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息子の生まれてから今まで②ミルク飲まない

片道45分の病院に通う日々。息子の体重は増えてきた。まぁ、胃の中に強制的に入れられてるんだからそりゃあそうだよな。なんでミルク飲まないんだろう。口の構造は異常ないのに。なんか泣き声がおかしいと思うんだけどドクターは問題ないと言う。

1週間経っても2週間経っても退院の話は出ない。妊娠中に指摘されていた左の腎臓は水分が溜まって膨れていて、尿は出ているけど経過観察が必要とのこと。そして精巣が降りてきていないこと、これは早産児にはよくあることだから1歳になるまでに降りれば問題ないから経過観察することになった。

心臓には、心房中隔欠損症と動脈管開存症が見つかった。

甲状腺機能低下症が見つかり、服薬を始めることになった。

でも、どれも今すぐ手術が必要というわけでなく、経過観察しましょうというものであった。

退院するための課題は酸素の値が安定することと、ミルクが飲めるようになることだった。

2ヶ月あった夫の育休も終わってしまう。もどかしい。

自分たちにできることは全部やりたい、ということで、息子のNICUの病室に夫と娘と私で泊まり込みすることに。(アメリカのNICUは個室なことがほとんどだと思う)

病院では息子が飲むべき量を体重からの計算で割り出していて、飲み切らなかった分は自動的に強制的に鼻からのチューブで胃の中に。それをきっかり3時間ごと。

母乳だったら赤ちゃんがどれだけ飲んだかなんてわからないよね。無理やり腹にミルクを送り込んで、満腹だったら3時間経ってもまだミルク欲しくないかもしれないやん。毎日変わる担当ナース、同じナースに会うことはほとんどなかった。看護師によってミルクのあげ方が全然違った。息子が哺乳瓶を咥えなかった時点で早々に鼻のチューブから流し込むスタイルの人、半ば無理やり哺乳瓶をくわえさせるスタイルの人。

息子はきっと混乱している。ミルクを飲むことを楽しみに思ってないしむしろ苦痛に思ってる。息子は機械じゃない。この子が飲む分を尊重してチューブを使うのをやめたい、とドクターに申し出た。

すぐに許可はもらえなかった。でも、たまたま息子が鼻のチューブを引っ張り出してしまったことで、その日の担当ドクターから許可が出た。

息子は空腹を訴えることがなかった。だから私たちもなんとなくの感覚で、3時間毎じゃなくてもミルクをあげた。1日の摂取量が日々増えた。夫も私も、嬉しかった。このまま飲んでくれて退院できるかも。

でも、やっぱり十分な量は飲めなかった。毎日の体重測定。増えてない。3日くらい経ったところでドクターからストップがかかった。また鼻のチューブを入れられて泣いている息子。もうこんなストレス耐えられない。息子がミルク飲めない医学的な理由を教えてほしい。

その日のドクターは初めて息子を担当するドクターだった。病室に入ってくるなり、おかしい、この子は正常じゃない、こんなに経ってもミルク飲まない、染色体検査をしよう、ヌーナン症候群だと思う。それだけ告げて部屋を出て行った。

なんて無礼な。。でも、ヌーナン症候群って言ってたな、それはどんな疾患?息子に遺伝子異常があるかもしれない?

確かに、息子の目は若干離れているな。下顎が小さいな。娘とは似ていない部分が遺伝子疾患の特徴?

息子がまたミルクを飲まなくなった。ストレスで頭がどうかしそうだ。人生が崩れていく感覚がした。神さまは助けてくれないな、介入してくれないな、なんでなんだろう。これからどうなるんだろう。

乳腺炎になった。息子の病室でブレイクダウンを起こしてワンワン泣いた。看護師が心配して来てくれた。自分でもわけのわからないことをワーワー泣きわめいて、看護師の人は理解できなくて困ってた。どうでもいい。どうでもいい。何とでも思ってくれ。

息子の病室泊まり込みは、私が乳腺炎になって熱が出てきたことと、精神を病みすぎたことで1週間で終わりを告げた。打ち負かされた気持ちだった。


次回 胃ろうの手術を受けることへの葛藤と決断

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