小さな雷
概要
還元剤と酸化剤の電子の交換によって発生する熱がメタノールを引火させて光(雷)を発生させる。
本当の天気で見る雷の原理とは少し異なる。
試薬
実験: 濃硫酸(H2SO4 98%)、メタノール(CH3OH)、過マンガン酸カリウム(KMnO4)
処理: 過酸化水素(H2O2 35%)、水酸化ナトリウム(NaOH)
使用器具
試験管、2mlピペット、5mlピペット、10mlピペット、 薬さじ(×2)
スタンド、水槽、試験管立て
実験手順
(実験)
0.ゴーグルと手袋をつけて水槽の中に水を入れ、スタンドに試験管をセットする。
1.硫酸を3ml、試験管の中に注ぐ。
2.ゆっくりとメタノールを6ml、試験管の中に注ぐ。
3.試験管に少量の過マンガン酸カリウムを加える。
4.しばらくすると上下の2つの層の間にパチッという音とともに光が発生する。
(処理)
1. 試験管の中に過酸化水素2ml注ぐ。この時に小さな煙が発生する。
2. 2粒ほど水酸化ナトリウムを加える。このときも同様に煙が発生し、中和熱が発生する。
原理説明
過マンガン酸カリウム(KMnO4)を試験管の中に入れると、過マンガン酸カリウムと濃硫酸(H2SO4)が反応して、緑色の七酸化二マンガン(Mn2O7)が生成される
KMnO4+ 3H2SO4→ K++ MnO3+ + H3O+ +3HSO4-
KMnO4→ K+ + MnO4-
MnO3+ + MnO4- → Mn2O7
七酸化二マンガンは酸化剤(他の物質から電子を奪う)でメタノール(CH3OH)は還元剤(他の物質に電子を与える)ので、この2物質の間で電子のやり取りが行われる。
Mn2O7 + CH3OH → 2MnO2 + CO2 + 2H2O
この電子のやり取りで発生した熱によって、気化したメタノールが発火し、小さな爆発が起きる(雷)。
補足
ちなみにこの小さな雷の実験が本当の雷とは異なる。実験では電子の交換によって発生した熱がメタノールを引火させて、爆発が起きた事によるものである。
よく見る雲の雷の方は…
1. 湿った空気が上昇して上空で大きい水滴の塊(雲)となる
2. 雲の中に氷ができ、上昇し大きくなってゆく
3. 上昇気流が重力に負けて氷の粒が下降を始める
4. 3より下降する氷の粒と上昇する粒が衝突し、帯電する
5. 4より地面にプラス電荷が貯まる
6. 雲が大きくなりプラス電荷とマイナス電荷が大きくなり、空気が耐えられなくなったときに放電が起きるのが雷