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「世話人って何?」福祉素人がグループホームでお仕事体験してきました!
みなさん、伝説の世話人、友利さんを覚えていますでしょうか?
そう、元区長であり、海邦福祉会のグループホームができた当初「うちの区内で何をはじめる気だ」と乗り込んできたあの友利さんです。
その後区長を辞めて世話人になった友利さんが、人脈で多くの世話人を採用してきたため、当時の記事には「現在世話人は募集していません」と書きました。
が、今年に入りやむを得ない事情による退職が相次ぎ、急遽世話人が足りていないとのこと。(友利さんは顕在!)
前回の記事では友利さんの凄さだけが浮き彫りになったため、もしかしたら世話人のハードルが上がりすぎてしまったかもしれない...ということで、逆にめちゃくちゃハードルを下げるべく、noteを担当する外部ライター三好が、グループホームのお仕事を体験してきます!(実は一度やってみたかった)
ということで「世話人って何?」レベルの超素人がお仕事体験に行ってきました~!
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集合時間は朝の6時30分。
私はグループホームから車で1時間ほどの場所に住んでいるため、5時10分に家を出ました。家を出る時もグループホームに到着した時も真っ暗で、友利さんに会ってすぐ「月が出てるさ」と言われました。
暗闇の中、ホームに入ります。
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グループホームは区内に6か所あり、全ホームの世話人が朝に一度、このホームに集まるそう。全員で朝食の支度をして、それぞれの持ち場に出ていくようです。
(新しい方も仕事を覚えやすいように、との理由で最近このやり方に変わったとか)
メンバーが揃うと、それぞれ仕込んだ料理を温めたり炊き上がったお米をよそったりと、支度がはじまります。
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支度をしている間、早起きな利用者さんがキッチンに集まり、話しかけてきます。
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利用者さんと会話しながら、器用に朝食準備を進める世話人の方々。これはまるで2歳児の相手をしながら朝食を作る、普段の私の朝のようです。
ひとつ違うのは、同じ世話人の方同士で会話をしながら進められること。母親業ってひとりでやると孤独なんですよね。こうして朝みんなで集まって、女子トークができるのは結構うれしいかも。
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今日の朝食は、中華風に炒めた野菜と魚のフライ、ゆで卵が乗ったどんぶりとスープ、杏仁豆腐のデザートです。(彩りも栄養バランスも考えられている!)
献立は特に決まっておらず、前日の夜に遅番の人が仕込んだものを仕上げて出すスタイル。前日、トラブルなどにより仕込みに手が付けられないこともあるため、仕込み状況は日によってまちまちとのこと。朝の冷蔵庫を見て状況を察し、臨機応変に食事を準備するのだそうです。(プロだ...!)
朝食を準備したら、他のホーム担当の方は食事をかごに入れ、いそいそと各ホームに移動します。
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改めまして、1日の流れはざっくりとこんな感じ。
6時30分 出勤、朝食準備
7時 起床声かけ・生活支援
7時30分 朝食・お薬提供
8時30分 送り出し
9時 食材買い出し・仕込み
10時 清掃(居室、リビング、トイレ等)
10時30分 退勤(休憩・中抜け)
というわけであっという間に7時30分。テーブルに朝食と薬を置きます。くるぞくるぞ。(ドキドキ)と思っていたら...
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みなさん続々と降りてきて、ごはんを食べはじめました。
あれ?普通に自分で洋服を着て、お箸を使ってごはんを食べてる...。
てっきり起こしに行って洋服を着せてあげたり、あーんして食べさせたりするのかと思ってました。全部自分たちでできるの...?
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7時30分きっちりに来る人もいれば、8時に来る人もいますが、みなさんそれぞれのペースでごはんを完食し、それぞれに自室へ帰っていきました。
驚いて友利さんに「生活補助的な仕事があると思っていました」と言うと、
「ここは生活の訓練の場。ここに来たばかりの人は、最初は施設で至れり尽くせりだったから、私がやってあげないとポカンとした顔で見ることもあるよ。だけど、五体満足でお箸を使える能力があるんだから、なんだってできるさ。体験が不足しているだけ。ちゃんと使わせてあげないとね」とのこと。
他にも、
気を遣って支援しすぎる方が「できない」になってしまう。
できるでしょって顔をしておいたらいいの。
注意もしなくていい。
彼らはどこに行っても過保護にされてきた。
でもこれほど時間が余っている人にやってあげるのは、逆に迷惑じゃない?
時間が余り過ぎているのに、残った時間で何をするの?喧嘩するさ(笑)
いちいちあれこれ言わなくても、世話人の存在は感じてるから、それで十分だよ。
と格言が次々と。さすが友利さん...。
そしてこの教えは、子育ての学びにも繋がります。
と、ここで速足でお風呂に向かう利用者さんが。
「便失禁!便失禁!」と言っています。
その様子を見た友利さんは笑顔で「はいはい、便失禁ね!行ってらっしゃい」と手をひらひら。
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「便失禁の処理も自分でできるんですね」と思わず聞くと、「前はできなかったさ」と友利さん。
「こういう時、怒ったり気を遣ってやってあげてたら隠すの。だからね、こういうのはオープンにするわけ。恥ずかしいことじゃないという態度で接していれば、隠さず自分で洗いに行くわけさ」。
以前は便失禁を隠してしまい、数日後にふとんからカピカピの便を発見することもあったそう。便失禁を禁句扱いにしなくなってからは、こうして自己申告をして自分で洗うようになったのだそうです。
さて、そんなこんなで特段トラブルのようなことは起きず、無事みなさん通所施設やお仕事に出かけていき、9時頃にはみなさん出払いました。
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心配な人には「パンツ持った?」「忘れものない?」と声をかけながら見送り、その後はひたすら家事。掃除機をかけたり、洗濯物を取り込んだり、トイレ掃除をしたりします。(トイレはやはりそんなにきれいではないです。でも超やばくもない。)
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掃除や仕込みはあっという間に終わり、早番業務は終了です。お疲れさまでした~。
ちなみに私は今回、早番(6時30分~10時30分)ですが、遅番(15時~19時)もあり、通しで入る方もいらっしゃるそうです。(休憩が4時間半あるので、日中に銀行に行ったり自宅の家事を済ませられるのは魅力!)
体験を通して思ったこと
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さて振り返り。
体験前、私は過去の自分の職歴を振り返り、もしかしたらエステシャンとして働いた経験と魚市場でバイトしていた経験が活かせるかもしれない!と張り切っていました。
エステで体をふいたり毛を剃ったりしていた経験は生活補助に活かせそうだし、魚市場で怖いおじさんに散々怒鳴られたから多少暴言を吐かれても平気です。
だけど結局、どちらの経験も特に活きることはありませんでした。みなさん自分のことは自分でできたし、怒鳴られることもなかったのです。
実のところ、一番活きた経験はなんと母親業。私はまだ2年しか経験値がありませんが、知的障がいのある彼らは、私が普段接している2歳児をすこし大人にしたような、あどけなさや憎めなさがありました。ごはんを完食したり自分でお皿を片づける姿を見て「こんなにできるんだ!すごい!」と思った時のまなざしは、息子に向けるものに近かった気がします。
部屋に掃除機をかけながら「うちの息子も高校生になったらこんな感じなんだろうな」と妄想にふけるのも、ちょっと楽しかったです。なんてったって、男子のにおい。母親になる前だったら、正直「くっせ」と思ったかもしれません。(ごめんなさい)
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が、これはあくまで1日「だけ」体験した私の感想。実際、10年働く世話人の方にお話を伺ったら「今日はみんな120点!」とのことでした。いつもと違う人(私)がいることで、今日はちゃんとしてくれていたみたいです。(人ってそういうとこあるよね)
本当の日常では暴言をはかれる日もあれば、わらわら群がってきて家事的なお仕事がまったく進まない日もあり、喧嘩や言い争いに辟易し、利用者さんの顔を見たくない日もあるそう。もう明日から行かない。行きたくない。と胸が苦しくなる日もあるけど、結局なぜか次の日も行くのだそうです。
そう教えてくれた世話人の方の、なんとも言えない表情が印象的でした。これが10年働いてる人の、本当のお仕事なのだなと思いました。
きっと同じではないけれど、母親業をしていても思います。1日だけなら誰でもできる。むしろ楽しめる。だけど毎日積み重ねる大変さはあり、毎日顔を合わせる関係性だから逃げられないこともある。少なくとも息子が0歳の時、四六時中一緒にいたからこそ「今日は本当に無理」と思う日が私にはありました。
母親だから逃げなかったけど、仕事だったら逃げたかもしれません。だから世話人の仕事ももしかすると、はじめることよりも続けることが大変なのかもしれないと思いました。
簡単な仕事だよ!と伝えるためにお仕事体験をしましたが、簡単な仕事だよ!と締めくくりたくない気持ちになっています。デビューしやすいからといって、簡単なわけではないというのが、私の正直な感想です。もしかしたら自信がある方よりも、自信がない方の方が合っているかもしれません。
簡単にはじめられるけど、簡単には続けられないかもしれない世話人のお仕事は、週に1日、3時間~スタートできます。最初は少しずつ入ってみて、慣れてきたらシフトを増やすのもいいかもしれません。とっても融通が利きます。
雇用形態は人によってさまざまで、早番or遅番だけ出勤の方や、時間を調整して親の介護と両立している方、3時間勤務×週6回、8時間勤務×週3回という方もいました。週末のみの出勤もOKで、ダブルワークや介護との両立、子育てが落ち着いてきた方にも向いてそうです。もちろんフル出勤の正社員もOKです。
そして、おすすめしたいのは家が近い方!那覇から出勤は大変だったけど、友利さんは歩いて来ていて「いいなぁ」と思いました。(実際に近所にお住まいの方で、運転免許がなくても働けることにメリットを感じている方もいらっしゃいました)
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