社員の直木賞作家、山口瞳と開高が会社の歴史を振り返った「やってみはなれ みとくんなはれ」(新潮文庫)が並んでいます。できれば開高が酒の楽しさをつづった「地球はグラスのふちを回る」(新潮文庫)あたりもあったらよかったかな……。

香りを判別しやすいテイスティング用グラスで
 

 1階のテイスティングラウンジではウイスキーの有料試飲ができます。午前中だったけれどせっかくなので「山崎ブランド体感セット」(1600円)を注文。熟成年数の異なる3種の山崎を10㏄ずつ飲み比べる人気商品です。複数の原酒をブレンドしたノンエイジは穏やか、12年はやや鋭く、18年はまろやかでした。ほろ酔い気分で館を出ると、周囲の緑がいっそう輝いて見えました 。(池)

サントリー山崎蒸留所https://www.suntory.co.jp/factory/yamazaki/introduction/


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