ロマンス詐欺師に恋した私(完)
ヒョクという韓国人にワクワクドキドキした私は、その素直な自分の心の動きを大切にしたくて、疑うよりも自分軸で魂の成長をしながら進めていく事に決めました。
彼の容姿の美しさ、世界観、お金への考え方や平和への考え方、言葉選び、そのどれもが素敵でスケールが大きくて、そんな彼に釣り合うべく、私は日々自分を内からも外からも磨き、求めない愛、自立をする誇り高き自分で過ごしました。
道中は本当に私にとって楽しいブロック外しと自分磨きの日々でした。自分自身をもっと信じて愛する原動力を貰いました。
こんなお大臣のような素敵な男性に愛されてる私は、親から受けたと思い続けてきた傷も笑い飛ばせるはずだわ、なんてったってお后様なのだから。とさえ思って、親ブロックを外す原動力さえ貰いました。
ほんっと、ありがとうヒョク。
しかしまんまと詐欺でした。
それはすぐに笑い飛ばせたし、正直いい夢見させてもらった、成長させてもらったわと思った私ですが、それからずっと考えてきたことがありました。
ーー潜在意識が全ての現実を生むのなら、これはどの潜在意識が生んだことだったのか。私を押し上げてくれた良い経験でしかなかったのだとしたら、ネガティブな潜在意識からじゃなかったのかな?ーー
その答えを今日、思い出しました。それですぐにこれを書いています。
私は幼い時に、大人の話を聞いてしまって、ある女の子のお父さんとお母さんが本当はその子の実の親ではないって知ってしまったんです。
分別のなかった私は、直ぐにその子にそのことを話しました。その子は驚いて「そんなはずがない」と否定しました。目に涙を溜めていたと思います。
翌日、その子のお父さんとお母さんが我が家にきて「これはどういうことですか」と私の親に詰め寄っていたのを見たのを記憶しています。
それから、その女の子とはきっと何度か遊んだと思いますが、あまり思い出せません。ただ、ずっとわたしは、あの子の一生を、親御さん達のあの子への愛を、台無しにしてしまったのではないか という罪悪感がありました。なんてことを言ってしまったんだろうって。
その親御さんが最近亡くなられました。
そして私は、ずっと心の奥にしまっていたことをなぜか今日思い出し、これだと思いました。
ーー大切な人だと信じていた人が、本当は偽物だったーー
ごめんなさい、Aちゃん。ごめんなさい、おばさん、おじさん。
ごめんなさい、Aちゃんのお姉ちゃん。
許してください。
これだったんだね、私。
一生懺悔をして生きていく事はできません。
彼女が、おじさんとおばさんが、あれからも幸せな日々を過ごしてくれていたなら良いな って思います。
もしもヒョクによって私が得た日々のように、嘘でも楽しくて幸せな日々であったならば、強さをもらって自分を愛せるような、優しいやさしい日々であったならば 良かったなと思います。
私はこの呪縛を、罪悪感を、ここに置いて前に進みます。
全ては真実で、全ては優しい。
Aちゃんありがとう。本当にごめんね。
互いにもっと幸せになろうね。
私は後悔よりも懺悔よりも、これからの貴女と自分の幸せを願います。
という訳で、これでこのお話は卒業します。
完