恥ずかしながら
本日こどもの日。2月に生まれた孫の顔を見に行った。
この約10日間、内臓器官に炎症をおこし入院していた。幸い大事にならず、本人も知ってか知らずか至って元気で昨日退院。えへらえへらと終始笑顔で四肢をリズミカルに動かしてご満悦の様子だった。良きかな。
孫の話? ではない。 ざっとこの三十年、5月のゴールデンウィーク時にこの様に自宅にいた事は無い。かと言って、遊びに出かけたわけでも無い。でわ何? 仕事をしていたのだ。
私が住み暮らすこの町は北関東では最大の窯業地だ。私もやきものやのはしくれだ。「陶器市」は春と秋の年二回。春は期間が長い時で八日から十日に及ぶ時もあった。
朝早く現場へ向かいテント店の掃除に始まり、夕方5時頃まで(昔は補助ライトを点けて周囲がほの暗くなるまで営業したのだが)商売をする。性別年齢さまざまな客人を相手に、自作品を売り込むのだ。黙っていてもモノが売れる大家ではないので、如何にしたら作品は売れるのか、そう言った点でも現場がある事はありがたかった。値段の付けよう、人とのコミュニケイションのとり方等いろいろ勉強の場でもあった。
「陶器市」は言ってみれば「お祭り」の体がある。今や何百という同業者のテント立ち並びかつ喧騒での中の商売と、かたや年に一度か二度都会のギャラリーで催す「作陶展」とは根本的に異なる。訪れる方の風体・催す会場の各々の雰囲気・そして言わなくともよいが、お金の額。
良いか悪いかは別として、今よりいい時代にその両局面を体験できた身にとっては、このコロナ禍はつら過ぎる。完全に元の状態には戻れないだろうが私達のような仕事を持つ者たちに一刻も早く活動できる時間を返して欲しい。
去年今年とWEB上で陶器市は実行中(9日迄)だ。多くの方がそのサイトを訪れているようだ。恥ずかしながら、自宅で大家然として、慣れぬPCをにらみながら、自作品の動向を一喜一憂して確認する日々である。
御客人と対面し、冗談を交えながら商売が出来たあのリアルさはWEBにはない。便利にはなったぶん、心の一部分をそぎ落としてしまった感はある。誠に残念ではあるが.....。