やきものやの迷走
やきものやとして40年以上を過ごしてきた。
去年今年とコロナ禍の中、作品発表(ギャラリー活動)・陶芸教室等の仕事は全て現在休止中。よく生きていると思う。元々この仕事は普段他人(ひと)と接触する時間はほとんど無いので、ひとが集まる場所へわざわざ出かけたり、外食をしたりという時間は私には無かったので、言ってみればいつもどおりの時間割を過ごしているわけなのだが。
若い頃からの時間を考えてみれば、年に多くて3回展示会活動をしていた時がある。4か月に一度、どこかのギャラリーで新作の発表をしていたわけだ。こればかりはこの様な仕事をした人では分からない事だと思うが、新作を生み出すエナジーはたいへんなものだ。若造だから成しえたと言えばそれまでだが。年齢を重ねた今は、コロナ禍以前、個展活動は年一回、それに地元の大きなイベントが年2回。ただ黙々とこなしてきたのだが、それが皆無になった。
陶芸教室などをリモートワークで、という声もあったが、それはどこか筋違いだと判断して断念した。伝統、芸能、工芸、要するに「芸事」に関しては多かれ少なかれ人と人とが触れ合いながら切磋琢磨し、精進するものだろう。
とは言え、私のような者も生きている限り、食わねばならぬ。通信販売も手掛けてはいる。同業者は近頃はどのようなものを手掛けているのかと他サイトを覗き見るが、年々作品そのものが稚拙になって、この方基本はどうされたのだろうか?と疑問視せざるを得ない「物」が増えてきたように感じる。
「芸事」を馬鹿にしてはいけない。「芸」の積み重ねの果てが「芸術」になるのではないだろうか。なかなかその境地へ上り詰める人は多くは無いのだが。せめて気分だけはそれを追っていたい。自分なりの道の完成を思いながら。
素晴らしく、かつ良い作品が生まれたからサイトに早速アップしても、やはりそれは「画像」に過ぎぬ。最新技術を駆使してもそれは「実物」では無く「画像」である。「画像を実物視」して我がやきもの作品を購入して下さるお客様には誠に申し訳ないと感じる。実物がお手元に届いた時の反応が如何なものか?昔ながらのやきもの屋には、そのあたりが大きな「謎」なのである。
参考までに覗いて下されば幸いです。