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勤務最初のお仕事①~利用者様の名前を覚える~

はじめに

外国人介護士の日本語研修に携わる日本語教師の皆様へ。
介護の現場は非常に広範で奥深いものです。本note記事では、その中でも日本語研修で特に必要と感じた内容をピックアップしました。現場での指導や研修に少しでも役立てていただければ幸いです。

日本語会話練習では利用者役の名前もご本人のそのままの名前を使っていませんか?
利用者役は必ず日本人名を設定しましょう。名前を覚えることはとても大事です。日本人名が覚えやすくなるよう準備してあげるのが日本語教師の役割ではないでしょうか。

利用者様の名前と顔を覚える

 初日は自己紹介やフロア案内、業務内容の説明など大忙しだと思いますが、名前と顔を一致させることは早ければ早いほど現場も助かります。何度も名前を呼び、特徴や会話内容と合わせて覚えます。 
 覚えなければ、現場でほとんど何もできないということになります。最初のころは指示で動くことがほとんどですから。誰に何を、が分からないと何もできません。適当にやられては事故につながりますので、分からないときは必ず誰にその指示内容をするのかを確認しなければなりません。

 名前を呼ぶことで、利用者様は「覚えてもらえた」「気にかけてもらえている」と感じ、穏やかで協力的な態度になりやすいです。ただし利用者様側は介護職員の名前も顔も忘れてしまうことは多いです。それでも感情の記憶は残っていることが多いので、「あの人優しい人」「あの人怖い人」と感じていることはよくわかります。

【場面】デイサービスの送迎(添乗)時

 名前を覚えていないと、送りの際の車を間違えたり(各車の送迎ルートがその日その日の参加者で変わる)、ご家族の前でも失礼です。連絡帳等返却するものを間違えたり・・・。

ご利用者様をお車に乗せてシートベルトをつけたあと、ご家族様から手荷物を預かり車に入れたり利用者様に持っていただいたりします。ご家族様が先に預けようとされた場合は、手荷物は先にお預かりして車に入れてからご利用者様対応となります。

シルバーカー利用の場合は車のドア近くまでご自身でいき、乗車をサポートし、預かったシルバーカーは車の後ろに乗せます。介護士が利用者様対応している間にドライバーさんがシルバーカー対応してくれることがほとんどです。スタッフの人数によっては、介護士がドライバーを兼ねる場合もあります。

【場面】個別対応の指示を受ける

 指示を受けても誰に対してかわからないと介助できません。

 どんなベテラン介護士であっても、誰にその介助をおこなうのか分からなければ、手の施しようがありません。

 実はこれも人間関係のトラブルのもとだったりします。長年勤務している介護士は指示内容だけでおおよそ誰のことかわかるんですが、週に3日の人や最近入りたての人はわからない。「誰に?かをはっきり言ってほしいよね!」「指示が分かりにくい」と陰で怒っていることもしばしば・・・。既にやってあるのか、までできていないのか、ヒヤヒヤすることもあり指示連携はとても大事なことです。

【場面】服薬介助での名前確認

【補足】
 薬は一括管理していて、看護師さんが専用ボックスに朝・昼・夜と分けて準備してくれています。ご本人の前で薬に記載の名前を確認します。誤薬防止です。
 「~さんですか。(薬を見て)~さん、同じですね。」
 服薬の人は1日3回程度あります。塗り薬は特養も有料ホームも各部屋にあることが多いです。利用者様の手の届かないところや触らないであろう場所に保管されています。
 ちなみに配膳時も食札とご本人を確認します。異なる食形態は誤嚥の事故につながるので危険です。

【こんな場面も】母音ばかりの名前は聞き取りの際に間違えることも・・・。

 日本人でも難しいのに、同僚の外国人介護士さんが聞き間違えることがありました。例えば「青木さん」と「大木さん」(一部変更しています)。そのときの場面ではあまりにもバタバタしていて、「どっち?」と聞くのも躊躇しましたが、怒られても聞くしかないし・・・💦

【練習の提案】
 日本人で多い名前は耳に慣れておいたほうがいいので、会話練習で各自日本人名を設定して練習する。どんな声掛けもまずは名前での呼びかけから。
 漢字を覚えることよりも、音で耳に慣れておくことが大事。
 たとえば聴解練習として「鈴木さんにお湯を持って行ってください。田中さんに入浴の声掛けをお願いします」「佐藤さんのところにいって、食器を回収してきてください」のあとで「誰のところにお湯を持っていきますか」や、聴いた内容のメモを作成(母語でもOK)し、日本語で指示内容を答える、など何でもやってみてください。

【まとめ】

 その場で各自の判断で動く場合は名前がわからなくても介助可能ですが、名前と本人が一致することは非常に重要です。日本語教師は介助の声掛けを重視する傾向にあると感じますが、名前を覚えることの重要性を理解してください。なので日本人名がいち早く覚えられるよう、少しでも準備しておくと現場は助かります。ひとまちがいでの介助ミスによる事故を予防できます。
 馴染みのない苗字も多いですが、日本人に多い苗字は必須です。スタッフの名前も覚えやすくなります。

【補足】
 外国人介護士さんがいつも利用者様のことを名前で呼んでいるかと言ったらそんなことはありません。「お父さん」「お母さん」と呼ぶことが多いです。「パパ」「ママ」と呼ぶ人もいます。「お父さん、ほら、エレベーターのって!」「お母さん、お茶、こっちにおいてあるよ」など、その人の近くで目を合わせていってるので誰に対してなのかは伝わります。
 


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