Knot Letterpress Printing のロゴができるまで
屋号が決まり、続いて取りかかったのがロゴの制作です。デザインは事務所をシェアしている、サイフォングラフィカの宮下さんにお願いしました。
デザインする前に
制作にあたって宮下さんから出された宿題は、好きなロゴを幾つか集めてというもの。Pinterestを使い、いいなと思うものを片っ端からピンし、ボードを共有。画像収集&検索サービスであるPinterestの利点は、言葉にしにくい感覚的なものを手軽に集められ、相手に伝えられるというところ。ある程度数が集まってくると、何となくの傾向も見えてきます。
一方、僕から宮下さんに渡した資料は2つ。いずれも、屋号を考えるときに頭を整理するためにつくった資料です。1つはポジショニングマップ。横軸に「かわいい↔モダン」、縦軸に「伝統↔革新」を置き、関西や東京などの活版印刷所をプロットし、業界内でKnot Letterpress Printingの立ち位置を明確にしました。
もう1つが、これからしたい印刷物のイメージ。実際にする/しないは別にして、オリジナル商品を作るならこんなトーンのもの、印刷の世界観はこんなのが好きというものを、こちらもPinterestなどを使い集めました。これを共有することで、ロゴのイメージとズレがでないようにしました。
ロゴの提案
最初に提案してもらったのがこちら。袖看板に付けたら、窓にカッティングシートを貼ったらなど、実際の利用シーンのイメージ画像もあり、とても分かりやすい!
アイデアのヒントは、僕が以前した活版のワークショップでした。3Dプリンターで出力した●▲■などの図形を組み合わせ、絵をつくり、活字と一緒にコースターに印刷するという内容です。
ワークショップは、5マス×5マスで実施しましたが、ロゴは4マス×4マス。新たに、■の1/2サイズの図形が追加されました。
このロゴの面白いのが、KNOTを構成している図形を組み替えると、活版の「活」の字が現るというアイデア。この遊び心あるアイデアだけで色めき立ち、2案目を待たず、このロゴを採用することを決めました。
組み替えのアイデアもさることながら、個人的にやられたなと思ったのが、何回か開催したワークショップという身近なネタを使い、ロゴとして昇華させたということ。ロゴのデザインの答え?は、僕の中にあったのです。
ワークショップのネタをオシャレにデザインしただけでなく、3Dプリンターと活版を組み合わせワークショップ、伝統(活字)だけでなく、デジタルファブリケーションも使い、印刷の楽しさを伝えたいという、こちらの思いもちゃんとロゴに込められています。図形を組み換えるとKNOTと活に変化する根拠でもあるのです。
ちょっと横道にそれてしまいますが、1案目からスムーズにいったのは、ロゴ制作前に、活版印刷所としてどうありたいといった話をデザイナーの宮下さんとちゃんとしたからだと思っています
だから、ムダに何案も出さず、デザイナーが一番よいと思うものを提案できたのかなと。よくあるデザインの失敗で、事前の打ち合わせもそこそここに、早く作ってよと言うのがあるけれど、デザインする方も引っかかりが少ないし、依頼した方も納得感が少ないからやめた方がいいと思います。
最終案までも考えることがいっぱい
続いて、採用したロゴをさらにブラッシュアップしていきます。
角のアールの具合、図形の空き具合を変えて何パターンか作成。DINをベースにしたロゴタイプも、ロゴマークにあわせて、S、O、Gを作字しました。ちなみにDINは、1930年代ドイツに生まれたフォント。活版印刷も同じドイツで発明されたもので、この類似性にもニヤニヤしてしまいます。
微調整した案を2つまで絞り込んだものの、どちらも甲乙つけがたい。周りの人に聞いても、どちらも人気…。ロゴが見られるシーンは、パソコンよりもスマホが多いので、Instagramのアイコンや、スマホに最適化されたサイトにロゴを配置して、見え方を検討することに。
最初は、縦長のOの方がいいかなと思っていたのですが、実際に見てみると真円に近い〇の方が視認性が高く、バランスがいいことが分かりました。感覚も大事にしながら、実際の使用シーンも加味し検討すると、より選びやすくなります。
ロゴが決まったので、3Dプリンターで新規図形を出力。Knotと活を組版してみました。
ロゴも決まり、袖看板や新しい名刺をつくりました。ロゴ制作を通じて、事業計画を整理したり、ビジュアルコミュニケーションを考えたりする良い機会になりました。良い服を着せてもらったので、それに見合う活動をしていかないとと気が引き締まる思いです。
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