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奇祭!パワプロドラフト合宿2024(中編)

年末に男12人が家一棟を借り上げ、パワプロでドラフト会議を行なってペナントを10年回す奇祭「パワプロドラフト合宿2024」の模様をお届けしたい。
(前編はリンクから)

ドラフトの模様

12月29日、都内某所。年に一度の大勝負を前に、引き締まった顔つきの男たち12人(と大量の食材とビール40L)が到着した。専属シェフ(本業:給食のおばちゃん)の総指揮のもと、夕食の調理と追加の買い出しなどを行いつつ、各球団とも最終確認に余念がない。

そして19時ごろにドラフト会議はスタート。Sランクの目玉は楽天・田中将大だ。今回新ルールとして「現役選手でもレジェンドチームに所属している選手はレジェンドデータを使用可能」が追加されたため、このマー君は「渡米前の24勝マー君」である。結果、我々を含む4球団が競合した。

私はこの抽選に根拠のない自信を持っていた。実は昨年、抽選全てを左手・先引きで行い全勝。過去にはOB抽選でONコンビを引き当てるなど、1年分の幸運を使い果たしているといっても過言ではない引きの良さを持っていた。

しかし今回ルールが改正され、指名順が奇数の場合は1番目からくじを引く方式に変更。6番目である私は、最後の余り物を引くことになった。自分で運命を決められないもどかしさが心を支配する中、やはり結果は落選。外れ1位として柳田悠岐を指名した。

さらにAランク抽選の1巡目では、他球団との競合を想定して上位指名を狙った森友哉の一本釣りに成功した一方、左の先発として想定していた東克樹や、打線の中軸として考えていた近藤健介、セカンドの一番手としてリストアップしていた菊池涼介が他チームへ流出。その後も中抑えの投手を抽選で次々に外すなど、思うに任せない展開が続く。

もう一つの誤算は、「ケガなし」という重大なルールを失念していたことだ。普通のチームであれば内野手の控えは不可欠だが、ケガがなくて回復力がそれなりにあれば、このゲームで内野手の控えは必要ない。せいぜい複数ポジションをこなせるユーティリティプレイヤーがいれば充分なのである。結果、野手の人数がダブつき、中抑えの投手の人数が不足した。

こうなると「疲れ切った投手による失投を打線の火力でカバーする」という、スーパービッグボールの方向に振り切らざるを得ない。SAランクで優良な野手を確保し、OB抽選でD君が松井秀喜を獲得できたのも大きかった。結果、1年目にできたチームの先発メンバーはこうだ。

①(外)柳田
②(外)栗山
③(捕)森
④(指)松井秀
⑤(ニ)浅村
⑥(三)清宮
⑦(外)島内
⑧(遊)宮本慎也←OB抽選で獲った
⑨(一)中村晃

一方、投手の方はこんな顔ぶれ。
先発:村上、佐々木朗希、種市、宮城、高橋遥人、森下
中継ぎ:加藤貴之、東浜、横山陸人、大西、カスティーヨ
抑え:オスナ

打線のバランスもまあまあおかしいのだが、それ以上に中継ぎ以降の貧弱さが酷すぎる。中継ぎ東浜なんて、サイドバック岡田優希と同じくらいグロテスクだ。

野球とこのゲームに精通した相手チームからは、「過労死ナイン」「ブラック企業」などとヤジが飛ぶ。ただ投手はともかく、打線はデータ上の基準を満たした猛者ばかりだ。私は「今に見てろよ」と思いながら、夜中2時に眠りについた。

1年目

そして31日、ペナント開幕。1年目…の交流戦前に撮った、ある写真をご覧いただきたい。

お分かりいただけただろうか。ケガがないにも関わらず、加藤・大西・オスナの3人が強制的に休養している。

ただでさえ人手不足なのに、3人も一気に休まれたらたまったものではない。私は加藤・東浜を中継ぎに専念させ、宮城を一時的に先中に降ろした。現実だったらなかなかの暴挙である。

しかし結果はすぐに出た。交流戦で借金を取り返すと、投手の頑張りに応えるように中位争いを演じ、何とかAランクに滑り込み。そしてCSで下剋上を果たし、そのまま日本一の座を奪い取った。明らかに一発勝負に強いタイプなのだ。

この後サクッと4タテ

「11ゲーム差なのにこんなことがあっていいのか」「レギュラーシーズン1位なのに3位よりポイントが低いなんて納得できない」などと醜い文句を繰り返すヒゲを尻目に、私は快哉を叫んだ。そう、D君はこの日外出中でまたしても一人での戦いだった。

2年目以降

もっとも、このゲームで難しいのは2年目以降だ。現役ドラフトでプロテクトができないため、前年に目立った成績を残してしまうと相手球団の引き抜きに遭う可能性が高くなる。1年目に共に30ホーマーを飛ばした松井秀喜・森友哉あたりは、ほぼ間違いなく移籍だろう。それなら同じくらい打てそうな野手を補強したいものだが、何せ中抑えが完全に不足している我が球団。まず投手力改善に力を入れないと話にならない。

ということで、浜松ヒゲヅラーズからライデル・マルティネスを補強した一方、松山オシブス(愛媛のM君・町田のN)に柳田悠岐の流出を許した。結果は5位。やはり当たれば飛ぶタイプよりも、安定して打てるタイプが必要だ。

3年目にはさらに松井秀喜を抜かれ、代わりに前年30ホーマー以上の中村剛也を補強。しかし流石にこの移籍は痛く、ついに最下位へ転落した。

そもそも打線の火力だけでなく、先発も大誤算だった。ローテの一人だった種市は交流戦後までこの大炎上。別の意味でファイヤーしていた。

しかしこのゲームのよくできたルールは、最下位になるとOBを抽選で一人獲得できることだ。私が引いたのはスワローズレジェンドの池山隆寛。OBの中では中の中といったところだが、基礎能力は相当高く、青特「Mr.スワローズ」持ちだ。またしても4番タイプだが、ここまで来たらこの路線でひたすらファイヤーするしかない。私はこの選手を8番ショートに置いた。そこしか置き場所がないからだ。

しかし結果は引き続きBクラスへ低迷。この頃には浜松グランデヒゲヅラーズ(ヴェルディのヒゲ・浜松のY氏)の独走を松山オシブスが追う展開で、2強4弱の構図が固まりつつあった。

チーム編成のバランス、指名戦略、打順の組み方、そしてシーズン中の戦術。どこをとっても他のチームと経験値が違いすぎる。というかD君はこんな夜更けまでどこに行ったのか。私は大事な年の瀬に一体何をしているのか。早く帰ってきてくれ。何なら私が帰りたい。大晦日を迎えたばかりの東京で、火の国ボンバーズは危機を迎えていた。

後編(最終回)へ続く。

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