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物盗られ病。盗られた物は物だけにあらず!?

私が初めてのメルカリで見つけたものは
・終売したスプーン
・母のスプーンへの思い
そんなお話です。

父が亡くなってから徐々に認知症になった母。いわゆる「物盗られ病」の症状が出だしたのは数ヶ月前でした。

最初は、電話機でした。
戦後の苦労を知っているからか、なかなか使える物を捨てられない母。
昔の電話機を捨てられず、使用中を含めて電話機が3台ありました。
使っていない電話機を人に1台貸して、返してもらってから「これじゃない、盗られた」を繰り返すようになったのが始まりでした。

盗られていないからか、いつのまにか電話機ではなく「電話帳が盗られた」に変換されました。そんなもの誰が盗るねん!?となる事を大真面目に騒ぐのがこの病気です(苦笑)

盗られたと騒いでいる電話帳は、NTTから発行されていた職業別の電話帳の事のようで、自分で色々書き込んでいる物だと言います。
そうなると、もうお手上げです。
新しい電話機に変えた時、電話番号を全部 電話機の電話帳機能に入れて、自分でNTTの電話帳を処分した事を忘れてしまったようです。

やむえず電話機の中の電話番号を全て紙に書き起こし、手作り電話帳を作って渡しました。母は「こんな物で騙されない」と言いながら、不自由なく電話ができる安心感からか「盗られたけれど、もう良い」と言うようになりました。 電話帳事件は終了しました。ほっ。

ホッとしたのもつかの間、しばらくして急に「スプーンを盗られた」と言うようになりました。きっと、自分で洗い物の時に生ゴミと一緒に捨てたりして長年かけてなくなったのだと思います。
私の家のスプーンもいつの間にか 数が減ってきます(笑)
母は「安物だけが残ってる。良いスプーンを盗られた。」と、言いますが
随分前から1〜2本しか無かったのです。数が足りなくなって古い安物を足していたのだと思います。

そんな感じで私に毎日、日に3〜4回「良いスプーンを盗られた」と母が電話をしてくるようになりました。

そうこうしているうちに1〜2本あったはずのスプーンもスプーン立てに見当たらなくなったので、食器棚を調べて見ました。
食器棚の引き出しの奥に1本だけ見つけました。
自分で隠したのかなぁ?これは謎のままです。

見つけたスプーンをよく見ると”LOOKY WOOD”の文字がうっすら見えたので、同じスプーンを5本購入することにしました。

けれど探し出してすぐに同じスプーンは終売している事がわかりました。
ガックシです。
けれど諦めずに何処かお店に残っていないか調べていたのですが、見つけられずにいました。  その間も「盗られた電話」は毎日続いています(泣)

そして、もしや?と思ってメルカリを見てみると同じものがあったのです。

でかした!私。
でかした!メルカリ!

メルカリはしたことがなかったけれど、勇気を出して さっそく5本セットのティースプーンを購入しました。

その後も、母は一筋縄には行きませんでしたが、なんとか、スプーンを少しずつ戻し「スプーン盗られた事件」は、母の勘違いとして終わりました。
そして、ようやく私も「スプーン盗られた電話」から解放されました。
めでたしめでたし。

あのスプーンは、仕事と子育てを頑張った母が3人の子供達が大きくなって父と二人になってから、自分へのご褒美にと 少し良いスプーンを買いにデパートに行って購入したお気に入りの物だったらしく、思い入れが強かったのだと思います。 父との思い出もあったのかもしれません。
だから、兄がもっと高いスプーンを5本も買ってきて、「代わりに」とプレゼントしても気に入らず、私がよく似たスプーンを買って渡しても気に入らなかったのでしょうね。

メルカリは、誰かの不要な物を必要な誰かにつなげるだけの物だと思っていたけれど、それだけではなかったとしみじみ思います。
終売していたスプーンを新品で手に入れることが出来たのは、メルカリだからこそです。結果、母の気持ちを大切にしてあげれました。良かったです。感謝しています。

私が初めてのメルカリで見つけたものは
・終売したスプーン
・母のスプーンへの思い
そんなお話です。


最後まで読んでいただき、ありがとうございました。



#メルカリで見つけたもの

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