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くもりぞらとそらのひと

くもりぞらのひは、なんだかうすぐらくて きみがわるい。
はいいろのくものうえでは なにがおきているのだろうか?

のんびり空を見上げるかえるは、ぽつり、雨粒が落ちるのを待っている。
心配そうに空を見上げるのは人間のお母さん。せんたくものを出したまま、買い物にでてきてしまった。
にこにこ顔で空を見上げる人間の男の子。この間の日曜日、新しい長靴と傘を買ってもらった。

そんな彼らが見上げる空の上、そこには空の人達が暮らしている。

「次はなにする?」と小さな角が一本、頭に生えた男の子。
「そうだなあ…」と考え込むのは小さな角が2本、頭に生えている女の子。
「そうだ!あのたいこであそぼうよ!」と角が2本頭に生えた男の子。

すると、いつの間にか3人のお母さんが近くに来ていた。
「だめよ。今日は雷の日じゃないんだから。あれは特別なたいこだと前に教えたでしょう?」と言う。

「でもお母さん、前はたたかせてくれたよ?」と2本角の男の子が言うと、お母さんは「あの日は雷を起こす日だったからよ。今日はだめです。ちがうあそびになさい」と言った。

「じゃあ、向こうで雨サッカーしようよ」と女の子が言うと、「そうしよう、そうしよう」と、とうめいの水でできたサッカーボールを持ってかけていく。

「あっちの雲の切れ間がゴールね」
「おっけー」
「じゃんけんで誰が最初にボールけるか決めよう」
「じゃんけんぽん!」

一本角の男の子がじゃんけんに勝ち、雨サッカーがスタート。

雲の切れ目のゴールをめざして、ボールをけりけり走る一本角の男の子。
そして、それを追いかけ、ボールをうばおうとする2本角の男の子と女の子。

「よし、あとちょっと!」と一本角の男の子。
「わー!だめだめ!」と必死の女の子。
「えい!」とスライディングでボールを狙う男の子。

しかし、ボールは一本角の男の子のキックでポーンと高く上がり、そのままくもの切れ間に落っこちる。

「やったー!ぼくの勝ち!!」と大喜びの一本角の男の子は、「もう一回やる?」と、肩で息をしている女の子と男の子に聞くと、「もう無理、そろそろ暗くなるし、お家に帰ろうよ」と女の子が答えたので、3人は並んで雲の上を歩いて帰っていった。

その夜。
子どもたちが寝て、しばらくたつと、お父さんが真っ赤な顔で帰って来た。「おっかえり~、お父さんが帰ったぞ~」と、しっかりと酔っぱらっているようす。

「あらあら、お父さん。こんなに酔っぱらって、お水もってくるから、リビングで待ってて」とお母さんがやさしく言って、その場をはなれる。しかしながら、酔っぱらったお父さんは、お母さんの言ったことなんて聞こえていないかのように、リビングとは反対の部屋に向かってしまう。

お母さんがコップに入れた水を持ってリビングに行くと、そこにはいるはずのお父さんがいない。「あら?お父さんったら、どこいったのかしら?…あ!もしかして、あの部屋に!大変、急がなくっちゃ!」と何かに気が付いたお母さんが大急ぎでリビングを出たしゅんかん。

ドンドンドン!

と、たいこの音が鳴りひびく。

「ああ、お父さん、やっぱり」とあきれ顔でたいこの部屋に行くお母さん。3人の子どもたちも、何事か、と起きてきてしまった。

よっぱらいお父さんはみんながじーっと見ているのもおかまいなし。

ドドン、ドドドドドドドドン、ドドン!カッカッカ!ドン、カ、ドン、カ、ドンドンドン!

「お父さんずるい!ぼくも!」といいだした2本角の女の子に、「もう、これだけたたいちゃったんだし、いいわね。3人とも、今日だけ特別よ!」とお母さんは子どもたちに言った。

真っ暗な夜の、雲の下。
雨がザーザー降り、雷ピカピカ、空には竜のようないなづまが走っていた。雨を楽しみにしていた、かえるも男の子も、耳をふさいでふとんにもぐりこみ、「早く朝が来ますように」と願うのだった。

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しげまつ かほこ
最後までお読みいただきありがとうございます♡読後にちょっと心がぽかぽかするような、弾むような、そんな文章を書けるようこれからも続けていきます。ピンとくるものがありましたら、サポートお願いいたします。作品というかたちにして、お返ししていきます。