だからJpopはダメになる/野田洋次郎炎上について
これだから、Jpopは衰退するのだなあ、と感じさせられたツイートだった。
虹プロジェクトが話題だ。韓国人と日本人と台湾人の混成グループTWICEを成功させたパク・ジニャン(JYP)が、日本のテレビ局とジョイントし、オーディション番組を経て、日本人だけのKpopグループNiziUをデビューさせた。オリコンや、様々なストリーミングサイトで初登場1位をなしとげるなど、今、日本でいちばん勢いのあるガールズグループだろう。
AKB48など、従来のアイドル路線が行き詰りつつある一方で、実力派として売り出したE-Girlsやフェアリーズも解散や活動停止するなど、日本の女性アイドル界が行き詰っていたなか、2018年、韓国のオーディション番組「produce48」で、視聴者の投票によって生まれた、日本人の元AKB出身メンバー3人を含むIz*Oneが、日韓両国の音楽チャートを席巻した。
2019年にデビューしたCherryBulletの日本人メンバー2人は、幼い頃からkpopに憧れダンススクールなどで研鑽をつみ、オーディションを受けたりスカウトされ、韓国に渡ってメジャーデビューした。
Kpopはもともと、海外のタレントを積極的に取り込んできた歴史がある。ガールズグループに限ってみても、韓国系アメリカ人(少女時代のジェシカやティファニー、f(x)のクリスタル)、台湾系アメリカ人(f(x)のアンバ)、中国人(f(x)のビクトリア)、タイ人(BlackPinkのリサ)と、そして日本人と、様々なルーツを持っている。
もちろん海外でのセールスを狙っての事だろうけれど、単に同じ国籍を持った女の子が所属しているだけで、市場開拓できるほど甘い世界ではない。TWICEの日本人メンバーは、日本国内でダンスレッスンを受け、その上ですべてスカウトされた。それだけ、韓国の芸能事務所が海外にスカウト網を張り巡らせた結果、多くの優秀な人材を集められたからこそ、今のKpopの世界的人気がある。
日本の芸能界も、勢いが盛んだったころは、各国から様々な人材が集まってきた。台湾からテレサ・テンや欧陽菲菲が、香港からアグネス・チャンが、韓国からチョー・ヨンピルや桂銀淑、キム・ヨンジャからBoA。いわゆる在日のマイノリティも含めれば、「遺伝子」を効率よく管理すれば、すばらしい文化が生まれるなんて考えが、頭の悪い中学生が聞きかじった知識を披露する程度の馬鹿な考えでしかない事は明らかだろう。
大谷翔平や藤井聡太、芦田愛菜らの、彼ら彼女らの「配偶者」に選ばれた人の、自己決定権はどうなるんだ、という初歩的すぎる疑問は、当たり前すぎる話で、議論の余地すらない。
人権に関しても、人材育成に関しても、幼稚すぎる見解しか持たない馬鹿に、余計な影響力を持たせると、確実に、その分野を醜く浸食し、立ち直れないダメージを与える。世界的に通用する言葉をもったアーティストの育成こそが、Jpopが立ち直り、グローバル市場に打って出るのための急務だと思う。
韓流は国家プロジェクトだから成功した、という言説が、たいして根拠もなしに語られすぎている。確かに金大中政権時代、韓国のドラマや映画、歌を積極的に海外に売ろうとしたのは確かだが、もともと、中国などで韓国のドラマや歌が大ヒットしているのを知った政権が、その後押しをしただけだ。例えば複雑な著作権の窓口を一本化するとか、支援を受けやすくする基金づくりであって、国が補助金を出して海外に売り出したから成功したわけじゃない。映画でいうと、大ヒットしたメジャー映画は、その収益の何パーセントかを、マイナーな映画製作支援のため拠出しなければならない。売れる作品を国家がプッシュするのではなく、草の根を支援し豊かにする政策がとられているのだ。
野田洋次郎は、すばらしいアーティストだろうけれど、国家事業として配偶者を国家に決めてほしいのだろうか。そうやって子作りするより、自分たちがあげた収益を、後進育成のための仕組みを国家に作ってもらった上で、そのスキームに乗って自分の実力を発揮したほうが、はるかに「効率よく」才能を発掘できるはずだ。馬鹿は休み休み言え!
(敬称略)
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