映画『未来のミライ』は存在のマトリクスの交点に自己を見いだすミニマムな冒険の物語だ。

 細田守監督の新作映画『未来のミライ』を観て来た。タイトルやCMからはまったく期待を抱けなかった作品ではあるが、じっさい見てみたところ、うん、いや、素晴らしいんじゃないですか。

 いままでの細田守の集大成にして未踏の地を切り拓く新境地、見るに値する映画だと思う。

 ただし、「未来のミライ」というタイトルはあまりにもミスリード。未来のミライちゃんが現代にやって来て、時空を超えた冒険に旅立つとか、そんなストーリーでは全然ありません。

 むしろ、ひとつの小さな家庭にフォーカスしたミニマムサイズのシナリオともいえるので、『サマーウォーズ』とか『バケモノの子』のようなエンターテインメントムービーを期待すると肩透かしを食うかも。

 だが、それでも、否、それだからこそぼくはこの映画を高く評価したい。ある意味で挑戦的かつ実験的な作りなので、賛否両論が飛び交うのは必然ではあるだろうが、でも、だれが何といおうとこれは傑作だ。

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