【介護に寄り添う専門家】ケアマネジャーさんって?
あいさつ
以前の記事で、『介護が必要になったら、まずは地域包括に相談。その後要介護認定を受けよう!』という内容を取り上げました。今回はその続き、要介護認定を受けた後、今後のプランはどう練ればいいのかの部分について詳しく掘り下げます!
みなさんこんにちは!滋賀大学陵水新聞会の宮下です。
私たち陵水新聞会は大学の自主企画プロジェクトと呼ばれる活動の一環として、この度にじいろのからすさんと、介護冊子の制作を行うことになりました。このアカウントには、その冊子のための記事を掲載していきます!
今回は部員の大内と一緒に、『ケアプランセンターどりーむ』の所長、辻広美さんに、介護認定を受けたその後、ケアマネジャーのお仕事についてお話を聞かせていただきました!
ひとくちに介護といっても、その中身や受けられるサービスは人それぞれ。その人に寄り添うケアプランを考えてくださるのがケアマネジャーさんです!今回はそのお仕事に迫ります。
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【話題1】そもそもケアマネジャーってなにをするの?
事務所のなかで、にこやかに迎えてくださったのは所長の辻広美さん。ソファに案内していただき、取材が始まります。
辻さん:
ケアマネジャーは要介護認定を受けた方に支援をするお仕事です。
生活のなかの困りごと、健康面での心配事などの相談を受けながら、ケアプランを一緒に組み、その後も定期的に訪問して状況を確認したりして、豊かな生活を取り戻してもらうための自立支援を行っています。
辻さん:
そうです。私たちの事業所では大体月に一度訪問させていただきます。利用するサービスの決定直後や更新後はもう少し頻繁ですね。
定期訪問では状況に合わせて、使われているサービスの事業所さんと連携を取ったり、ご家族に連絡を取ったりしています。もちろんケアプランの更新をすることもあります。
辻さん:
多くの場合、地域包括支援センターや主治医の先生に、要介護認定を受けた方とつないでいただきます。たまに知人を通して……という方もいらっしゃいますね。
連絡を受けた後、担当者がご自宅に何度か訪問させていただき、お話を聞きながらケアプランを作成していきます。
辻さん:
ケアプランは大体の場合3枚構成で作成します。(詳しい内容は下の図へ)
ケアプランはご本人さんもそのご家族さんも、すぐ理解できて、見ても嫌な気持ちにならないように言葉を慎重に選びます。
なるべく、立てた目標に対して前向きになってもらえるよう、目標を自分事として捉えてもらえるように考えて、文章を作成します。
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【話題2】実際の流れはどんな感じ?
辻さん:
はい、よろしくお願いします。
辻さん:
サービスを受けるために必要なこと、つまり要望や金銭面がメインですね。
生活のなかで困っていることはなにか、どのような自分になりたいかをお聞きして、サービスの方向性を決めます。
そして少し踏み込んだ部分にはなりますが、ご本人さんの貯金や、ご家族さんの収入を伺い、サービス利用のためにどれくらい費用をかけられるかを尋ねます。
またすぐにサービスが必要かどうかも、最初に把握すべきことですね。
辻さん:
そうなんです。だから最初の一回目はあまり根掘り葉掘り聞かず、場を馴染ませることに注力します。
目標や、利用するサービスを決めるにはご本人さんやご家族さんの価値観を知る必要があります。
ですので、どのように生まれたかや、学生生活や社会人生活の様子を聞くなどして、ご本人さんの想い、ご家族さんの価値観を把握します。
そこで全く違う価値観が出てくる場合もありますが、そこをどう折り合いをつけてもらうかもポイントですね。
辻さん:
もちろん人によりますが、最初に訪問してから大体3回くらいでケアプランを組み、サービスを始めます。
サービスを始めたばかりの頃は一週間ごとに、その後は一月ごとに様子を見に伺います。
一回の訪問時間はだいたい1時間から1時間半程度です。
辻さん:
ご本人さんよりも、ご家族さんが話されることが多いですね。
「介護をする」となるとよくあることで、家族内のシステムや力関係が出やすく、ご本人さんが話すことが少ないんです。
ケアプランはご本人さんに「自分事」として捉えてもらうことが大切なので、ときにはご本人さんと二人きりでお話をすることもあります。
辻さん:
ケアマネジャー側の価値観を押し付けないことですね。
こちら側の価値観は一度置いておいて、ご本人さんとご家族さんの価値観の折り合いを、どのようにつけてもらうかを中立・公平な立場で考えます。
辻さん:
どれも大切ですが、特に気を使って聞くのは金銭関係のお話ですね。
いくら介護保険適用のサービスがあるといってもやはり多少なりともお金は必要になります。
週に2、3回のデイサービスの食事代でも、場所によりますが月に1万5千円くらいしますし、要介護レベル4の認知症のショートステイで20万くらいすることもあります。
デリケートな話題なので、もし聞かせてもらえるなら……というスタンスで聞いていきます。
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【話題3】現場の想いを教えてください!
辻さん:
これはもちろんご本人さんにも言えることなんですけど、ご家族さんは介護をするってことになったらすごく気を張られるんですね。
気持ちがパンクするギリギリまで頑張られることもあって、長く介護が続くと切羽詰まってこられることもあります。
それを見ていて、常々思うのは、やはりがんばりすぎないでほしいということです。
辻さん:
そうなんです。時々声をかけたり、相談に乗ったりはしているのですが、なかなか……。
おすすめしているのは、ショートステイを増やすなどの一時的な息抜きではなく、生活のなかで日々休む時間を入れられるようにすることですね。
介護サービスを利用して、自身にかかる負担を減らしたり、ご本人さんができることは自分でやってもらったりすると少し気持ちが楽になると思います。
辻さん:
はい。こちらもご本人さんが前向きに目標を持って過ごせるようにプランを組んでいます。
まずは小さな目標から。「足が動くようにしたい」「買い物に行きたい」など、自分の目指すところをはっきりさせて、少しずつ乗り越えていきます。
介護保険はあくまで自立支援。豊かな生活を送るには自分自身で、少しずつできることを増やして、モチベーションをあげることが大切です。
辻さん:
ケアマネジャーは基礎資格がないと受けることができず、医療や介護関係の実務経験を積んだ人がなる職業です。
実際に、私たちの事業所にも歯科衛生士や、看護師など様々な経験を積んだケアマネジャーがいて、日々知識を共有しながら仕事を行っています。
ほかの介護サービスの事業所さんとも連携して、チームで、利用者さんを支えるので、一緒に、豊かな生活を送れるように進んでいけたらと思っています。
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おわりに
ケアプランセンターどりーむは滋賀で唯一のケアマネジャー専門事務所。
普通はデイサービスや特別養護施設に併設されており、人数も3、4人程度だそうですが、ケアプランセンターどりーむにはその倍のケアマネジャーさんがいらっしゃいます。
介護をする・受けることになると、頼もしく支えてくださるケアマネジャーさんたちは、とても心強い味方です!
最後に、お忙しい中お話を聞かせてくださった、ケアプランセンターどりーむ所長の辻広美さん、丁寧に迎えてくださった職員のみなさん。
取材にご協力いただき、本当にありがとうございました!