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詩  散文

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#散文

船出

船出

友人と行き先は同じでも乗る船が違うとわかってしまう事。
行く先に着けば、お互いの無事を喜び、交友は変わらない。
違う船に乗っている間もお互いの状況を伝え、励ましあえる。
だから、今、ここにて私だけが違う切符を持っていたとしても
淋しくはないし、孤独でもない。

手放さなくてはならない思いの中に「何かにこだわる」ということがある。
こだわってるいる自分が好きだから、なかなか手放せない。
「こだわる」

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夢

シングルのベットが二つ並ぶ部屋
目覚めた私は部屋から出ると
そこは猥雑な薄暗いうらぶれたアパートの廊下
奥から漏れ揺れる裸電球の光りの向こうに
数人の男達が見える
皆、見知った顔にも思え、恐さなどはない
背の高い頬のこけた男性が
「喉が渇いた?」「何か買ってこようか?」
とやさしく声をかけてくれる
男達が「俺は・・・」と口々に注文を言っているのだが
背の高い彼の「俺は紅茶がいい」の声だけしか届かな

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愚かでも

愚かでも

遠くに隠れる君の消息を
そっと風に乗せて
小さく小さく
届けてくれる
素直に受けとる僕は
愚かだろう