唯一の女性隊長『ウルトラマンティガ』高樹澪の存在意義(1)/『ウルトラマンA』覚え書き(31)

久しぶりに本連載を更新する。

『ウルトラマンA』が終わった後、ぼくはウルトラシリーズの熱心な視聴者ではなくなった。そのせいもあって、『ウルトラマン』のフジ・アキコ隊員、『ウルトラセブン』のアンヌ隊員、そして『ウルトラマンA』の南夕子隊員のような、印象的な女性キャラに出会うことはなかった。

『ウルトラマンA』の後の『ウルトラマンタロウ』(1973-74)は、ウルトラ兄弟の末っ子という性格を強く打ち出したせいか、甘えん坊のタロウとウルトラの母(ペギー葉山)との関係性だけが印象に残った。

『ウルトラマンレオ』(74-75)は第一回の津波のシーンだけ覚えている。放送開始前年暮れに公開された映画『日本沈没』が、なぜか文部省推薦だったため、小学校3年生だったぼくは学校の行動で生徒全員と一緒に観覧した。藤岡弘といしだあゆみのラブシーンや、残酷すぎるシーンはカットされていたが、それでも大地震と津波で無辜の日本人が大勢死んでいく物語は、トラウマとなった(ちなみに、95年にサリン事件を起こしたオウム真理教の幹部たちはぼくと同世代だ。彼らが小学生の時『日本沈没』を学校で鑑賞させられたことと、彼らの終末思想的ビジョンは、無関係じゃないと思っている)。

『ウルトラマンレオ』を最後に、しばらくウルトラシリーズは作られなかった。5年後の1980年に『ウルトラマン80』で復活したものの、主人公が学校の先生兼地球防衛軍極東支部(UZM)隊員という無茶な設定のせいもあって、まったく盛り上がらなかった。高校1年生だったぼくは、身体にぴったりしたスーツを着せられた女性隊員役の石田えりの、メリハリのあるボディラインだけが印象に残った。

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