”IKIGAI” ノリと勢いで英語でkindle本を出してみた話
1. 世界で注目される IKIGAI
ご存知だろうか?
今世界で、「ikigai」というフレーズが「誤って」広まっている。
例えば、こちらの動画。
IKIGAI | A Japanese Philosophy for Finding Purpose
直訳すると、目的を見つける日本の哲学。
動画は4年で、171万回再生。
しかもコメント欄にはさまざまな言語の好意的なコメントついている。
インスタグラムで「ikigai」「生きがい」とそれぞれ検索すると、結構な数がヒットする。
ことの発端は6年ほど前、スペイン人が「日本人が長生きする秘訣は生きがいにある」的な本を出したこと。
Ikigai: The Japanese secret to a long and happy life
販売実績200万部。レビュー6万件と世界的に大ヒットしているのだ。「IKIGAI」とは、下の4つの円に重なるところと定義されている。
僕は初めて上の4つの円をみたとき、「なるほど!」と言語化力に感動した。
このnoteを読み終えた後、「生きがい」と日本語検索してみてほしい。最終的に上の図に行き着くはず。一度海を渡った「生きがい」が今、「ikigai」として再輸入されている。
2. IKIGAIの違和感
「日本人が長生きする理由は、ikigai を持っているからだ!日本人に倣えー!うおー!!」という世界的なムーブメント。
実際に本を読んでみると、「長生きの秘訣って日本人の食習慣じゃね!?」って気持ちと、「この本でいうikigaiを持ってる日本人って1割満たないんじゃね?」という感想に落ち着いた。
・子供の笑顔が生きがいだ。
・金曜日のいっぱいが生きがいだ。
的な使い方を日本人はしている。
ここでいう「生きがい」は下の円のどこに当てはまるというのか?
最終的に、「生きがい」と「ikigai」は、どちらも人生にとって大事なものではあるが、違うニュアンスのものだと僕の中では落ち着いた。お寿司がアメリカに渡り「カリフォルニアロール」として進化したように、「生きがい」も海を渡り「ikigai」として進化したのだ。
3. 商機を見つけて英語で本を書いた
ikigaiの本に出会った頃、ちょうど日本語で日本人向けの本を書いていた。
端的にまとめると、「自分の得意なことで、人の役に立ち、報酬として感謝とお金をもらうことが幸福の秘訣じゃね?」というのを科学的な根拠、アメリカの脳科学や心理学の研究内容をベースにまとめたものだ。
僕のたどり着いた結論は、「ikigai」の概念とピッタリとかぶっていた。そのため、110ページ目くらいに、『海外では「ikigai」が流行っている。あなたも自分の得意なことを探して、「ikigai」を見つけましょう』的な形で締めた。が、あまり売れなかった。。。ちょっと落ち込んだ。
ここで、海外の市場に目をつけた。日本語で書いてしまうと日本語圏の人にしか届かない。英語で書けばアメリカのみならず、世界中の人に読んでもらえる可能性がある。(もちろんライバルは増えるが)
Amazonで「ikigai」と検索すると、結構な競合がヒットする。
ただいずれも「ikigai本」をベースに「ikigai」を賛美するような内容だ。
そこでタイトルにパンチを効かせることにした。
Misunderstood IKIGAI: From a Japanese Perspective: Carry Your Journal to Discover Your IKIGAI
勘違いされた「ikigai」:日本人の視点から。日記帳を持ち歩いてikigaiを発見しよう。
1. ikigaiを勘違いしているぞ!という指摘。
2. 本場(?)日本人の指すikigai。
これにて少し興味を持っていただこうという狡い魂胆だ。
※ IKIGAI is beautifully misunderstood.と本の中に書いている。
4. 翻訳はどうしたの?
当然、一番の問題はどうやって英語にするか?最初に断っておくと、筆者はTOEIC800点あるので、英語に対する抵抗は全くない。
とはいえ、元の日本語版の書籍は80,000文字もある。1から丁寧に翻訳していくのはとても骨が折れる。そこで活躍したのが2つ。
翻訳サイト (Deep L)
生成AI(Chat GPT、Claude)
一昔前は「翻訳」といえば、Google翻訳のイメージだったが最近では「Deep L」が良いと聞いた。
試しに入力してみると、「綺麗な」英語を出してくれる。
日本語⇨英語 モードだけでなく、英語⇨英語モードも存在する。
試しに、たった今英訳した文章を、英語⇨英語モードで変換。
異なる表現の英訳を出してくれる。
ということで、Deep Lを活用して、ドンドン英訳していく。
しかし、どうしてもニュアンスが微妙なものが出てくる。
例えば、「心のモヤモヤ」という表現を英訳すると、「blur」という動詞で変換してくれた。日本人の僕には、「blur」が僕の意図するニュアンスかどうかわからない。そこで活躍してくれたのがGPT。
Deep Lの出力した文章を入力して、「blur」の使い方を検証してもらった。
霧がかかって視界がモヤモヤする的な場合は、「blur」であっている。
心がモヤモヤする場合、別の言葉を使う方が適切らしい。
他には例えば、「my place(私の場所)」と「our place(私たちの場所)」ではどちらが適切か?という問いに対しても、ニュアンスの違いを説明してくれた。
翻訳サイトを使えば誰でもできるよ!という言いたいところだが、英語に苦手意識がある人には難しいでしょう。英語での出版を考えている人は、試しに400文字くらい英訳サイトに突っ込んでみて下さい。違和感や抵抗なく書き進めることができるのであれば、書籍1冊の翻訳も苦ではないでしょう。
5. Amazon側の設定
Amazonの設定で2つ気になることがあった。
カテゴリー設定
アカウントの設定
カテゴリー設定
英語で書いた書籍をアップロードしようとした際、「kindle洋書」というカテゴリーが出てきた。
日本人が、日本(co.jp)のアカウントから、英語の本を出す。。。。これは「洋書」にあたるのか?運営に問い合わせてみたところ、「洋書」には該当しないとの回答であった。
そのため、「洋書」というカテゴリーを気にせず、「日本人向けに書いた本」くらいの位置付けでカテゴリーを選択した。
アカウントの設定
過去に、日本語で本を出版したため、アカウントを持っている(co.jp)。
英語で書いた本を英語圏向けの人に出す場合、「co.jp」アカウントから出して、英語圏の人に届くのか?という疑問が湧いてきた。
日本人に届いて、「英語だから」無視されたら嫌だ。
そこで、再度運営に問い合わせてみた。
回答は、「co.jp」でも「.com」でも1つきりしかアカウントを持てない。
「co.jp」垢を消去して、「.com」で作り直すか、
「co.jp」から英語で出すかの2択。
後者で問題ないよという回答があった。
Amazonさんのサポートは早ければ2時間で回答がくる。大変ありがたい。
6. 英語で本を書く人へ、書籍のリンク
下に、Amazon Japan、Amazon Americaのページを並べみてた。
関連書籍、タグ付けがどのように変わっているか、ぜひ見比べてみてほしい。
▼Amazon.co.jp 経由で見た場合
▼Amazon.com 経由で見た場合