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奇祭!パワプロドラフト合宿2024(前編)

年の瀬にちょっとシリアスな記事が続いたので、2025年の一発目くらいは気の抜けたものにしたい。

「パワプロドラフト合宿」について

毎年年末、都内の某地に家を一棟借りて、3泊4日で行われる奇祭がある。パワプロドラフト合宿だ。
みんな名前くらいは聞いたことがあるであろう「実況パワフルプロ野球」の選手データとオートペナントモードを活用し、ドラフト会議を行なって編成したチームで、10年間のペナントレースを回し、最も強いチームを決める。

発案者のO氏は「これはeスポーツ」と豪語していたが、30代前後のほぼ独身男性が12人も集まり、抽選に全力で一喜一憂しながら編成に取り組むさまは、どう考えてもそんなスタイリッシュなものではない。ただサッカーの応援に疲れ、性格が捻じ曲がってしまった方々の、歪すぎる遊びである。

ざっくりしたルールは次の通りである。

  • 12月中旬の忘年会までに、S〜Eまでランク分けされた選手リスト(約300人)を発表。忘年会当日に抽選でチームメイトが決まる(1チーム2名〜3名体制)。

  • 1チームあたりの選手数は29人。事前にそれぞれ決められた人数の選手を一人ずつ指名する。

  • 他のチームと指名が被ったら抽選を行う。ここの抽選ルールは実際のドラフト会議と同様。

  • Eランクの指名が終わった後、抽選箱からそれぞれ2枚ずつくじを引き、OB選手を2人獲得する。指名制ではないので、ここでとんでもなく強力な選手(長嶋やバースなど)を獲得することもあるし、逆にポジションが被った選手を引いてしまってチームバランスを崩すこともある。

  • シーズン中の怪我は「なし」に設定。ここがかなり重要であり、我々の敗因の一つと言っても過言ではない。

  • シーズン終了後、他のチームから指名したい選手を選んで現役ドラフトを行う(プロテクトなし)。自分のチームから指名されなかった場合は、総合能力値の高い上位5人のうち1人を放出。逆に自分のチームから2人以上指名された場合は、指名漏れした選手リストの中から減った人数分の選手を補充できる。

  • CS・日本シリーズを含む各シーズンの終了成績でポイントを加算していき、10年目シーズン終了時に最も多かったチームが優勝。

さて、私は前回大会で相方(ヴェルディのヒゲ)が途中で寝るという試練を乗り越え、悲願の初優勝を果たした。しかしながら初年度ドラフトでの編成ミスを現役ドラフトで取り返した感が強く、再現性のなさに課題を感じていた。

そして何より、私のハンデは「そもそもパワプロもゲーム機も持っていない」ということだ。この状況をどのようにしてひっくり返し、連覇を成し遂げるか。3●歳限界会社員(独身)の戦いは、パワプロ2024の最新アプデが配信された12月初旬から幕を開けた。

「勝てるチーム」とは何か

そもそも、このゲームで勝てるチームとはどのようなチームだろうか。普通の野球であれば「投打のバランスが良いこと」「どこからでも点の取れるチーム」「選手層の厚さ」などが挙げられるが、このゲームにおいて、それらはどの程度必要だろうか。必要ならば、どのようにそれを表現すればよいか。

勝つチームを定義づける上で、まず読んだのは「やっている人の感想」だ。何度も言うが、私はこのゲームを持っていない。さらに言えば、今回タッグを組んだ熊本のD君に至っては、ゲームを持っていないどころかこの大会に参加するのも初めてだ。私は気持ちを引き締め、上のnoteや幾つかのYouTubeチャンネルを参考に、選手の選考基準を次のように決めた。

  • 「球速155km/h以上」「コントロールB」「スタミナC」「変化量10以上」「強力な特殊能力(対ピンチBなど)」のうち3つ以上満たした投手

  • 弾道3・ミートC・パワーC・チャンスと対左がD以上の野手

  • 野手・投手共に、プラスの効果が大きい特殊能力(アベレージヒッター、ミスター〇〇など)をできるだけ持ち、マイナスの効果が大きい特殊能力(三振、四球など)を極力持たない

以上3点を可能な限り押さえたチームが、強いチームである。私はこう定義した。

データの分析

次に、この2つを満たした選手をリストアップした。しかし、定義を満たしている選手がごく少ないこともあり得るし、万一抽選で外した時は別の選択肢も考えなければいけない。現役ドラフトで流出した際、代わりをすぐに探す必要もある。
また、パワプロには各選手に特殊能力が設定されており、ある特定の状況下で選手の能力値に大きな影響を与える。この効き目は毎年変化するため、それを考慮することも大切だ。

そこで私は、リストに上がった全選手の能力値をGoogleスプレッドシートに書き出し、ポジション&ランクごとの平均値・標準偏差を割り出した。特殊能力には今年のトレンドを反映し、プラスの効果が大きいものには5点、マイナスの効果が大きいものには-5点というように、評点を合計で割り出すようにした。当然ながら死ぬほど時間がかかった。

この作業で得られた視点は一つ。一部のランクにおいて極端な数値のばらつきが見られ、「獲得するとお得な選手」「損な選手」がはっきりしていること。そもそもランクは我々の経験に基づいた恣意的なものであり、一部「Cランクに近いけどとりあえずDに入れておこう」といった曖昧な線引きの選手もいた。それらが可視化され、多くの選手を一本釣りできた。

この作業で失った視点は一つ。データに溺れすぎてしまい、これが野球ゲームであるのを忘れたことだ。能力値の縛りを気にするあまり、チームとしてのバランスを著しく欠いてしまった。また抽選で外れた時の第2・第3の選択肢や、相手チームの動向を踏まえた指名順を事前に検討する時間がなかった。今思うとかなり初歩的なミスである。

このようにして、やや不安を抱えながら迎えた12月29日。都内某所で、決戦の火蓋が切って落とされた。(後編へ続く)

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