快児

ピン芸人の快児です。Twitter 快児で1番上に出ます。 エンタの神様には10回だけ出てました。 R-1ぐらんぷり2013準決勝進出YouTube「快児チャンネル」登録お願いします!鳥居みゆきの単独ライブの物販パンフレットずっと書いてます。

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最近の記事

新宿ゴールデン街に潜む子悪党【第34話(最終回)】

〜結末〜 村岡が、荻野を栃木の山に捨ててきた3日後、新宿ゴールデン街の片隅にあるバー「ジッポ」に響、村岡、香が集まった。 テレビでは荻野が大阪での殺傷事件の犯人として捕まったとのニュースをやっている。 「連絡手段がなかったからあいつのボスも動かれへんかったんかもな」 「そうですね。揉み消し様がない」 「で、ヒビちゃんは今どういう気持ちや?」 「…殺したい。ずっとそう思っていました。でもここまで派手に懲らしめることができて、警察にもちゃんと捕まって、なんていうか、爽快

    • 新宿ゴールデン街に潜む子悪党【第33話】

      〜葛藤〜 カチッカチッ 何度引き金を引いても玉は出なかった。香が残りを抜いていたのだ。 「殺したいって言い出したのは私だけどさ、やっぱり殺すのはいけないよ。そう思った」 「だから玉を抜いたのか?」 「うん。ヒビちゃんが人殺しにならないように。やっぱりダメだよ。そんな復讐したってお母さん喜ばないよ」 「そうかな」 響は銃口を下げた。 「昔から思ってたよ。ヒビちゃんがこいつ殺すんじゃないかって」 「昔?いつからだ?」 「犯人の写真見せてくれた時。ヒビちゃん震え

      • 新宿ゴールデン街に潜む悪魔【第32話】

        〜拉致〜 荻野の両腕をロープで縛り、目隠しをして歩かせる。 香がハンディビデオで撮りながら進む。こうすれば道行く人も何かの撮影だと思うだろう。 ゴールデン街の二階に続く急な階段を上がらせる。足を負傷しているのでかなり時間がかかる。 ジッポに着いた。荻野を椅子に縛り付ける。 「お前ら俺にこんなことしてどうなるか分かってんのか?」 「分かってるよ。他の暴力団員に殺される。あんたが連絡すればの話だけどね」 答えたのはいつの間にか変装を終えた響だった。 「誰だお前?」

        • 新宿ゴールデン街に潜む子悪党【第31話】

          〜決戦〜 響と村岡は作業服に着替え、例の手段で荻野の家に忍び込んだ。 ただひたすら帰りを待つ。香は危険なので置いてきた。 以前割ったガラスは修復されていた。 「また割っちゃって悪いね」 響はそう呟く。 「そろそろ帰ってくるで。GPSがそーゆーとる」 村岡のスマホを見るとターゲットがこちらに進んでくるのが分かる。なんて便利な機能だ。 響はユニットバスに、村岡はクローゼットに身を潜める。帰ってきた瞬間二人で襲いかかろうという算段だ。 カギを開ける音がする。 帰って

          新宿ゴールデン街に潜む子悪党【第30話】

          〜最後の犯行〜 響は黒いエナメル質のつばの大きな帽子を購入する。50個目だ。 そして巣鴨の漫画喫茶に行く。 アメリカンスピリットに火をつける。これまでの犯行とここ五年のことを思う。 いよいよだ。 宣戦布告の時は来た。 パソコンで自分のメール画面を出す。今回はSNSではない。メールだ。 荻野のメールアドレスを打ち込む。 そして 「今日あなたを裁きます」 と書き込んだ。深く呼吸をしてから送信する。 迷惑メールと思うだろうか。それとも自分の悪事がバレたかと思い怯え

          新宿ゴールデン街に潜む子悪党【第30話】

          新宿ゴールデン街に潜む子悪党【第29話】

          〜告白〜 一連の犯行を終えた3人はジッポに戻った。 「大成功やったやんか。あいつの居場所も本名も分かったし」 「そうですね。収穫ありました」 「でもヒビちゃん、あいつにいじめられてたっていう過去は嘘やろ?」 「あはは。バレてましたか」 香は何も言わない。 「香なんか具合でもわるいんか?」 「いや…そんなことないけど」 ラブホテルであったことを言おうかどうか迷っていた。 妙なことをしたら家族も自分も殺されるかもしれない。 体が小刻みに震える。 「コンロで何か

          新宿ゴールデン街に潜む子悪党【第29話】

          新宿ゴールデン街に潜む子悪党【第28話】

          〜ラブホテル〜 「やだー、まだ会って間もないじゃーん」 恐怖を感じながらも香は酔っぱらいを演じる。 荻野は何も言わない。 「今日は帰ろうよー!今度ね今度」 引っ張る力が更に増す。香は全く抵抗できない。 この男はいつでもこんな風に女を無理矢理連れて行くのか。 「助けて!」 そう言ってみたが、相手が大男だからか皆見て見ぬふりをする。それ以前に平日なので人通りはまばらである。 「声を出すな」 小さくて冷たい声。 香は畏縮する。 それでも香は助けを呼ぼうと息を吸い込

          新宿ゴールデン街に潜む子悪党【第28話】

          新宿ゴールデン街に潜む子悪党【第27話】

          〜捜索〜 響は漫画喫茶からSNSの裏アカウントに 「今日赤坂見附で4回目の空巣に入ります」 と書き込み作業服に着替えた。 今回の空巣は今までとは違う。意味を伴う。目的がある。ターゲットが決まっている。 村岡からの「今でかい鞄持って出ていったで」との連絡を受けた。探偵が味方につくとこうも簡単にターゲットの情報が分かるのか。響は村岡に感謝する。 空巣に入るなら今だ。 スパナとガムテープを持ってベランダまで行き、カシワギの家の窓ガラスを割る。少々複雑な鍵だったがなんと

          新宿ゴールデン街に潜む子悪党【第27話】

          新宿ゴールデン街に潜む子悪党【26話】

          〜マスコミ〜 1年前のある日。 「この度は本当に申し訳ないことをしてしまったと猛省しております。遺族の方々にはなんとお詫びをしていいやら…」 響は昼間テレビでワイドショーを見ていた。画面の中では医療ミスをした病院の院長が歯切れ悪く謝罪会見をしている。 「人の命を奪ったんですよ!どう責任とるんですか?」 「それは…私が責任をとるという形で辞任しまして…」 「それは逃げではないですか?あなたが辞職したところで何も変わらないと思いますが」 「はい…今後このようなことが

          新宿ゴールデン街に潜む子悪党【26話】

          新宿ゴールデン街に潜む子悪党【第25話】

          〜尾行〜 「あいつと遭遇したわ。今尾行してる」 響に小声で報告をする。 「くれぐれも気をつけて。バレそうになったら止めてもいいですからね」 カシワギは駅に向かって歩いている。少し酔っ払っているのだろう。千鳥足でゆっくりと歩を進める。 15メートルほど距離をおく。そして目線はカシワギの足元だ。これはもし相手が振り返った時目が合わないようにする為である。ただ同じ方向に歩いている人間に見えなくてはならない。これは尾行の基本だ。 新宿駅が近づいてきた。人通りが多くなる。見失

          新宿ゴールデン街に潜む子悪党【第25話】

          新宿ゴールデン街に潜む子悪党【第24話】

          〜コンロ〜 なぜカシワギは指名手配にならないのか。普通なら顔写真まで撮られている訳でニュースに顔写真が映ると思うが。 響は考える。証拠がないのだ。カシワギを犯人だと関連付ける証拠が。 実際、母が殺されたことはニュースにはなったが、犯人は不明で逃走中とのことだった。 それから月日は過ぎ、その事件のことは世間に忘れ去られた。響の中には色濃く残っている負の思い出も皆にしてみれば大したことではないのだ。 なら顔写真はどこから出たのか。警察としか思えない。重要参考人として召集を受

          新宿ゴールデン街に潜む子悪党【第24話】

          新宿ゴールデン街に潜む悪魔【第23話】

          〜打ち合わせ〜 時は現在。 響は村岡と香をジッポに集めた。 「例の写真の男を追い詰めることにします。力を貸して下さい」 「なんでや?写真まで持ち歩いてそんなに恨みあるんか?」 「学生の頃ずっといじめにあってまして。今でも許せないんですよね。そんな男がこの街にいた」 我ながらチープな嘘だ。だが母を殺した犯人と言ってしまうと二人が遊びのノリで手伝ってはくれないように思う。だからそこは隠しておく。 「そーなんだー。どんなことされたの?」 「放課後殴られたり、手錠をつけて

          新宿ゴールデン街に潜む悪魔【第23話】

          新宿ゴールデン街に潜む子悪党【第22話】

          〜考える〜 響は考える。 自分は何のために犯罪を繰り返すのか。 母を殺した男を追い詰めるための予行演習? 本当に予行演習になっているのか? 楽しんでいるだけではないのか? 犯行を成功させた自分に酔いたいだけではないのか? 犯人の気持ちを知る? 知ってどうする? 知ってなんになる? 所詮金に困って空巣に入って、人に見つかったから殺しただけだろう。 心理など知っても仕方がない。 だが、もう自分は走り出してしまった。 元々犯行は50回と決めていた。あと2回

          新宿ゴールデン街に潜む子悪党【第22話】

          新宿ゴールデン街に潜む子悪党【第21話】

          〜捕獲〜 バー「ジッポ」をオープンさせた3ヶ月後、バー「ロンソン」のオーナー吉田玄太が初来店した。 「雰囲気いいねー。これ全部ヒビちゃんのセンス?」 「まー。そうですね。前に赤坂で飲んだ店のミニチュア版ですよ」 薄暗い店内には、一枚板のカウンターに樽の椅子が整然と6つ並べられている。壁にはジャックダニエルのポスターや、フランス映画のポスター、芝居のチラシ等が貼られている。 「じゃーハートランドもらおうかな」 店には約30種類のウィスキー、スコッチ、ブランデーと、約

          新宿ゴールデン街に潜む子悪党【第21話】

          新宿ゴールデン街に潜む子悪党【20話】

          〜語り終えて〜 「ざっとこんなもんです。殆どが子供のいたずらだ」 響は20ほどの犯行について語った。こんなにしゃべったのはいつ以来だろう。もしかすると過去最高かもしれない。 香はまだ足りないといった顔で 「もう終わりー?48個全部聞かせてよー!」 と言った。 「忘れたのもあるし、語ってもつまらないものもある。それよりこれ以上喋ると俺の舌が干からびる」 「でもよーそんだけやったなー。そのモチベーションどっから来てんねん?」 「犯罪を犯していて気づいたことが二つあ

          新宿ゴールデン街に潜む子悪党【20話】

          新宿ゴールデン街に潜む子悪党【19話】

          〜爆弾〜 「殆どが軽犯罪ですよ。でもこれだけの数を重ねたとなると刑罰はどれくらいになるんでしょうね?」 「数が数やからなー。それに空巣は軽犯罪ちゃうやろ。何も取ってないにしてもや」 「まー。ヒビちゃんのことだから捕まりはしないと思うけどね。手錠かけられて連行される姿が想像できない」 香が両腕を前にして手錠をかけられたマイムをする。 「もっとほしいわ。ヒビちゃんの武勇伝は聞いとって飽きへん。俺もやりたくなってきたな」 「私も。ヒビちゃんはなんだかんだで犯罪を楽しんで

          新宿ゴールデン街に潜む子悪党【19話】