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KAIKENの取り組み④~アユすくい・アジすくい~
海洋水産技術研究所(KAIKEN)の取り組みを紹介するシリーズ
第四弾は、魚を “見て” “掬って” “刺して” “食べる” という一連の魚食体験を出店で提供する「アユすくい・アジすくい」についてです🔥
取り組みのキッカケ
「海洋水産技術研究所」という名前の通り、私たちは海洋・水産に関わるあれこれに取り組んでいるわけですが、
その中には必ず “教育” を取り入れるようにしています。
この理由につきましては「KAIKEN」設立の話に繋がりますので、まだご覧になっていない方はぜひKAIKENについての記事をご一読ください。
教育を取り入れた取り組みの一例が前回紹介した「KAIKENの釣り堀」です。
この取り組みは「魚を釣る・捌く・食べる」という体験を通じて「魚を知ってもらう」という “魚食育” が一つの大きなテーマとなっています。
さて、この施設での経験を通じて、
『魚が生きている状態から私たちが食べられる状態になるまでの一連の流れを体験してもらう、知ってもらうことは非常に価値のあることである。』
と感じ、
『私たちが生きた魚を持って出向き、魚食体験をしてもらう、という出前授業のような取り組みがあってもいいのではないか!』
と考えて取り組み始めたのが「アユすくい・アジすくい」です。
アユすくい・アジすくいについて
「アユすくい」と「アジすくい」
それぞれ聞き馴染みのない言葉だと思いますので、ピンとこない方がほとんどではないでしょうか。
「○○すくい」と聞くと「キンギョすくい」を思い浮かべる方が多いと思いますので、それを踏まえて簡単にご説明すると、
「キンギョすくい」の “キンギョ” を “アユ / アジ” に、“ポイ” を “タモ網” に、掬った魚を “持ち帰る” ではなく “その場で調理して食べる” という体験にそれぞれ変更したものです。
余計に分からなくなりましたか?(笑)
そういう皆さまに向けて、ここから「アユすくい」の一連の流れを一部写真付きでご説明します!
① アユを観察して、タモ網で掬う
「アユすくい」の会場には大きなプールが設置されており、そこにたくさんのアユを泳がせています。
![](https://assets.st-note.com/img/1726733041-UY2Jh5KOEN1y9qV74jlirpZv.png?width=1200)
ここで掬っていただきます!
アユに限らず魚の飼育には “水質・水温管理” が大切であるため、水を綺麗にするろ過フィルターや水を冷やすクーラーが必要となるのですが、
当然そういった備品も持参して、魚になるべく負担を与えない飼育環境を整えるよう心掛けています。
![](https://assets.st-note.com/img/1726733121-ti5f7nHXM8QdBUToFgxKjpwP.png?width=1200)
飼育管理もバッチリです👍
さて、「アユすくい」を体験してもらうとなった際には、まず使用するタモ網の種類を選んでいただきます。
網の大きさや網目の細かさの違いから初級・中級・上級と分けることで、少しゲーム性を追加しています。
ここだけの話、上級の網は結構難しいです😅
![](https://assets.st-note.com/img/1726740053-L4aEJ3b9dcQ1ClzSvkBsjFWO.png?width=1200)
左から初級・中級・上級
タモ網を選んだ後、いよいよアユを掬っていただきます。
ここでがむしゃらに掬おうとすると、動きが速いアユを全く捉えることができずに掬えないことが多いです。
まずはアユをしっかりと観察して、どこに溜まることが多いのか、逃げるルートはどこか、などを確認してから始めると、上手く掬うことができます。
なかなか掬えなかったとしても、必ず1匹は掬えるようにサポートしますので、その点ご安心ください!
② アユを絞める
無事に掬うことができたら、そのアユをスタッフが預かり、包丁で絞める作業を行います。
※ 写真は念のため伏せておきます。
この時、掬った人に絞める様子を必ず見ていただくようにしています。
魚が暴れ、血が出るため、中には「かわいそう」と言う人がいるのですが、
私たちが魚を頂くためにはこの絞める作業が必要不可欠であり、そのことを知ってもらうことが、魚食育で最も大切なことの一つであると私たちは考えています。
その後、美味しく食べられるように血抜きと糞出しを行い、よく水分を拭き取ったアユをお渡しして、次の作業に移っていただきます。
③ アユの串打ちをする
続いて、下処理をしたアユについて “串打ち” をしていただきます。
アユの串打ちは、
串を刺して→ヒレに化粧塩をして→軽く塩を振る、
という流れで行うことが一般的です。
アユすくいを体験される方には、この串打ちの手順が書かれたマニュアルを見ながら実際に串打ちを行っていただきます。
といっても、初めての方には少し難しい作業ですので、こちらもスタッフが丁寧に説明しながらサポートします!
![](https://assets.st-note.com/img/1726733406-sF95UAJ12tl3wZLSi7qaEPdN.png?width=1200)
④ アユを焼いて食べる
キレイにアユの串打ちができたら、そのアユ串をスタッフが預かり、炭火で焼きます。
内臓が入ったままなので、中までしっかりと火が通るようにアルミホイルで覆うようにしています。
![](https://assets.st-note.com/img/1726733583-1TgazMY28hfmJ0AxUSbVclRB.png?width=1200)
横にあるアルミホイルで覆います
15~20分ほどじっくり焼くと…
アユの塩焼きの完成です!
![](https://assets.st-note.com/img/1726733640-AvWFz6oOTVNQK2pYgIuZH815.png?width=1200)
写真からも美味さが伝わってきます🤤
生きたアユを掬うところから始まり、最後は焼き上がるのを待つという、普通の出店よりもかなりの時間がかかるメニューとなっていますが、その分、食べた時の感動や美味しさは格別です✨
ここではご紹介できなかった「アジすくい」に関しては、大まかな流れは「アユすくい」と同じです。
Xで話題になったポストにその様子が分かる動画がありますで、そちらをぜひご覧ください!
#アジすくい をトライする #24JCS 会長。 pic.twitter.com/oibormx7Kg
— 日本循環器協会 (@J_Circ_Assoc) March 9, 2024
なぜ「アユ」と「アジ」?
今回、淡水魚として「アユ」を、海水魚として「マアジ」を選択したのですが、“味が良い” ことのほかに、それぞれ理由があります。
まず「アユ」に関しては、これまでの記事で何度か登場している、京都府京丹後市にある野間漁協さんから購入したものになります。
アユが生息する河川を管理する内水面漁協では、アユの友釣りで使用する“おとりアユ”の販売が収入源の一つとなっています。
しかし、アユ釣りのシーズンが終わると、当然ながらおとりアユの販売も終了することになり、残ったアユは行き場が無くなってしまうことが現状でした。
そこで、そのアユを私たちが購入することによって、少しでも収益の足しにしていただこうというのが、「アユすくい」にした理由です。
続いて「マアジ」に関しては、養殖により年中適切なサイズが手に入ることが一番の理由になります。
養殖技術の確立によっていつでも手に入るようになった魚は何種類かいますが、その中でプールでの飼育が可能、かつ手軽に掬うことができると判断したのが「マアジ」だったというわけです。
「アジすくい」で使用するマアジは、神戸で活魚の運送を専門にする番長グループさんから仕入れて運んでいただいています。
使い分けについては、出店の時期に合わせて、アユのシーズンであれば「アユすくい」を、それ以外は「アジすくい」を行うようにしています。
最後に
本記事では、海洋水産技術研究所(KAIKEN)の取り組み内容の一つである「アユすくい・アジすくい」についてご紹介しました。
ここまで魚食の一連の流れを体験できる出店は、(おそらく)私たちの「アユすくい・アジすくい」が唯一だと思います👍
『自分で掬ったアユあるいはマアジを調理して食べる』という体験は、忘れられない魚食経験になること間違いなしです!
この経験を通じて、魚食に興味を持っていただける人が一人でも増えるよう、これからも「アユすくい・アジすくい」を続けていこうと考えています。
この記事を読んで興味を持ってくださった方は、ぜひ機会があれば魚食体験にお越しください!
記事執筆時点では未定ですが、また出店が決まり次第、随時Xでお知らせします。
お楽しみに。
それではまた次回の記事で🐟