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あなたが青く見えるのなら、りんごも、うさぎの体も、青くていいんだよ5

「朱音は、予定日より早く産まれたの。徹は、地方で仕事でさ、病院に着いたのは、あんたが産まれた次の日の夕方かな。」


 「おぎゃあ、おぎゃあ。」

 「そう。右腕で頭を支えるの。」

 「なぁ‥真幸、この子の名前、朱音ってのはどうかな?」


 「朱に染まる空を見て、思いついたって。あと朱って色は、魔除けとか、長寿の意味もあるんだと。そういう意味も込めてるってさ。」

 「色々考えてんだね。」

 「当たり前でしょ。テキトーに、子どもの名前つける親なんていないよ。」

 『あかね噺』朱音の母の言葉と、母と父の会話、そして、母と朱音の会話です。




 赤は、日の出の明るくなる様を意味する「明かし(あかし)」が語源です。

 「大」と「火」を組み合わせて出来た漢字の「赤」は、大きく燃え上がる火の色を表しています。


 赤にも、様々な種類の赤があります。

 「朱色(しゅいろ)」「紅色(べにいろ)」「茜色(あかねいろ)」「ルビーレッド」「スカーレット」「チェリー」「ローズ」等、知っている、若しくは、聞いた事がある赤だけでも、これだけの種類があります。




 「朱色」は、古代の日本や中国にいて、数ある赤の中でも最上の色とされてきました。

 「朱色」は、硫化水銀が原料の黄みを帯びた赤い顔料の色です。

 色名は、水銀と硫黄を加熱昇華させて作られた人造朱の銀朱が由来とされています。


 神社の鳥居に「朱色」が多いのは、何故でしょうか?

 「朱色」は、古代より、悪霊や災厄を払う力を持つと信じられてきた為です。

 稲荷神社において「朱色」は、稲荷大神から給わる「豊穣」を意味します。


 朱肉という言葉からも想像出来るように、印鑑にも「朱色」が使われます。

 水銀から作られる「朱色」は、水に強く、年月が経っても、色が褪せにくいです。

 中国が「宋」の時代、朱肉の原型となる印泥(いんでい)が使われるようになり、日本に伝わった奈良時代に押された印影は、いまだに鮮やかな「朱色」を留めています。



 「茜色(あかねいろ)」は、藍とともに、人類最古の植物染料の1つで、茜の根により染色された、濃い赤です。

 茜には、西洋茜とインド茜があり、日本には、中国を経て、インド茜が伝わりました。

 茜は、暖色系の全ての色を染められる事より、日の光で暖かく色づく事を「茜さす」と形容します。


 「あかねさす 紫野行き(むらさきのゆき) 標野行き(しめののゆき) 野守は見ずや 君が袖振る」

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