2020年振り返り① - よかった音楽

■System of a down - Protect The Land

System of a down 15年ぶりの新曲。このバンドを知ったのは確か高校1年か2年の頃で、当時僕に洋楽の知識を流し込んでくれてた同級生から「やばいバンドがある」ってやや興奮気味に伝えられた。ゲオで借りてきた"Mezmarize / Hypnotize"を初めて聴いた時の衝撃は今でも憶えている。残念ながら当時から既に活動を休止していたんだけど、こうやってリアルタイムで新曲の発表に立ち会えたのは2020年の中であったいいことの一つ。

■米津玄師 - カムパネルラ

この曲が収録された5thアルバムの発売と同時に各種サブスクリプションサービスで米津玄師の楽曲配信が解禁されましたね。今年は他の有名アーティストも続々と「サブスク解禁」が報じられてて、時代だね~って思いました。こういう形での作品提供に否定的なアーティストもいるし、そういった方々の意見も理解できるんだけど、イチ消費者の意見としてはありがたい。経済的な面もそうだけど、アルバム曲やB面曲みたいなシングルよりも比較的マイナーな曲が他人にシェア、レコメンドしやすくなったように思います。
「懺悔の街」、「海と山椒魚」、「百鬼夜行」、「ララバイさようなら」…
米津玄師の好きな楽曲を挙げるとどうしてもアルバム、カップリング曲に集中してしまう。劣等感に寄り添うのが上手いのがこの人の歌詞が持つ魅力だと感じていて、それが色濃く出ているのがこれらなのかなという感想。

■KIRINJI - 善人の反省

時期的には2019年だけど…
堀込泰行が脱退して以降もなんやかんやありつつ活動を続けてきたKIRINJIに今年で一段落を打つらしく、じゃあ一回くらいライブ行きたいな~と思って近場の公演のチケットを確保したりしてたんですが、まぁ流行りのあれなんかの関係で実現されず。残念。
キリンジ時代含めた活動の中で「one of the best」、「出来うることは全てやってしまった」と堀込高樹が評したこのアルバムですが、具体的な曲でいうとこの「善人の反省」なんじゃないか?と思っています。それぐらい歌詞が強烈。次点で「Pizza vs Hamburger」かなと思ってます。

■ノリアキ - Know real key

年末のクリスマスイブに11年ぶりの復活ライブを開催した伝説のラッパー"ノリアキ"がライブの中で披露した新曲。
一見オタク風の男がコテコテのラッパースタイルで拙いフロウを綴る「unstoppable」のMV、「EMINEM, ZEEBRAも全部FAKE」のパンチラインが有名なこの人は、一見するとウケ狙い、悪ふざけのイメージがクローズアップされがちだけど、MVを含め曲の構成にはしっかりとしたメッセージが存在していて、前述の妙ちきりんな要素はそのメッセージを広く伝える為のフックに利用されているのだとわかる。
しかしそんなノリアキが11年ぶりに発表したこのMVでは、今までの派手な格好は鳴りを潜め、私服姿でただただ静かに一人散歩している。かつてのノリアキ楽曲群のロケ地を巡るその男は、古屋雄作にプロデュースされた伝説のラッパーノリアキではなく、その仮面を外した高橋典彬だった。

"いつか来るさ 長い過去を笑って 仮面を取る朝が またどこへでも行ける"

変わってしまった世界の中で懸命に頑張っている人たちへの応援歌であると共に、ノリアキを演じていた高橋典彬から、そんなノリアキが大好きだった僕らへ贈られた別れの挨拶でもあるこの歌詞が、とても寂しく愛おしい。
既存の作品とは打って変わって本人の声質に合った低めのキーで歌い上げる"Know real key"、当時を知っている人だからこそ一層伝わる良さがある。

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キュウソネコカミ - 「The band」MUSIC VIDEO(YouTube ver.)

"リアルタイムで出会えたから ライブが見れるの最高だね"

好きなアーティストが活動を休止した時、休止していると知った時、再開した時なんかにいつもこのキュウソネコカミの歌詞を思い出す。デジタル保存された音源はいつまでも変わらないが、作り手と同じ時代、同じ空間を共有できた人とそうでない人との間にはどうしても埋められない体験の溝ができてしまう。体験を得ることの難しさと尊さを一層強く感じたのがこの2020年だった。

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