才能は開花させるもの。センスは磨くもの9
「俺は、バレーを続けるか迷ったりして、相談に行った。でも、迷ってるなんてポーズだって、すぐ見抜かれた。」
「自分の力の上限をもう悟ったって言うのか?技も身体も精神も、何ひとつ出来上がっていないのに?」
「自分より優れた何かを持っている人間は、生まれた時点で自分とは違い、それを覆す事など、どんな努力・工夫・仲間をもってしても不可能だと嘆くのは、全ての正しい努力をしてからで遅くない。ただ、自分の力はこんなものではないと信じて只管まっすぐに道を進んでいく事は、自分は天才とは違うからと嘆き諦める事より、辛く苦しい道であるかもしれないけれど。」
「俺は、この人から学ぶって決めた。そしたら翌年から、アルゼンチンに戻っちゃってね。まあ海外には絶対挑戦する事になるし、それがちょっと早くなっただけ。行きたい舞台(ばしょ)は、どうせ変わらない。」
『ハイキュー』及川徹とホセ・ブランコ、そして再び及川徹の言葉です。
私達は、驚くような凄い人を見ると「天才だ。」と思ってしまいます。
仕事においても、勉強においても、スポーツにおいても、私達は、彼ら彼女らが、才能を開花させるまでの道のりを想像しません。
私達は、完璧な天才に、憧れます。
私達は、当たり前の事よりも、驚異的な事の方が好きなのです。
…あまりに完璧なものを見た時、我々はどうしたらあんなふうになれるのかとは考えない…
…その代わりに、魔法によって目の前で奇跡が起こったかのごとく熱狂してしまう…
ニーチェの言葉です。
…一番最初は、漫画が地味だから、華のあるキャラクターを出そうと思って描いたのに、実は一番泥臭い奴だった…
『ハイキュー極』に記載された作者の及川徹に対するコメントです。
若利君と影山にコンプレックスを抱く及川徹は、中学時代から多くの努力を重ね、彼ら才能達と対等に渡り合ってきました。
自身の能力に満足する事なく、キャプテンとしても、セッターとしても、成長を求めます。
生まれ持った才能ではなく、チームとして勝ち続ける事で、自分の強さを示す及川徹の生き方は、これまでも、これからも、私の人生の指針の1つでもあります。
私達は、芸術家の素晴らしい作品を見ても、それがどれ程の努力と鍛錬に裏打ちされているのかを、想像すらしません。
その方が、寧ろ、好都合なのです。
その素晴らしい作品が、気の遠くなるような努力の賜物であると知ったら、感動が薄れてしまうからです。
つまり、私達は、こう思いたいのです。
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