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みんなが知ってる春木開 みんなが知らない春木開 【第四章】

あの日も同じように居酒屋でバイトしていた。


その日に限ってお店が忙しく、終電を逃してしまった。


今でこそ、タクシーで帰るだろうが当時はお金なんてある訳もなく
3駅くらい歩いて帰っていた。


その帰路に着く間に1人の男性が声をかけてきた。


「おう、にいちゃん。いい仕事あるんだけど興味ない?」と。

無論怪しすぎる声のかけ方だ。


知らない人について行ってはダメと教わって育った教育理念も誘惑には勝てず、空腹を見透かされたかのような「飯でも奢るから話だけでも聞いてみない?」という甘い言葉に即座について行ってしまった。


サイゼリヤに連れて行かれ「飯だけだ。タダ飯だけ食べて帰るんだ。僕は利用されてるんじゃな、僕が利用してるんだ」と自分の行動を正当化し、目の前のご馳走のミラノ風ドリアに喰いついた。


「一生本場のミラノのドリアを食べることなんてないだろうな」と考えながら仕事内容に耳を傾けると.....

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