忘れて欲しくないな
器を作り続けている。皿類・鉢類・カップ類etc。器の世界=陶芸の世界は奥深くかつ広い。数物と称して同寸法のものを次から次へと作り出す手わざ。一品ものと銘打ち、これこそはここだけにしかないもの、と気迫をより以上に込めて作りだすもの。どれもこれも、長年の経験と努力の積み重ねだと、日々轆轤を回している時に思う時がある。偉そうに言うわけでは無い。
この仕事はそのように時間をかけてやっと何某かの形を成し得る世界だ、という事が最近わかった。そのような人生を歩いた事が幸か不幸か、成功か失敗か、などという事は後回しとして。欲を言えば、もう一生もらえないものだろうか?もう一生あればこの仕事(シゴト)の(シ)ぐらいはひょっとすると判明するかもしれない。
皿、鉢、カップetc。みんなそれぞれの「基本」(手順、と言っても良いか)はある。陶芸作家のもとで内弟子として学んだ以上、それは生涯忘れてはならない事だと思う。基本を学ぶために弟子としての時間を費やして、「応用」する為に独立して自分の窯を成す。実は本当のスタートはここからなのだ。「温故知新」という言葉を胸に秘めて、今現在の世の中の有り様をどのような形で自分の作り出す「器」に込めてゆくのか、妙な事を仕事にしてしまったと時折思うが....自分の器をどこまで突き詰めていけるのか、楽しみでもある。
お願いだ、もう一生くれないか?