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自立歩行で問題ない人と、杖・歩行器を使ったほうがいい人の線引きって難しい(本当は必要だけど・・・)


今回のnoteでは、「自立歩行で問題ない人と、杖・歩行器を使ったほうがいい人の線引きって難しい(本当は必要だけど・・・)」というテーマでお話してみたいと思います。



●歩行器を使った方がいいと思われるご利用者、本人は拒否(先日あった事例より)

今回のnoteでお話する内容は、先日実際にあった事例が元になっています。
事例はざっとこんな感じ。

・入院中の女性の高齢者、退院にあたり、歩行補助で杖or歩行器の相談
・夫との二人暮らし(老老介護)
・入院するまでは、動作は遅いが自立して生活ができていた
・天気のいい日は、夫と二人で近くの公園を散歩するのが日課だった
・1ヶ月前に急に動けなくなり救急車で搬送されそのまま入院
・動けなくなった原因は病院でいろいろ検査したもののわからず
・入院中リハビリを続けながら状態もよくなり、なんとか入院前に近い状態まで回復し退院
・リハビリのスタッフからも、転倒してしまってはせっかく回復した状態が無駄になってしまうことから、今の状態を維持できるよう、在宅に戻ったら歩行器とか杖を使ったほうがいいとアドバイスされていた

という感じの方でした。

このような状況で私達福祉用具専門相談員がまず優先して考えるのが、「転倒して怪我をしないこと」。高齢者につきまとうのが「転倒のリスク」です。せっかく状態も回復したので、その状況をなんとか維持してもらえるようにしてほしい!さらに、このご利用者は、天気のいい日に夫と一緒に公園を散歩する日課が一日の楽しみでもあり、その楽しみをできる限り続けてもらいたい!と考え、歩行器をおすすめしたのですが、返事は、「そんなものに頼りたくない、入院前のように何もなくても散歩できる」でした。

私としては、
・外の道は、屋内とは違って凹凸もあり砂利や砂の道だったりして、歩行が不安定になるリスクは屋内よりも高い
・自分から運動しようとする人も少なかったりする中で、せっかく自発的に歩行する機会を楽しみとして持ってもらえており、歩行は筋力の維持や体調をよくしていく効果もあるため、なんとかその楽しみを維持してほしい
という思いもあり、拒否にくじけずに何度か、お試しでもいいので一度使ってみてはどう?とおすすめしましたが、使わなくていい、との返答は変わりませんでした。


●自分に置き換えてみると本人の気持ちもよく分かる

そんなこんなで、結局歩行器の導入は見送りになったのですが、そこで私も客観的に「もし自分が同じ立場だったらどう思うだろう」と考えてみました。
私自身、普段は仕事で福祉用具を色んな方にご提案する仕事をしていますが、いざ自分が利用する側に回ったとすると、真っ先に頭に浮かぶのが、
「できれば何も頼らずに生活したい!」という気持ち。
困った人に福祉用具を使ってもらうことで、その人の生活に貢献できることが、この仕事の「やりがい」になっているのですが、福祉用具を受け入れるご利用者の気持ちについて、改めて寄り添っていくことが大事であることを強く感じました。
福祉用具を導入して喜んでもらえるご利用者もたくさんいますが、単純に喜んでもらえるだけではなく、これまでできていた動作や生活ができなくなっているという部分への諦めを感じながら過ごしていることを理解する必要があると感じたのです。


●「福祉用具導入の提案」と「ご利用者の拒否反応」の問題は永遠のテーマなのかも・・・

今回のnoteで取り上げたこのような内容というのは、実際に数え切れないくらいたくさん起こりますし、私自身、色んな方と接していく中で、同様のケースを本当にたくさん体験してきました。
明らかに生命に関わるような問題であれば、強引にでも福祉用具を導入していったりするのですが、通常では、なかなか本人や家族の意向などで、思うようにいかないこともたくさんあったりします。
少しでも良くなってほしい、今の生活を維持してもらいたい、という思いから、いいと思ったことは積極的に提案はしていこうと思って仕事していますが、今回のような事柄は今後もたくさん起こるはず、間違いなく!

まあ、今後も葛藤を重ねながらも、くじけずにいいサービスを提供できるように頑張っていこうと思った次第です。




ではでは。

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