中古パソコンは絶対に買ってはいけない!4つの理由をプロ目線で解説
皆さんはパソコンを中古で購入したり、中古購入を考えたりしたことはありますか?実は、中古パソコンには重大な欠点がいくつもあり、絶対に買ってはいけません。この記事では、中古パソコンを絶対に買ってはいけないと断言できる4つの理由をプロ目線で解説していきます。
中古パソコンを買ってはいけない理由1. 前オーナーの使用状況が不明
中古パソコンは、前のオーナーの使用状況が不明なのが最大の問題です。
パソコンは精密機械なだけに、どのような運用方法で使われたのかによって寿命が大きく変化します。
中古パソコンは中古車のように、走行距離や整備記録簿のような、これまでの使用記録が詳細且つ購入前に分かる記録が一切存在しません。
そのため、前オーナーが寿命の短命化につながるような過酷な使い方をしていたパソコンをつかまされてしまうと、購入後短期間で使えなくなる恐れがあります。
ここでは、前オーナーの使用状況における4つの要素ごとに、早期故障のリスクを見ていきます。
【中古パソコン】前オーナーの使用状況1. 使用期間
使用期間は、パソコンの余命を判断するうえで最も単純な指標です。
基本的には、使用期間が長かったパソコンほど、工業製品としての機械的な寿命は短くなっており、購入後短期間で故障するリスクは高いでしょう。
また、長期間電源を入れない状態で物置きなどに眠っていたパソコンである可能性もあり、ストレージ (データを保存するための装置のこと)としてHDD (ハードディスクドライブ)を搭載しているパソコンの場合は注意が必要です。
HDDの内部構造はレコードのような仕組みで、「プラッタ」と呼ばれる磁性ディスクをモーターで回転させ、読み書きを行う磁気ヘッドを搭載するアームを当ててデータの読み書きを行っています。
プラッタが回転している間、プラッタ上で磁気ヘッドが傷付くことなくスムーズに動くよう、プラッタが磁気ヘッドに接触する最も外側の層には、「ライナー」と呼ばれる潤滑剤の被膜が形成されています。
長期間電源を入れられていないHDDは、このライナーが蒸発したり劣化したりしている可能性があり、摩擦抵抗によってヘッドが傷付いて読み書きが正常に行えなくなる「ヘッドクラッシュ」を起こす危険性があります。
また、プラッタを回転させるスピンドルモーターには、「流体動圧軸受け」と呼ばれる、オイル性の回転軸が用いられているものがあり、このオイルも長期間電源を投入していないと蒸発・劣化して、回転動作不良を起こす場合があります。
【中古パソコン】前オーナーの使用状況2. 週間使用時間・電源投入回数
パソコンの1週間当たりの使用時間、及び電源を投入した回数も重要なポイントです。
使用期間が長くても、週間使用時間や電源投入回数が少なければ、機械的なダメージはそれほど進行していませんし、逆に使用期間が短くても、毎日長時間使用しているパソコンは、機械的なダメージも相応に負っているので、余命は必然的に短くなってしまいます。
詳細については後述しますが、パソコンには、一定の使用量で故障する消耗品のパーツがいくつか存在しており、そういったパーツは、週間使用時間や電源投入回数に比例して劣化していきます。
使用期間が短い中古パソコンは、外観上は傷、塗装の剥がれ、変色などが少なくてきれいに見えるものも非常に多いため、あまり酷使されていないように見えてしまうワナが潜んでいます。
【中古パソコン】前オーナーの使用状況3. 使用・保管環境
パソコンを故障に導く大敵は、湿気、衝撃、熱の3つです。
前オーナーが、これらに過度にさらされる環境でパソコンを使用したり保管したりしていた場合、故障間近までパソコンの余命が短くなっている恐れがあります。
全パーツに悪影響を与えるのが湿気で、結露が生じるような使い方をしていた場合は特に深刻でしょう。
衝撃については、従来のパソコンで最も衝撃に弱かったHDDは、衝撃発生時に瞬時にアームをプラッタから離して退避させる安全装置の搭載や、耐衝撃性が非常に高いSSD (ソリッドステートドライブ)への置き換えが進んだことで、以前に比べて、衝撃受けた際にダメージを負うリスクは低減しています。
とはいえ、強い衝撃はパソコン内部の配線や基板にダメージを与えかねません。
USBなどの各種ポート類、電源スイッチなどの各種スイッチ類、キーボードは構造上、普通に使っていても徐々に劣化していくことは避けられません。
ましてや、雑に扱っていたパソコンの場合は、すでに余命末期になっているかもしれません。
モバイルパソコンのバッテリーは、熱問題も重要で、パソコンのバッテリーとして使われているリチウムイオンバッテリーは、発熱によって劣化速度が早まります。
発熱が大きくなる使い方としては、バッテリー駆動で長時間連続的に高負荷な処理を行う使い方、CPU (パソコンの頭脳に相当するパーツ)の冷却ファンの排熱口をふさぐ使い方、カーペットや布団の上に置く使い方などが挙げられます。
また、パソコンの設計段階での欠陥がある場合もあり、パソコン内部にたまった熱を空冷するエアーフロー設計の成熟度が低い、バッテリーの品質が粗悪で、発熱量が増加したり、熱に対する耐久性が低かったりするなどのケースがあります。
近年のパソコンは薄型設計にするために、バッテリーを底面着脱方式ではなく、パソコンに内蔵させてしまっている製品が非常に多く、一般人は交換できませんので、メーカーに有償で交換してもらうしかありません。
【中古パソコン】前オーナーの使用状況3. 整備の有無・方法
より良いコンディションでパソコンを使うためには、定期的な清掃が欠かせません。
前オーナーが全く清掃をしていない場合、冷却ファン、ヒートシンク、吸排気口などに相当量のホコリがたまっている可能性があります。
こうした部分にたまったホコリは、冷却性能を著しく低下させるため、CPUが熱で故障しないようするための、「サーマルスロットリング」と呼ばれる安全装置が早期に作動し、CPUの動作速度が上がらずに処理性能が低下して、何をするにももっさりとした動作になってしまいます。
最悪のケースでは、ホコリが原因でショートし、発煙・発火を起こすこともあります。
仮に、前オーナーが清掃をしていた場合でも、正しい清掃方法を実行していたかどうかは分かりません。
清掃方法が間違っていると、ホコリが付着してはいけないパーツに移動してしまうなど、全く清掃していない場合と同様に不具合の原因になります。
また、前オーナーがメモリやストレージなどを増設しているケースも想定されます。
メモリやストレージの増設には一定の知識が必要なため、分解方法やソフトウェア的な整備方法が適切でないと、本来の寿命よりも早く故障してしまうリスクがあります。
中古パソコンを買ってはいけない理由2. 消耗品のパーツが存在する
パソコンを構成する各パーツの中には、一定の使用量や経年劣化で故障する消耗品のパーツが存在します。
前オーナーの使用状況を把握する手段がない中古パソコンでは、消耗品のパーツの劣化が最も恐れられます。
そのため、中古パソコンは購入後すぐに故障しても全く不思議ではなく、そのリスクを承知の上で購入することになります。
特に寿命の短いパーツとしては、SSDを除くストレージ (データを保存するための記憶装置)や各種ポート類などが挙げられ、モバイルパソコンの場合は、さらにキーボードやタッチパッドの消耗具合も懸念事項です。
消耗品のパーツの詳細については、こちらの記事の、「パソコンの寿命その1. 機械的な寿命」をご覧ください。
中古パソコンを買ってはいけない理由3. 使用想定期間の概念がある
パソコンには、「使用想定年数」という概念があります。
使用想定年数とは、そのパソコンの設計上使用が想定される用途で、どのくらいの期間にわたってそのパソコンを使うことができるのかを表すものです。
使用想定年数は、そのパソコンの新品発売日から計算され、使用想定年数を過ぎると、パソコンがまともに使えなくなってしまいます。
パソコンの使用想定期間については、こちらの記事の、「パソコンの寿命その2. 使用想定年数」をご覧ください。
使用想定年数は、パソコンの演算処理性能と用途とのバランスを軸に、サポート期間や時代への適用状況も加味して総合的に判断されるものです。
パソコンの演算処理性能を決定付けるパーツはさまざまありますが、近年発売されたパソコンであれば、人間で言うところの頭脳に相当する、「CPU」と呼ばれるパーツの性能がベースとなります。
具体的な使用想定年数の目安は、用途に対して性能がピタリと適合しているパソコンは、発売日から4年前後、用途に対して性能に余裕がある場合は、発売日から5~6年程度となります。
これを超えると、その時代に普及している各種ソフトウェアに処理性能が追い付けなくなってまともに動かなくなる、サポート終了によって周辺機器が使えなくなったり、セキュリティー上のリスクが上昇したりするなどの問題が出現して、パソコンとして普通に使うことができない、ただの機械の箱と化してしまいます。
パソコンはIT機器という特殊な分類の機械ですから、一般的な家電製品のように、使おうと思えば壊れるまで使えるものではないのです。
中古パソコンはたいてい、使用想定年数を消化してしまっており、購入後すぐに使用想定年数の限界を迎えるでしょう。
中古パソコンを買ってはいけない理由4. そもそもお得じゃないから
中古パソコンの購入を検討する方はほぼ全員、販売価格の安さに魅力を感じているのでしょう。
しかしながら実態は前述した通り、さまざまな危険要素が潜んでいます。
もちろん、中古パソコンの中には、外観が非常にきれいで過酷な使い方をしておらず、使用想定年数もほとんどまだ消化されていないものも一応存在はしています。
ただ、そういったいわゆる「使い物になる」レベルの品質のパソコンは、新品と比較しても、そこまで価格が安くなっていません。
そのうえ、いくら状態が良いとは言っても、少しでも使えばその分だけ消耗品のパーツは劣化しますし、新品購入時のような最低1年の保証も基本的にはありません。
ですから最終的な結論として、そもそも中古パソコンはお得ではないのです。
3ヵ月未満の短期しか使用しない、あるいは動画・写真プレーヤーやメモ帳の代わり程度の用途しか想定していない方が、超激安のオンボロ中古パソコンを買うケースであればお得感はありますが、一般的な用途できちんと使えるパソコンを買いたいのであれば、中古パソコンという選択肢は全くもって割に合わないでしょう。
特定のケースでは, 中古パソコンを買ってもOK
ここまで、中古パソコンのリスクをさんざん取り上げてきましたが、特定のケースであれば、中古パソコンの購入が選択肢となるケースもあります。
ここでは、中古パソコンを買うことが許容される3つのケースを紹介します。
中古パソコンが許容されるケース1. パソコンに非常に詳しいこと
パソコンの持つ処理性能が、現在や近い将来のIT環境にマッチするかどうかを適切に見極めるには、やはり豊富な知識が不可欠です。
また、前述したように、消耗品のパーツが実際にどれだけ劣化しているのかは、購入して実際に電源を入れてみない限り、正確に把握することはほとんど不可能である以上、カタログなどで仕様を確認したうえで、内部パーツの型番を基に品質レベルを考慮しながら劣化スピードを予想できるスキルも必要です。
パソコンに非常に詳しいユーザーであれば、使用想定年数を適切に見極め、消耗パーツの劣化具合をある程度予測できるため、中古パソコンの購入は選択肢となるでしょう。
とはいえ、一般人がインターネット上で無料手に入る情報を調べた程度の知識では意味がなく、専門に学習して、パソコンをはじめとするITに精通している方が対象です。
中古パソコンが許容されるケース2. 新古品のパソコンの場合
一度開封されたが全く通電されていないパソコン、もしくは、1回のみ通電したものの、何らかの理由で返品されたパソコンは、市場では新古品として扱われます。
新古品のパソコンは、特殊な理由がなければ新品と同等と考えて差し支えありません。
新古品のパソコンは、同じ製品の新品販売場価格に比べると少し安くなっているため、お得で狙い目でしょう。
ただし、使用想定年数の概念は変わらないため、新古品としての在庫期間の経過分は考慮する必要があります。
中古品や新古品とは異なるパソコンとして、「リファービッシュ品」と呼ばれるパソコンが出回っています。
これは、中古パソコンを仕入れて分解整備 (場合によっては清掃も)し、消耗品のパーツのみを交換して販売しているものです。
消耗品のパーツを交換しているとは言っても、前述した消耗品のパーツ全てを交換したわけではなく、ストレージやバッテリーなどの、比較的簡単に交換できる一部のパーツのみに限られており、交換パーツを除けば中古パソコンと何ら変わりません。
ですから、リファービッシュパソコンは中古パソコンと同様、買うべきではありません。
中古パソコンが許容されるケース3. 特定の機種を希望する場合
パソコンにおいてはレアケースではありますが、どうしても特定の機種でなければいけないという希望がある場合に、その機種の新品・新古品在庫が市場に出回っていなければ、中古品を買う以外に選択肢がありません。
特に、Lenovo製のThinkPadやPanasonic製のレッツノートなどといった、基本設計や根本の品質に定評のある人気機種は、使用想定期間が残っていれば、中古でもそれなりの価値があります。
ただ、前述した通り、中古パソコンの購入が許容されるのは、きちんと勉強した玄人のみですし、そもそも機種を絞り込んで購入するユーザーは、相応の知識を持つ上級ユーザーであることは間違いないでしょう。
パソコンのような精密機械の中古購入にはリスクがある
パソコンは精密機械でありIT機器であり、ITは日進月歩で進化している世界です。
この記事で解説した、中古パソコンを買ってはいけない理由を見れば素人でも、パソコンの中古購入はリスクが大き過ぎるということがお分かりいただけるでしょう。
ですから、特定のケースを除き、パソコンは中古で買うべきではないということを肝に銘じましょう。
この記事が、より多くの方にパソコンの中古購入を思いとどまらせるきっかけになれば幸いです。