奇祭!パワプロドラフト合宿2024(後編)
年末に男12人が家一棟を借り上げ、パワプロでドラフト会議を行なってペナントを10年回す奇祭「パワプロドラフト合宿2024」の模様をお届けしたい。球史に残る大スキャンダル、そして決着へーー。
(中編はリンクから)
そう、あれは4年目の現役ドラフトの時だった。浜松グランデヒゲヅラーズの独走態勢は既に揺るがないものになっていた。3度のリーグ制覇、2度の日本一。しかし主力を一人引き抜いたところで、選手リストに残っている上位ランクの選手を獲得され、さらに強くなってしまう。浜松に衝撃を与えるためには、「できるだけ多くの球団が浜松から異なる選手を指名し、チームの屋台骨をリセットしてしまう」他にない。
自チームの選手成績をゆっくりと見終わったところで、ヒゲが「ちょっと考えてくるわ」と席を外した。私はPCを一瞥し、浜松のページを開いた。
PCから目を上げると、オシブスのM君が目線を合わせる。伊勢原レイルウェーズのR君も。そして他のチームの首脳陣も。ちなみにオシブスのNは爆睡していた。彼はパワプロなら多分「チャンスG」持ちである。
ヒゲが居間に帰ってくるわずか数分の間に、電撃的に全チームの考えがまとまった。そして現役ドラフト発表の瞬間。M君は「ヒゲさん、撮ってくださいよ」と携帯のカメラを持たせた。つくづく悪い男である。
浜松:モイネロ(忘れた)
伊勢原:菅野智之(浜松)
藤岡キーポンファイティングス:松井稼頭央(浜松)
オシブス:山本由伸(浜松)
東雲ビッグス:今永昇太(浜松)
火の国:近藤健介(浜松)
ここに、球史に残る大スキャンダル「現役ドラフト指名談合」が完成した。ちなみに後からやってきたOコミッショナー(セリエA観戦中につき不在)によれば、「問題ありません」とのことであった。球界全体の腐敗を象徴するような出来事である。
指名の瞬間、状況が読み取れずしばし呆然としたものの、やがて怒りが沸騰した浜松のふたり。「菅野指名っておかしいだろ!」「普通山本由伸で被るだろ!」と激昂するヒゲ。ぐうの音も出ないド正論である。
そして5年目の結果。2度目の優勝&日本一。
やはりアベヒ持ちは強い。時代は火力(と常識的な選手層)なのである。しかし、前年度10勝投手を3人抜かれても結局上位争いに食い込んでくる浜松はやはり強い。そしてズルをしても3位以下に沈むチームは、自分の身の振り方をよくよく考えた方がいいと思う。
こうして「結局火力じゃね?」と安直な結論に至った私とD君は、次の現役ドラフトで柳田悠岐を再指名。これで浜松追撃だ。そして翌日、6年目の結果。
全然ダメだった。投手陣がポンコツすぎる。
結局のところ、個々のレベルと選手層のバランスを併せ持っているチームが強いのである。火の国は確かに打線の爆発力はあるが、中継ぎ以降でゲームを維持できないと一気に崩壊してしまう。投手のスタミナをやや軽視する分析傾向も良くなかった。
なお6年目の結果により、次のシーズンで浜松がリーグ優勝&日本一を達成すると、「ドラフト合宿史上初のコールドゲーム」が成立することになった。あんなスキャンダルの後でコールドなんて、2025年ヒゲが事あるごとにマウントを取ってくるに決まっているし、Y氏はあらゆるスタジアムでキングボンビーになるに決まっている。STOPヒゲ、#行かないでY氏。何としても浜松の優勝を阻止するため、火の国は浜松からモイネロを強奪した。
そして7年目の結果。火の国は優勝&日本一を獲った。ゲーム続行。
ちなみにこの時の打線はこうである。
①(右)近藤
②(左)栗山
③(捕)森
④(三)中村剛
⑤(ニ)浅村
⑥(指)柳田
⑦(中)島内
⑧(一)中村晃
⑨(遊)長岡
9番以外パリーグ、もっと言えば私が好きな選手か、私の西武ライオンズを酷い目に合わせている選手である。トラウマナインと名付けよう。
流石にここまでの長打力を誇示すれば、どこかが飛びついてくるのは必至である。私とD君はそう読んで、再び浜松から鈴木誠也を指名した。しかし浜松が指名したのは前年にこちらが獲得したばかりのモイネロ。急所を突かれた。そして8年目。
ついに力尽きた。貯金13なのに14.5ゲーム差。史上初のコールドゲームの陰で、ひっそりと史上初の「全シーズンで日本一かBクラス」を達成した。全然嬉しくない。
この後の優勝インタビューの様子などは、思い出すと憤死しそうなので全部カットする。そんなことより、今回のパワプロドラフト会議2024で得られた反省点を振り返りたい。
①中継ぎの構成
前編で書いたように、中継ぎでもコース能力を極端に重視した人選になったのだが、頭数とスタミナ能力の低さで最後まで足を引っ張ってしまった。中継ぎ適性が低い選手もいた(これはデータベース作成上のミスだ)。ある程度能力値を甘く見たとしても、使い倒せる選手やワンポイントで替えがきかない選手など、人選のバランスをもっと詰める必要があった。
②特殊能力の発生条件
今作「三振がヤバい」と盛んに言われていたが、そもそも三振を発生させにくい特殊能力(初球打ちや選球眼など)もあるわけで、個別の特殊能力を他の能力から独立して評価するのは無理があった。ここは来年に向けて評価軸をアップデートしよう。
③ビッグボールの弱点(?)
投手の質を犠牲にしてでも4番級が並ぶ超ビッグボール打線を志向したのだが、シーズンによって調子の振れ幅が極端だった。考えられる要因としては、毎年最下位のチームが調整できる「投打バランス」。打高にすれば有利と思われそうだが、実際のところは打低の方がいい結果を残していた。誰でも打てる状況の方が相対的に不利になるのだろうか。要検証である。
・・・とまあ、書いてみると普通のことばかりなのだが、1年に1回しかやらないからこんなことにも気付けないのである。
とりあえず、パワプロとSwitchを買おう。5年も年末楽しませてもらっておいて、買わないのはさすがにKONAMIに失礼だ。そう思いながら私は首都高でハンドルを握り、元旦に帰途についた。
2025年、新年明けましておめでとうございます。