2つの怪談が生まれた日

Sさんは、狂ったようにポテトを貪っていた。
もう、ファミレスは3軒目だ。

注文するメニューは、全てポテト。
どんだけ、ポテトが好きなんだ。
友人達は、Sさんの様子を見て不審に思っていた。

ことの発端は、友達5人と
心霊スポットに行った、帰りの出来事だった。

「ファミレスに行こう。腹減った」

Sさんが、言った。

心霊スポットに行く前に、ファミレスに寄ったから
お腹は、空いてないはずだ。

「お腹空いてないでしょ？」そう聞いても
　Sさんは「いいから」としか答えなかった。


その一方、SさんとＡさんは焦っていた。
友人5人を乗せて、車で心霊スポットまで向かった。

心霊スポットを一通り見終わったあと、帰ることにした。

運転席にSさん
助手席にＡさん
後部座席に、残りの3人が座った。

Sさんは、運転中に何となくＡさんの方に目を向けた

空中に女の顔だけが浮かんでいる。

”連れて来てしまった。。。”
Sさんは、そう思った。

誰にも言わずに、とりあえずコンビニに寄る事にした。

コンビニに入ると、助手席に居たＡさんが
Sさんに、近づいてきた
Aさんは、口を開いた

あのさ、、、女の人ついて来てない？

Sさんも、「女の人を車内で見た」とAさんに伝えた。
SさんとAさんは、除霊の方法を携帯で調べた

ファミレスに行く

この文字が、目に飛び込んできた。
どうやら、ファミレスなど
人の居る場所に行くと、幽霊を人に移せるらしい。

急いで、ファミレスに向かった。
後部座席にいた3人に、ファミレスに向かうことを伝えると

「お腹空いてないでしょ？」と聞かれた。
Sさんは「いいから」としか答えられなかった。


何故なら後部座席の3人は、とても怖がりだからだ。


そうこうしているうちにファミレスに着いたが
お腹は空いてない。
Sさんは、値段の安いポテトを注文した。

車に戻っても、まだ女の霊は居る。
女の霊が人に移るまで
もう1軒、2軒とファミレスを巡った。

3軒目で、ようやく女の霊は消えた。
どうにか、誰かに移せたようだ。

以上が、Sさんから聞いた話だ。

後部座席に居た3人にとっては

「心霊スポットに行ったら、友達が狂ったようにポテトを食べるようになった怪談話」

Sさんと、Aさんにとっては

「心霊スポットに行ったら、女の幽霊がついた怪談話」


同じ日に、2つの怪談が生まれた。
この事が、とても面白くて好きだなと思った。