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こんな私に時間を割いて下さって

人生も終盤を迎える時期になると、色々な事に「ケリをつける」時、があるようだ。やれ断捨離だ、終活だ、と大騒ぎをしている内はまだまだ若い証拠なのかもしれない。みんなで何かしよう、みんなで集おう食べよう考えようといったような事からは今迄極力避けて通ってきた。ゆえに仕事もひとり、現実には女房とふたりで今も続けているが、「ひとりの時間の大切さ」なども少しは理解しているつもりだ。

東京で某レンタルギャラリーの場を利用して、ある講座を隔月で催していたが、このコロナ禍で長らく休業中だ。その講座の中で時折ゲストを迎えて御自身の経験談を話してもらう時間を設けていた。だいたいが既に現役リタイアした私の友人たち(中にはフリーランスで未だバリバリの奴もいるが)だ。

そんな中のひとりで私の職業とも深いつながりのあるひとりの女性がいた。彼女は大学卒業後、茶道の世界に飛び込み、その晩年はその茶道学会の師匠の御付のひとりになっていた。なかなか自由な時間が無く、会う事も出来ずにいた。せいぜいが年賀状のやりとりだけだった。電話もたまたまうまく繋がった折に、必ずいつか茶道の話題を引っさげてそちらの現場へ伺うからと。

それが実現したのがもう3年も前になるのか?それ以前に打ち合わせで2,3回短い時間会えたが。講座当日、めずらしいお道具を持ってきて頂き、又実際お薄もその場で点てて頂き、講座は大成功だった。友よ、ありがたし。

お礼は改めて後日、という事で別れたのだが、それが彼女との永遠の別れになるとは.....。久しぶりに再会して積もる話もたくさんあったのだが、結局出来ずじまいだった。若い頃から人とはちょっと違う見方考え方を持っていた彼女で、面白い人で今後も大事に付き合いたいと思っていたのだが。

しっかりとお別れも言えずに離れてゆくことはこれからも私のような年齢だと少なくないはずだ。それが自分にとって大切な人であるならばなおさらの事。言うべき時にはそれとなく相手に伝えておかねば。そんな思いが年々強くなっている。「一期一会」。古人は実にうまく言葉で言い表している。

Kさんどうもありがとう。第一線を離れても繁多な貴女が、こんな私の為に時間を割いて下さって......。欲得では測りえないものを痛烈に感じました。どうぞゆっくり休んで下さい。私も少しづつケリをつけるところはケリをつけて、今すこし人生を楽しんでいたいと思います。

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