企業に求められる介護支援の強化とその実践に向けて
厚生労働省は、企業に対して介護支援制度の周知と対応を強化することを求めています。具体的には、次の二点が提案されています。
40歳になった従業員全員に介護保険料の支払い開始と関連する介護支援制度について周知すること。
家族の介護が必要だと申し出た従業員に対しては、制度の詳細を個別に説明し、どの支援を利用したいか意向を確認すること。
これは、特に管理職となりうる40代、50代の従業員が直面する介護の課題に対応し、介護による職場離脱(介護離職)を防ぐための初歩的なステップです。ただし、これだけでは十分ではない可能性があります。
実際には、介護状況は人それぞれ異なるため、公的制度やサービスをどのように活用し、仕事と介護を両立するかは、特に介護を始めたばかりの人にとっては複雑で理解しにくいものです。介護の専門家であるケアマネージャーは介護に関する相談には乗ってくれますが、仕事との両立方法については専門外です。また、会社の上司や人事担当者は会社の制度については説明できますが、公的制度や具体的な介護方法については詳しくないことが多いです。
したがって、企業は単に制度を周知するだけでなく、従業員が個々の状況に応じて公的制度やサービスと会社の支援制度をどのように組み合わせて使用できるかについて、具体的かつ個別のケアと支援を提供する必要があります。これにより、介護による職場離脱のリスクを減らし、従業員と企業双方にとってプラスの結果を生むと期待されます。