ＴＡＣの母・美川のり子隊員の凛々しさ／『ウルトラマンＡ』覚え書き（３）

さて、『ウルトラマンＡ』の第三話。前回書いた第二話は、北斗星司（高峰圭二）と、竜五郎隊長（瑳川哲朗）との師弟愛をテーマにしていた。同様に、第三話で語るべき点があるとしたら、ＴＡＣの二人の女性隊員・南夕子（星光子）と先輩の美川のり子（西恵子）との関係性かもしれない。

『ウルトラマンＡ』第３話／燃えろ！超獣地獄

脚本＝田口久光／監督＝山際栄三

冒頭、南夕子が攻撃機タック・アローでパトロールする場面から始まる。これまで影が薄かった彼女をメインにドラマが展開する予感。

ある山奥の村に差し掛かった時、渓谷の吊り橋で手を振る少年がいる。夕子はわざわざ引き返し、手を振ってあげるのだが、その瞬間、空に裂け目が走り、そこから超獣が登場する。超獣は少年のいた吊り橋に接近していたため、攻撃できずにいると、そこを通りかかった旅客機が、超獣に激突して炎上。超獣は再び空の裂け目に姿を消した。

この間、南は悲鳴まじりに叫ぶだけで、何もできなかった。現場にかけつけた竜隊長以下ＴＡＣ隊員たちは、新米の南が雲か何かを超獣に間違えたと決めつけ、彼女は一週間の活動禁止処分。

ただ一人、北斗星司は、少年がかぶっていたらしい黄色い学帽を発見、例によって単独で、少年の行方を捜す。少年は、山奥の村に祖父母と三人で暮らしていた。ネタバレすると、実はこの少年はすでに事故死しており、超獣に乗り移られているのだが、北斗は祖父にどぶろくを付き合わされた挙句、タック・アローで帰還中、なぜか満タンのはずの燃料が空っぽになっていて不時着。交番から電話で基地に報告すると、酒を呑んでタック・アローを操縦したのかと叱られ、こちらも一週間の謹慎処分。