白いワンピースの天女をめぐる、オトナと子供の三角関係/『ウルトラマンA』覚え書き(21)

天女が地上に舞い降りて人間の男性と結婚するという伝説は、世界各地にあるそうだ。日本では、水浴びをしていた天女の羽衣を人間の男が隠してしまい、仕方なく天女は男と結婚して子供を儲けるが、やがて衣を見つけ出して天に帰っていくというもの。民話の『鶴の恩返し』のような異類婚姻譚の一種とされ、時代や地域によってびっくりするくらい多種多様なバリエーションのある、ある意味で普遍的な「神話」だ。日本では、飛鳥時代に編纂された『風土記』にも書きとどめられているというから、そうとう古いようだ。天女が独身男性ではなく、子供のいない老夫婦の養女となり、養父母を富ませるという、『かぐや姫』タイプもある。

怪獣は、『ゴジラ』の時代から、恐竜を元ネタに造形されることがほとんどだったが、ウルトラシリーズではなにせ、1シリーズに数十匹も出せねばならない。そこで、日本の伝説や民話を材料にした、いわば変種が登場する。初代『ウルトラマン』の伝説怪獣ウー(雪男)や、『ウルトラセブン』のカッパ怪獣テペト、『帰ってきたウルトラマン』の雪女怪獣スノーゴンなどだが、『ウルトラマンA』では、牛神超獣 カウラ(第十六話)河童超獣キングガッパー(第十八話)、そして今回の天女超獣アプラサールと、俄かに増えてきた印象がある(この後、伝説怪人ナマハゲ、鬼超獣オニデビルなんてものまで)。第十六話で蟹江敬三が叫んでような「ディスカバー・ジャパン」(1970年から始めた国鉄=現JRのキャンペーン)と関わりがあるのかどうか知らない。

『ウルトラマンA』第21話/天女の幻を見た!

脚本=石堂淑朗/監督=山際永三

ドラマは、竜隊長(瑳川哲朗)が、天女が舞い降りてくる夢を見るシーンから始まる。目覚まし時計で起床し、カーテンを開けて伸びをしていると(寝室で寝間着姿の隊長なんて、ウルトラシリーズでも初めてではないか)、ドアをノックする音。開けると、白いワンピース姿の若い娘(三景順子/後、瞳順子)が怯えたように立っていた。

「私を、お手伝いにやとっていただけないでしょうか」と唐突に願い出る娘に、竜隊長は「私はまだ独り者でね、お手伝いさんは要らないんだよ」と断るが(隊長が既婚か未婚か明かされるのも初めて?)、「お願いです。私、隊長さんのところで働かせていただきたいんです」と娘は食い下がる。なぜ自分がTAC隊長だと知っていたのか、秘密にしている住まいをどうやって見つけたのか、不審に思った竜が問いつめても、「私は前から知っていたんです」の一点張り。竜は「身元のわからん人はだめだね」と断り、娘は頭をさげ、「私、来てはいけないところに、来てしまったんですね」と謎めいた一言を残して去っていった。

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