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自分でできる決算分析⑭ ユーグレナ(増収、減益、B/Sは資本欠損)
ユーグレナの2023年1月1日から2023年6月30日と2024年1月1日から2024年6月30日の第2四半期決算(決算短信)について分析します。
ユーグレナの「決算短信」データの入手法は以下の通りです。
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「決算短信」の1ページの赤枠に損益計算書の主な項目が示されています。そして注書きのような形で、包括損益が示されています。その後のページに貸借対照表、損益計算書そして包括利益計算書が掲載されています。
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まずは、損益計算書上の売上高と各種損益および包括損益は以下の通りです。
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売上高が増えて、増収。営業損益と経常損益は赤字から黒字転換しています。中間純損益と中間包括損益は、赤字幅が縮小しています。
次に資産合計等、貸借対照表項目については以下の通りです。
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この表では、「(利益剰余金)」は、「純資産」の内訳項目なので、カッコを付けています。また、金額がマイナスなので、金額の前に△を付けています。これは、実は、「負債・純資産合計」が「資産合計」より大きくなっているので、これを調整するために「利益剰余金」をマイナスで表しているのです。
表の一番下の行は、「負債・資本合計」に「利益剰余金」をプラスした金額です。「利益剰余金」のマイナスについては、図で表すと分かりやすくなります。下図は、2024年6月30日の数字です。
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損益計算書に損失が計上されると、その分、貸借対照表上の資産が「痩せる」のですが、ユーグレナは、連続して「当期損失」を計上しているので、ついに左側の「資産合計」が、右側の「負債・純資産合計」より小さくなっているのです。この差額を「資本欠損」といいます。つまり、「利益剰余金」のマイナス額は、「資本欠損」の金額であるということです。
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「利益剰余金」の額をマイナスで計上しているのは、スライド上の下から2行目の「負債及び資本合計」を1行目の「資産合計」と名目上一致させるためです。つまり貸方の出っ張り部分を「利益剰余金」の額をマイナスで計上することによって、「負債及び純資産合計」を「資産合計」に名目上一致させているのです。
この借方と貸方のアンバランスを解消するためには、今後、利益を計上する必要があります。利益が計上されると、その分、借方の資産合計が「厚く」なるからです。しかし、赤字続きなので、アンバランス解消は相当難しいと思われます。
次に、損益計算書上の損益について売上収益に対する比率で見た方が分かりやすいので、計算してみましょう。1行目の売上高に対する2行目の営業損益の比率は以下の通りです。
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左の期間については、売上高に対する営業損失の割合になるので、△を付けています。
続いて、売上高に対する3行目の経常損益の比率を見てみましょう。
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先ほどと同じく、左の期間については、売上高に対する営業損失の割合になるので、△を付けています。
次に、中間純損失の売上高に対する比率を計算してみましょう。
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売上高に対する中間純損失の割合になるので、△を付けています。「損失率」なので小さい方が良いため、比率が改善していることが分かります。
ユーグレナの各活動からのキャッシュフローは以下の通りです。
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左の期間は、営業活動によるキャッシュフローの黒字と財務活動によるキャッシュフローの黒字、つまり投資資産の売却による黒字を財務活動によるキャッシュフローの赤字、つまり借入の縮小に振り向け、残りは「現金及び現金同等物」の残高の増加に充てています。
右の期間は、営業活動によるキャッシュフローの赤字と投資活動によるキャッシュフローの赤字、つまり、ビジネスの拡大に、財務活動によるキャッシュフローの黒字、つまり借金の拡大による資金を充てています。