見出し画像

君はヒーローになれる2

「出来(いずく)って、デクって読めるんだぜ!!」

 「かっちゃん、すげー字読めるの!?」

 「読めねーの?」

 「んで、デクってのは何も出来ねーやつのことなんだぜ!!」

 「やめてよぉ。」

 「かっちゃん、すげー頭ヤベー!」

 …何で知らねーの?…


 「すげぇかっちゃん、何回跳ねた!?」

 「7だぜ!」

 「デクは!?」

 「0回‥。」

 …何で出来ねーの?…


 「おぉ~こりゃまたすごい個性だなあ!ヒーロー向きの派手な個性ね!勝己くん!」

 …あ、そっか。俺がすげーんだ。皆、俺よりすごくない!…


 「デクって個性がないんだって。」

 「えー」「ムコセ―っていうんだって」「ダッセー」

 …デクが、いっちゃんすごくない…


 「かっちゃん落ちた。」「おーい大丈夫かー!?」

 「大丈夫だろ。かっちゃ強えーもん。」「早く上がってこいよー。」

 …大丈夫だったんだ!何ともなかったんだ!」

 「大丈夫?たてる?頭打ってたら大変だよ!」

 …俺を、そんな顔で見てんじゃねぇ!…

 『ヒロアカ』爆豪勝己(かっちゃん)の幼稚園時代の回想です。



 「JUNPの王道」と評される事が多い『ヒロアカ』ですが、その本当の魅力は、そことは別にあります。

 『ヒロアカ』の本当の魅力とは「努力・友情・勝利」という物語にあるのではなく、また『鬼滅の刃』に代表されるような敵が敵になった物語だけにあるのではなく、助けられた側の苛立ち・屈辱、追われる側の言葉では表現出来ない気持ち、選ばれなかった側の気持ちという、これまでの漫画では描かれてこなかった人の心理描写にあります。



 助けられた側が、助けた側を信用し、仲間になる物語は多いです。

 助けられた側が、助けた側を憧れ、努力を重ね、自分も助ける側になる物語も多いです。

 『ONEPIECE』が、その典型でしょう。


 しかし、冒頭の「かっちゃん」の様に、助けられた側の苛立ち・屈辱を描く物語は、中々ありません。

 『ハイキュー』が及川徹の物語であるように、私は『ヒロアカ』は、そんな「かっちゃん」の物語であると思っています。

 事実、物語の最初に大きな壁を与えられた主人公・デクよりも、その後の物語で幾度も壁を与えられるのは「かっちゃん」です。


 後に、全世界で1億部を売り上げる日本を代表する作品となる『ヒロアカ』も、打ち切りの話が出ていました。

 打ち切りの話が出た時に、作り上げた物語が、上記のコミック9話・アニメ7話「デクVSかっちゃん」です。



 「今日‥俺はてめェに負けた!!!そんだけだろうが!そんだけ‥‥こっからだ!!俺は‥!!こっから‥!!いいか!?俺は、ここで一番になってやる!!!」

 『ヒロアカ』かっちゃんの言葉です。



 粘り強さは、才能や知性・戦略以上に、大切です。

 絶対に諦めない姿は、何よりもの美徳です。


 人生が計画通りにいかない時、どんなに小さな歩みでもいいので、とにかく前に進みましょう。

 成否を分ける最大の習慣は、粘り強さを発揮する事です。

ここから先は

863字 / 1画像

¥ 199

PayPay
PayPayで支払うと抽選でお得

この記事が気に入ったらチップで応援してみませんか?