Vol.3 『介護の始まり〜義理の息子ができること〜』
いつか始まる分かっていた、義父の介護。
僕は今、その入り口に差し掛かっている。
2018年12月28日、義父が退院した。
妻の実家は、義母と義父の2人くらし。
子供は、姉と妹。
どちらも、結婚し子供が小さい。
実家と姉は3時間、実家と妹は5時間の距離に住んでいる。
僕は、その妹と結婚した。
2014年12月に。
僕は38際で、妻は35歳。
長男長女でもなく、同居でもなく、義親。
義息子の僕に、出来ることがあるんだろうか。
ずっとそう思っていた。
義父が入院するきっかけとなったのは、2018年10月上旬のこと。
立とうとしたら、「尻もち」をついて腰が痛くなったと、妻に連絡が入った。
妻は、慌てて2〜3日後に急いで、子供2人を連れて帰省した。
その時は、幸い状況は良くなり、歩けるようになった。
もう大丈夫かなと思ったが、残念ながら状況は悪化した。
11月に入り、実は最近は寝ている時間が多く、「褥瘡」が出来た。
腰の痛みは「骨折」によるものらしいと連絡があった。
その週末は、僕も一緒に慌てて、帰省した。
帰省自体は、車で5時間、そこまで大変ではないが、子供がいるとまあまあ大変。
僕が出来ることは、帰省している時の子守。
あとは、今後のことについて「妻」が「親」と「話しあう」。
というスタンスで、何かあれば、意見を言ったり、話し合いが対立構造になった際の調整をするなど。
そんなイメージで、具体的に役に立てることはあるのかな?という感じの帰省だった。
妻は、母や、父と話しをし、その場に僕を呼んだ。
僕は、何をすれば良いのか分からず、話を聞き、とりあえず思いつく話をした。
多分、手すりをつけたほうが良いんじゃないか?
杖を使ったほうが良いんじゃないか?と言う、普通の話をしたと思う。
正直、かなり「戸惑った」。
どこまで言うべきか。
どこまで聞くべきか。
この場の話し合いのゴールや妥協点はどこか。
全て手探りだった。
やがて、その話し合いは終わり、僕がいた事による意味や、手応えは正直わからず、意味があったのかな〜と思った。
のちに、妻から居てくれて有難うと言われ、感謝された。
僕が、「何が?」と聞くと
妻は、「いつもより父は話を聞いてくれた」、「話をしてくれた」と。
良かったと思った。「僕がいる意味」や、「参加する意味」はこんなところにあるらしい。
きっと、義理の子供が、義理の親が介護が始まる時は、僕の気持ちと似ているのだと思う。
義理の子供が、できることなんてあるんだろうか?
出来るとしたら、何なのだろう。
実際あるのは、介護している人の情報で、しかも良い情報か悪い情報。
義理の子供の体験としての情報はない(少なくとも僕には見つけられない)。
もし、もう少しだけ義理の子供、つまり配偶者の参加に、こんな意味があると分かれば、介護やそれに伴う、話し合いなどに参加できると思う。
介護は、育児以上に参加のハードルが高い。と思った。
今日は2018年12月29日。
昨日、義父が退院した。
介護保険の申請をし、ベットが入ったらしい。
妻や義母からすると、手すりをつけたり、歩くときの支えの道具が欲しいらしいが、義父はいらないと。
今日、義姉が帰省する。
きっと、似ているやり取りがされるのだと思う。
義姉は「手すりや、杖を使って欲しい」と言い
義父は「いやだ」と。
義母も、義父も、義姉も、それぞれ良かれと思って、していることや言うことが、相手に受け入れられず、ストレスになる。家族だからこそ、言いすぎてしまったり、冷静になれないことがある。
そんなときに、義理の子供は、いくらか客観的なので、きっと緩衝材になったり、話し合いの整理、また伝えることもできることがあるような気がする。
僕たちは、
普段から人の価値観が違うこと。
正しさでは人が動かない。
と言うことを知っている。しかし、実際に当事者としてその場に行くと上手く機能しない。
だから、客観的にでも当事者としても関われる、義理の子供の役割は大きいのではないだろうか。
半年後、1年後、義父の状態が良くなるのか悪くなるのか、分からない。
確実なことは、いつか死ぬことであり、その前に介護が必要となる可能性は極めて高い。
僕たち家族にとっては、始まったばかり。
出来ることがあるかないかは、のちに分かること。
今回の年末年始、予定していなかった、妻の実家への帰省をするかもしれない。
妻に、僕という立場を上手く使ってもらえるよう、事前に話し合っておこうと思う。
価値観や考えは、話さないとわからないし、変化するのが当たり前だから。
今回は、介護が始まるきっかけ。
義理の子供だからこそ、出来ること、意味があることがある(とこの先も思う)。
今後も、出来ることをしていこうと。
(仮)田中健一38歳
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