仮想通貨の漫画にリベンジします。3年間の答え合わせ

おはようございます。漫画家のかいちです。

短編創作100本チャレンジを終えて、新作を作ることにしました。今とりかかっているところです。

3年前ぼくは、『仮想通貨体験記』という漫画を描きました。ぼくが実際に仮想通貨で300万円損した体験をもとに、創作したエッセイふう漫画です。初心者が仮想通貨投資で経験するあるあるネタと、それによって引き起こされる絶望を描いています。

『仮想通貨体験記』ピッコマでは30万いいねをいただいてます▼
https://piccoma.com/web/product/7140

この作品を、1年ほど前から描き直したいと思っていました。

『仮想通貨体験記』を描いた当時は、創作することに疲れていた時期でもありました。仮想通貨で損した300万円を漫画の売上で少しでも取り返したいと思って描き始めた漫画なのですが、真面目な漫画は当時描きたくありませんでした。

これまでの漫画人生の中でいちばんといっていいほど緩く描いた漫画です。

仮想通貨体験記で表現したかったことは、仮想通貨投資の恐ろしさでした。「投資の初心者が安易に仮想通貨に手を出すとこうなるよ。だから氣をつけてね」というメッセージを込めて、自分なりにおもしろおかしく、そして緩い絵柄で表現しました。

「絶望感のあるストーリーを緩く表現しているからいい」という声を何度もいただきました。ストーリーと絵柄のギャップは狙ったものではなく、完全に当時のぼくの氣まぐれだったのですが、ぼくの当時の氣まぐれがたまたま漫画のコンセプトとガッチし、結果的にたくさんの人に読んでいただけることとなりました。ありがたい限りです。

あんなに楽しく描いた漫画は、6年間の漫画家志望人生の中で初めてでした。

部活とかでもそうだと思いますが、初めはただ楽しくて始めたものでも、真剣勝負になればなるほど辛い思いをすることが増えてきますよね。

漫画家志望だった6年間で、純粋に漫画を描くのを楽しめた期間は半分もないと思います。結果を出そうとすればするほど理想と現実との差を痛感し、周りと比べて落ち込み、自分を痛めつけながら漫画を描いていました。苦しかったんです。

だから『仮想通貨体験記』は、思い切り楽しんで描こうと思って、当時はそれはもう楽しい気持ちで描いていました。内容が面白すぎて描きながら笑っていたくらいです。

当時は出版社に通うことをやめたばかりで、これからどうやって漫画活動をしていこうかと、いろいろ試行錯誤していた時期でした。漫画で表現したいことも、作家としての在り方も、まだまだ固まっていませんでした。あれから3年漫画活動でいろいろもがいていく中で、ようやく表現したいことが固りつつあります。

〝自信が持てない人の背中を押す〟

今はそんな漫画を描くように心がけています。

仮想通貨体験記は、そのコンセプトからは逸れています。ぼくがこれまで描いてきた中で唯一、バットエンドを迎える主人公がいる漫画です。いくら楽しんで描いても、読者の方に楽しんでもらっても、今のぼくの作家性が納得してくれません。

だから、仮想通貨を題材にした漫画をもう一度描きたいと思っていました。主人公を絶望人生では終わらせたくない。希望を見出せる主人公の姿を見ていただきたい。他人の不幸を笑って終わるのではなく、人生に活かせる何かを学べる、そんな作品にしたいと。

3年間の漫画活動で学んだことを全て詰め込みます。当時見えていなかったものを今作にぶつけます。過去の自分へのリベンジ。3年間の答え合わせ。楽しみながらも、希望を得られるような作品にしていきます。

1月18日に公開する予定ですが、まだ何も手をつけておりません笑。

久しぶりのしっかりした創作漫画。興味がある方は楽しみにしていてください。
今日のお話は以上です。それではまた明日。


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●かいち｜漫画家
1991年、秋田県生まれ。20歳から漫画家を目指す。出版社に6年間漫画を持ち込むも実績ゼロ。26歳フリーターという現状に悩み、夢を諦めかけたが、ネットの可能性に掛けて再起。Twitterを中心にネットで漫画を公開。自身が仮想通貨で300万円失った体験を元に描いた漫画『仮想通貨体験記』が話題になり、Google検索「仮想通貨 漫画」のキーワードで検索1位を獲得。Twitterに投稿したエッセイ漫画『成功したいなら、成功している人の意見を真に受けろ』が1.2万リツイートを超え、Yahoo!ニュースに掲載。その他の作品に『Decade（ディケイド）』『かいちの幸せの見つけ方』などがある。


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