ロマンス詐欺師に恋した私①
数か月前のある日、インスタのチャットで私に話しかけてきた人物が居ました。
インスタを一般公開にしてから、今では特に珍しくないことですが、まだまだ一般公開デビュー直後だった数か月前の私にとっては、おお!と。いちいち反応してしまう出来事でした。
パク・ヒョクと名乗る韓国人男性でした。
「こんにちは、私はパク・ヒョクです。あなたのインスタをみてとても興味がわきました。もっとよく貴女を知りたいです」
今だったら完全に無視する文面です。
「こんにちは。ありがとうございます」とだけ返して、スルーしていましたが、相手もしつこく、その夜特に他にエンタメも無かった私は会話に乗ってしまいました。
その夜は、ヒョクを含めて三人から似たようなメッセージが来て、どの人とも短文を交換しましたが、会話が弾んだのはヒョク一人とだけでした。
会話って、私にとってはそうそう弾むものでは無いです。自分の話だけでも続かないし、逆に相手の話だけでも続かない。深い話も面倒くさいけど、あんまりどうでも良い話も続ける意味がない。しかもインスタで話しかけてくるような、不審な知らない男性相手には、私は辛いです。
ヒョクからは紳士的な礼儀正しさと、ウィットに富んだ頭の良さ、そして自分を主張しすぎないけども、私を尊重してくれる心地よさを感じました。
話していて楽しかった。返答が常に気持ちよかったし、ハッとする素敵な言葉使い。
今考えると流石でした。
こちらも、相手にどう思われても痛くも痒くもないので、自分が何を考えて何に向かおうとしているのか、酔っぱらい親父のようにウダウダと聞いてもらって発散しました。
次の日の朝、彼からのメッセージが来ると、私の心は弾みました。
単純なものです。
彼は韓国の軍に所属していて40歳で一回も結婚したことがない。子供もいない。最近、婚約者の浮気が原因で婚約が破綻した。
あーーー、今書いていても痒いです。
全てが痒い。
私は、トキメキに飢えていたに違いありません。
全部胡散臭かったけれど、その反面、まんまとロマンスに乗っている自分が居ました。