vol.13 友達の介護を経験して <友田教仁>
私は医療従事者として働いている26歳の友田です。普段は病院にて高齢者の方々のリハビリや退院支援について関わらせてもらっています。
そんな私ですが、様々な縁あって、脊髄損傷で車いすユーザーになった28歳の友達と2泊3日の沖縄旅行に行くことになりました。この友達とは、普段は車いすテニスを通じて関わりを持っており、障害の程度や本人の性格などは大まかには知っている状態でした。
だからこそ、
・車いすで飛行機などを使って遠出をするということ
・排泄の問題など
2泊3日の旅行が、本人にとって大きな勇気のいることであることはよく理解していました。
でも、本人からは
「お前がおるならなんとかできるだろう」
と言ってもらい、少しでも本人の背中を押すきっかけになればと嬉しく思う反面、責任は大きいなと思っていました。
<沖縄での様子>
沖縄では、トイレ、着替え、整備が不十分な道の介助、レンタカーへの移乗など様々なタイミングでの手伝いが必要でした。
レンタカーを例にとると、
本人は、車の移乗は日常生活では自立しています。しかしそれは、いつもの車の高さ、ハンドルの位置、座席との距離感など多くの条件が整っている場合です。今回、レンタカーでの移動をしたのですが、いつもと違う車で、しかも運転席ではなく助手席への移乗となると、1人で行うにはとても難しい状況でした。
体の不自由な部位が多い方にとっては、少しの環境の変化が普段できている動作も難しくさせる、とても大きなバリアになるということがよく分かりました。
この他にも、たくさん介助の必要な場面はありました。
しかし、手伝いの「量」については常に意識していました。今回の旅行で求められているのは、「介護者」ではなく、「楽しい旅行」です。介護者としてではなく、友達として旅行にきているので、全ての動作に手伝いをしていてはいらんお節介になって楽しくない旅行になってしまいます。介助をすることは必要ではあるけどメインではありません。
友達として手を出しすぎない距離感を保ちつつ、必要な介助は素早く行ってより楽しい旅行にすることが、沖縄での必要なことであるなと旅行をしながら感じていました。
結果、旅行は無事に終えることができました。その方にとっても、2泊3日を乗り切ったことが少し自信にもなり、非常に楽しい良い旅行になったのでよかったなと思います。
<旅行から帰って>
沖縄旅行を通じて「介護」について少し考えることがありました。
介護という言葉を調べると、
”障害者の生活を支援すること、あるいは高齢者・病人などの介抱し世話すること”
(Wikipediaより)
と記載があります。
介護は「世話すること」。確かにそうですよね。できないことを手伝って目的を達成していくことに間違いありません。でもこれは、介護者側からの一方通行な表現な気がします。
今回の旅行を通じて、一緒にいく友達と「必要とする介護」と「そうでないこと」をコミュニケーションを取りながら確認し、一緒に楽しい旅行を作っていきました。
つまり、一方通行でない、共通の目的地に向かってお互いが笑顔になれる条件をコミュニケーションを取りながら探していく過程が「いい介護」なんだろうと思いました。
これは介護に関わるどんな場面でも大事なことであるなと感じます。
病院での業務も、年数がある程度経ってくると、経験から、この対象者さんはこうしたら正解だろうと、つい考えを押し付けてしまいがちになります。でもそれは、一方的な考えであり、その対象者さんがどう捉えているかは分かりません。
対象者さんとコミュニケーションを取りながらより最適な着地地点を探す。
とてもとても当たり前なことですが、意外と難しく、自分の業務を見直す必要があるなと思った旅行になりました。
友田 教仁
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