細田守は家族と血脈を愚直に描く「骨太の物語作家」だ。しかし――

◆細田守の「聖母」。

 細田守という映画監督のことを考えています。

 いままでどうにも捉えどころがないような作家だと思っていたのですが、『未来のミライ』を見たことで、ちょっとわかったように思います。

 この人は、たぶん、本来、シンプルでプリミティヴな物語を作りたい人なのですね。

 でも、時代が時代だから、なかなかそれができない。それで、その歪みが作品に刻印されることになる。そういうことなのかな、と。

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