自分でできる決算分析⑲ ヤマハ(増収・減益)
ヤマハの2023年4月1日から2023年9月30日と2024年4月1日から2024年9月30日の第2四半期(中間期)決算について分析します。
ヤマハの「決算短信」データの入手法は以下の通りです。
「決算短信」の1ページの赤枠に損益計算書の主な項目と包括利益が示されています。その後のページに損益計算書、包括利益計算書そしてキャッシュフロー計算書が掲載されています。
ヤマハの損益計算書項目の一部と中間包括損益は以下の通りです。
ヤマハは国際会計基準(IFRS)で連結決算をしています。「売上収益」は増加し増収、後ほど説明する「事業利益」(日本基準の営業利益に相当)は増えていますが、「営業損益」と「中間利益」は減少しているので減益となっています。「中間包括損益」は赤字に転落しています。
スライド上の右に示しているように、日本基準では、「売上総利益」から「販売費及び一般管理費」を引いて日本基準の「営業利益」を算定・表示します。しかし、国際会計基準(IFRS)では、「売上総利益」から「販売費及び一般管理費」、「その他の営業収益」および「その他の営業費用」を引いて国際会計基準(IFRS)の「営業利益」を算定・表示します。 名称は同じ「営業利益」ながら、中身が違うので直接比較しても意味がありません。
ヤマハは、日本基準で連結決算する他の企業との比較のため、日本基準の「営業利益」に相当する「事業利益」を算定・表示しています。
損益計算書上の損益について売上高に対する比率で見た方が分かりやすいので、計算してみましょう。まず、「売上収益」に対する「事業利益」の割合は以下の通りです。
「事業利益」は増えているので、比率が上昇していることが分かります。
次に、1行目の「売上高」に対する3行目の国際会計基準(IFRS)による「営業利益」の比率は以下の通りです。
国際会計基準(IFRS)による「営業利益」は減少しているので、比率が下落していることが分かります。
国際会計基準(IFRS)による「営業利益」は減少しているので、比率が下落していることが分かります。
この比率も下落しています。
ヤマハの各活動からのキャッシュフローは以下の通りです。
左の期間は、投資活動によるキャッシュフローの赤字、すなわちビジネスの拡大と、財務活動によるキャッシュフローの赤字、つまり借入の縮小には、営業活動によるキャッシュフローの黒字では足りないので、足りない分は、「現金及び現金同等物」の残高を充てています。その結果、「現金及び現金同等物」の残高が減少しています。
右の期間は、営業活動によるキャッシュフローの黒字と、投資活動によるキャッシュフローの黒字、すなわち投資資産の売却による資金で、財務活動によるキャッシュフローの赤字、つまり借入の縮小に充てて、残りの分は、「現金及び現金同等物」の残高に充てています。その結果、「現金及び現金同等物」の残高が増加しています。